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Data No. BT-25


Data: 
 訪問地:岩手県〜青森県
 旅行日:2015年11月14日
 天候:小雨
 同行者:汽車旅仲間4名で 

 

北三陸海岸の汽車旅

山田線快速

三陸鉄道「レトロ列車」

久慈線「リゾートうみねこ」



久しぶりの三陸海岸へ

  盛岡から宮古へのJR山田線は、一日に片手で数えるほどしか列車がない。さぞかし、閑散とした列車内なのだろうとタカをくくっていたが、盛岡駅を11:08の発車時点には、3両編成の気動車が満席になったのにはビックリした。こんなに大勢客が乗るのに、なぜこんなに本数が少ないのか...。そして乗客の年恰好と荷物を見て、一抹の不安がよぎる。

     
   盛岡駅で発車を待つ快速リアス宮古行   小雨に煙る山田線を宮古へ    のんびり一杯やりながら

  この山田線は、若かりし頃、盛岡〜宮古〜釜石〜花巻と汽車旅したことがあった。4年前の大震災では甚大な被害が出た地域である。復興が進めば、その地域を旅行することも、ひとつの「お役立ち」かな、と思い、今回のじじばば切符の旅では、数十年ぶりにリアスの三陸海岸を訪れてみようと思い立った。

  この山田線沿線は大きな町も無く、ずっと山の中を走る。携帯電話もほとんど「圏外」だ。盛岡を出てから、途中駅での客の乗り降りもほとんど無い。2時間の汽車旅は、紅葉を眺めつつ、のんびりワインを飲みながらランチタイムだった。

  宮古に近付いたとき、車掌が車内を回り、「宮古から三陸鉄道北リアス線にお乗り継ぎのお客様はいらっしゃいますかあ〜?」と叫ぶので、もちろん私は手を上げた。そして、私の不安はズバリ的中した。乗客の大半が手を上げたのだ。地元民らしき乗客はほとんど居ず、やっぱり「じじばば切符」の旅行者ばっかりだった。車掌によると、この列車は、線路が濡れ落ち葉で滑るために徐行したので、10分程度遅れているのだと。しかし乗継ぎの三陸鉄道の久慈行列車は、定刻でも待ち時間が7分しかないので、乗換え客数を確認しているのだと。

  その乗り継ぐ列車は普通列車で、指定席は無く、自由席だけである。いったい何両編成で、どんな車両なのだろう。もしかしたら、久慈まで立ちっぱなしなんて可能性も...。


ハラハラしながら乗り換えて

  そもそも、一日に片手で数えられる列車本数しかないのに、主要都市である宮古での乗り継ぎが、定刻でも7分しかないのは、便利どころか、観光客にとっては、大いに「不便」だ。宮古の何を知ることもできない。乗換え客は車掌の奨める後部車両のドア付近に移動して、宮古到着を待つ。

  宮古で乗り継ぐ三陸鉄道北リアス線列車は、階段を上り下りせずに同じホーム面で待っていた。2両編成の気動車は、既に半分の席が埋まっていて、乗換え客がひとしきり席を探しにバタバタさせられた。幸い、満席になったものの、我々3人は同じボックス席に落ち着くことができた。そして直ぐに発車。


素晴らしい北リアス線のレトロ車両

  久慈まで2時間以上乗る列車に席を確保できたことは、本当に良かった。そして、乗った車両は、素晴らしいレトロ車両だった。

   
     三陸鉄道のレトロ列車        車内はテーブル付ボックス席     天井灯もいい雰囲気

   
    シャンパンでも飲みたくなる座席    列車はかなりな高台を走る   三陸鉄道車両の塗装を施した水門

  クラシック調の車内は、テーブル付のボックス席で、ヨーロッパのレストランにいるような感じ。窓は大きく、落ち着いた色のカーテンが付いている。天井灯も手を抜いていないレトロ調。こんな座席で、シャンパンを飲んだり、軽い食事でも付いたらもっと人気が出るのではないか。そして座席指定制で運行すれば、今流行りのイベント列車になる設備を充分持っていると思う。

   
   津波のガレキを積んだものか?    復興も進んでいる       カーブが少なく高速で走れる高規格路線

  もうひとつ感動したのは、この北リアス線の線路は、津波の危険地帯であるためか、かなりな高台を走り、トンネルが多いものの、ほぼ直線で、スピードも速く、ロングレールを使っているので、ガタンゴトンという轍音がほとんど無い。電化されてはいないが、立派な高規格路線だ。

