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Data No. 196


Data: 
 登頂日: 201011月27日
 地域: 北海道 十勝連峰
 同行者: 単独行

富良野岳(ふらのだけ)
 標高: 1,912m
 天候: 晴れ
三峰山
 標高: 1,866m
上富良野岳
 標高: 1,893m
上ホロカメットク山
 標高: 1,920m


初夏の北海道山旅 B
 

富良野岳

〜上ホロカメットク山
 



優美な十勝連峰の花の山

  十勝連峰の麓、富良野盆地は、もう3回目の訪問で、すっかり景色も、なだらかにうねる広大な大地も、お馴染みになった。連峰の主峰である十勝岳は、2003年に登頂したが、そのときに、連峰の南端に見えていた優美な富良野岳の姿が、とても印象に残っていて、何かの機会を作って訪れたいと願っていた。稜線の花畑も見事らしい。この山の魅力と登山道の情報は、富良野岳ホームページに紹介されている。

  富良野岳登頂の前日は、十勝岳の中腹にある、吹上温泉保養センター、白銀荘に宿泊。ここは日帰り温泉センターとして営業しながら、登山者などが自炊しながら安価(2,600円)で泊れる簡易宿泊設備もある。十勝岳登山の際にも、利用したことがあり、便利かつ快適な施設だ。

          
               十勝岳温泉、凌雲閣そばが登山口。奥に見えるのが富良野岳(6月19日早朝)
 

雪中行軍だった登路

  この日(6月19日)は、十勝連峰の山開き当日だった。式典参加者(有料)には、記念バッジと温泉入浴券が配布されるのだが、式典開始が午前7時で、登山開始が8時では、こんな日の長い季節に、毎日の移動距離の長い私には、あまりにも時間がもったいない。従って、特製記念バッジには目をつむって、午前5:55に十勝岳温泉を出発した。

  登山口を出発すると、いきなり雪の上を歩くことになった。まだ先に出発した人の足跡も数少ない。途中までは急登も無く、単調な残雪上の雪中行軍だった。

  
      十勝連峰の概念図(観光パンフレットより)                      今日も雪中行軍だ!

  今日の予定コースは、凌雲閣から富良野岳を登り、稜線を上ホロカメットク山へ縦走し、上富良野岳から出発点へ下山しようというもの。登山開始時点では、目指す富良野岳が見えていたのだが、やがてたなびくガスや雲に遠景は閉ざされてしまった。そうなると、先駆者の踏み跡だけが頼りだ。それでも、他人の踏み跡ばかりに気をとられていると、勝手に踏み外したルートに誘導されかねないので、本道はどこかにも、充分注意が必要だ。

  しかし、山開き当日にしては、そのために若干のルート整備はしたのであろうが、雪上のルートが不明瞭な箇所が多かった。時間が早いので、先に登った人の数が少ないせいもある。

    
               目指す富良野岳がガスの切れ間に顔を見せる

             
                歩いてきたルートを振り返ると、主峰十勝岳がピラミッドのように聳える。その右が上ホロカメットク山
 

  ルートは煙を吐く安政火口へ行く道を左に分け、次には上ホロカメットク山へ直登する道も左に分け、連峰の中腹をトラバースするような形で富良野岳へ登ってゆく。特別な急斜面や危険箇所は無いが、ひたすら辛抱の登行が続く。時折ガスが切れる瞬間には、十勝岳や目指す富良野岳が美しい。

  登山口から2時間弱で、稜線にたどり着いた。そこからは右へ階段状の道を登ってゆくのだが、高山植物の花は、残雪の異常な多さ(途中ですれ違った人の話)で、期待したほどではなかった。そして、山頂へ向けての稜線はやせていて、急斜面の残雪の上を横切ったり、ハイマツを掻き分けて歩いたりで、ルートがあまり明瞭ではなく、楽ではなかった。

          
                    山頂への稜線も異常なほどの残雪に悩まされる

  約2時間半で登り着いた富良野岳山頂(1,912m)には、先客の男性が1人だけ。そして、気持ちよい大展望が待っていた。この日、私が富良野岳山頂で過ごした数十分が一番天気の良い瞬間だったようだ。冷たい風に吹かれながらも、北の大地の山々の眺めを存分に楽しむ。

    
                       素晴らしい貫禄を見せる主峰、十勝岳(2,077m)

    
                              大雪山の山々も雲の上に

      
                 念願の富良野岳頂上にて                               富良野岳で出会った花たち
 

                       
                                眼下には、今朝出発した十勝岳温泉凌雲閣と駐車場が見える

   今日は、山開きに参加したハイカーや関係者が、これから続々と山頂を目指してくるに違いない。すれ違いラッシュに遭遇しないよう、大パノラマを堪能したら先を急ごう。
 

十勝連峰の稜線を縦走

  歩きにくかった稜線の分岐点までの間に、10人以上の人達とすれ違った。意外と若者が多い。分岐点から下を見ると、かなりの数の登山者が見える。私はここから、上ホロカメットク山まで稜線を縦走する。

       
                           三峰山への登りから、富良野岳を振り返る

  私が山頂に立っていた時間が、一番天気の良い時間だった。それ以降は、山は雲に隠れたり、ガスに閉ざされたりして、青空の面積はぐっと減ってしまった。そうなると、黙々と歩くしかない。稜線歩きでは、すれ違う人は少なかった。やはり残雪は多く、人の踏み跡を注意深くたどる。

  分岐点から小一時間で三峰山(1,866m)、そこから30分で、麓の上ホロ分岐点から直登してくる道が合流する上富良野岳(1,893m)だ。目指す上ホロカメットク山(1,920m)は、そこから鞍部を隔てて、20分でたどり着いた。一瞬の晴れ間に、歩いてきた稜線が見えたが(下の写真)、すぐ隣にあるはずの十勝岳本峰はもう姿を見せなかった。

       
           上ホロ山頂から歩いてきた稜線を望む。奥が富良野岳、中央が三峰山、手前の峰が上富良野岳

  上ホロ山頂の富良野側は荒々しい赤茶けた噴火口が切れ落ちている。十勝連峰も、地底から常にエネルギーを放出している活火山なのだ。このピークには誰もいなかった。先ほど立った上富良野岳には大勢の団体らしき人々が見えるが、こちらに向かってくる気配は無い。今日、皆が目指すのは富良野岳なのだ。

  
     上ホロカメットク山山頂で                 下山道から、魔物に守られたような上ホロ山頂(一番奥)を振り返る

  静かな、貸切の山頂で、この山旅を始めてから初めて、缶ビールを1本開けた。五臓六腑にしみわたる激旨だった。明日もう一日あるが、山登りはもう止して、ゆっくりしよう。温泉に浸かって、朝寝もしたいし、旭川ラーメンの大盛でもゆっくり食べたい。もう若くない自分には、この程度で抑えておいたほうが良かろう。身体の疲労が、私の脳に、そんな風に命令していた。

  そんな風に考えての下山は、もう気が楽だった。雲の切れ間に、歩いてきた山と稜線が、私に「お疲れ様」とねぎらってくれる。北海道の山々は、いつも私に優しい。いつも素晴らしい感動を与えてくれる。まだ登ってみたい山もたくさんある。トシがトシなんだから、一度にガツガツ登ろうとしないで、「またやっておいで」ということなんだろう。その節は、またよろしくお願いします。■

 

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十勝岳登頂(2003年7月)のレポは、こちら

 

富良野岳〜上ホロカメットク山 行程

2011年6月19日(日曜日)
吹上温泉白銀荘 5:30 === 5:45
十勝岳温泉、凌雲閣 登山口 5:55 --- 6:25 安政火口分岐 --- 6:40 上ホロ分岐 --- 7:47 稜線分起点 --- 8:20 富良野岳(1,912m) 8:40 --- 9:00 稜線分岐点 --- 9:50 三峰山(1,866m) --- 10:15 上富良野岳(1,893m) --- 10:35 上ホロカメットク山(1,920m) 10:55 --- 11:05 上富良野岳 --- 11:30 上ホロ分岐 11:40 --- 12:15 凌雲閣 登山口 12:25 === 15:05 夕張近郊由仁町、ユンニの湯 16:50 === 17:55 栗山町シャトレーゼ温泉、宿泊

2011年6月20日(月曜日)
栗山町から美瑛を経て、天人峡温泉にドライブ。天人峡パークホテル宿泊。

2011年6月21日(火曜日)
天人峡から旭川空港へドライブ、レンタカー返却。旭川空港13:25 ==(ADO 34便)== 15:10 羽田空港帰着、17:30入間帰宅

 

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