  この沿線は4年前の津波の被災地であろうが、復興が進み、海岸線を車窓から眺めても、あの惨状を残しているところは無い。海岸に近い場所にあったであろう宅地や建物は、ほとんど更地になっているようだ。各所で大きな堤防工事が進んでいた。この災害大国日本に、大地震は、将来また必ずやってくる。その際は、凄惨な被害を繰り返さないで欲しい。

  列車は久慈に近い北部になると、路盤が古いのか、乗り心地がやや低下する。大元は国鉄路線として建設が進められていた区間だ。

  宮古での発車遅れは取り戻し、定刻の14:50、久慈駅に到着。この列車、是非また乗ってみたい。そのときは、もう少し沿線や経由地での時間的ゆとりを持ちたい。

リゾートうみねこ号で八戸へ

     
       久慈で乗り継いだ「リゾートうみねこ号」        指定席の車内は大きな窓とゆったり座席

     自由席はこんなボックス席(JR東のHPより転載の写真)

  久慈から八戸の久慈線は、再びJR線となる。ここでも乗換え時間は、たったの6分。ああ、本当に不便。でも、リゾートうみねこ号は指定席を取ってあるし、次の列車と言うわけにはいかない。列車は3両編成の気動車。指定席は一列3席のゆったり配置で、一人席は海を眺められるよう向きを変えられる。真中の車両はテーブル付のボックス席で、自由席。見物してきたRSさんによると「すごい圧迫感のある座席」だとか。

  この列車、週末や休日だけは「リゾートうみねこ」車両を使って走るが、臨時列車ではなく、定期の各駅停車列車として走る。そのため、途中駅からは学生や一般客が大勢乗ってきて、自由席は超満員になったようだ。

        
      運転席の後ろはかぶり付きの展望席       三陸の海沿いを八戸へ向けて走る

  指定席は、そんな喧騒とは無縁で、静かに車窓を楽しめる。残念だったのは、当地は日暮れが関東よりもずっと早く、小雨模様も手伝って、窓はしっかり曇ってしまうし、16:00頃には景色がほとんど見えなくなった。

  ウミネコの繁殖地として知られる鮫駅近くの蕪島(かぶしま)は、つい数日前に神社が放火で全焼したそうだが、もう真っ暗で、車窓からは影さえもおぼろだ。この列車の旅は、もう少し日の長い時期が良さそう。

  16:48、定刻にもう真っ暗な八戸駅に到着。北三陸海岸の汽車旅を終え、東北新幹線で青森に向う。


残念だった列車ダイヤ

  この日、盛岡から乗った山田線、宮古で乗り換えた三陸鉄道、久慈から乗り換えたリゾートうみねこ号と、盛岡からずっと同ルートで旅をした「じじばば切符仲間さん」は、かなり大勢だった。しかし、「少しでも復興支援を」と考えて訪れた観光客にとっては、乗換え余裕時間が少な過ぎ、地元民とのふれ合いも無く、収入を得たのは鉄道会社だけ。接続の良さは、移動だけが目的の人には便利だが、「次の列車」は、数時間も無い地域だ。このコースを一日でこなすには、他に選択肢となる列車ダイヤは無い。

  乗換駅では、1時間と言わなくても、せめて15分〜30分の時間があれば、駅の改札を出て、初めて訪れた町の雰囲気を味わい、名産や土産物を物色したり、飲み物や食べものを買って、復興支援に僅かでも貢献できるのだが、6分や7分では何もできず、列車が数分遅れたら、年寄りには過酷な、ホームを小走りでの乗り換えを強いられる。また、全線に渡って車内販売は無し。これでは、東京方面から大勢やってきた、リッチかもしれない、じじばばさん達は、沿線で1円たりともフトコロのお金を使いようがなく、列車内で沿線を通過するだけ。食べ物や飲み物は、朝のうちに盛岡駅で準備しておかないと、八戸に到着する夕方まで、飢えと渇きに遭遇することに。

  せっかく、素晴らしいリゾート列車で旅をしたい観光客のためにも、少しくらい「立ち寄り」ができるよう、もう少し余裕のある列車時刻を設定して欲しい。いまどき、東北でも各都市間は高速路線バス網が発達していて、時間を節約するために列車を使う人など、決して多くないはずだから。

  汽車旅は、翌日から青森〜五能線〜秋田〜新潟と楽しみましたが、過去に記事にしましたので、重複は避けます。乗ってみたい列車は、まだまだ沢山あります。■

 

参考リンク:

● 五能線「リゾートしらかみ」の旅行記(2009年9月)
● 羽越線「きらきらうえつ」の旅行記(2012年6月)
● 
JR東日本、「大人の休日倶楽部」ホームページ
● 
三陸鉄道潟zームページ
● 
JR東日本、「リゾートうみねこ」案内ページ


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