Data No. 175 |
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ニッコウキスゲ満開の、会津 |
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雄国沼がキスゲの名所であることを教えてくれたのは、今回同行したFKさんである。それで、昨年頃から、花が盛りの時期に、いつか必ず行ってみようという目標になっていた。梅雨の明けない7月初旬、大好きな花見物に向かうため、東北道を北上。道中はずっと雨降りだった。深夜、喜多方に着いても雨だった。 雄国沼へ楽に行くには、喜多方側の「萩平」という大駐車場にマイカーを停め、そこから「金沢峠」という場所まで、シャトルバスに乗る。片道500円。6月下旬から7月20日までのキスゲの花期は、マイカー乗り入れが禁止されているためだ。シャトルバスは、つづら折の山道を30分もかけて、これでもか、これでもか、とぐんぐん登ってゆく。バスに揺られながら、雄国沼がそれほどに高いところにあるのか、と驚かされた。(湖岸の標高は、1,090m。) バスを降りた金沢峠は、雨は止んでいたものの、白いガスの中。しかし、到着してほどなく、白いガスがフゥ〜と吹き払われたように消えて、足元に雄国沼の大きな湖面が突然現れたのは、実に感動もの。そして、沼を取り巻く湿地帯は、なんとキスゲの花で、黄色の絨毯のよう。 解説によると、「雄国」という言葉には、「別天地」という意味が込められているという。昔の人々は、険しい山道の先に忽然と現れるこの素晴らしい風景を、俗世からかけ離れた別天地に見立てたのであろう、とのこと。確かにバスで通ってきた、うっとうしい山道から、突然この風景が現れたら、誰でも思わず息を呑むことは間違いない。 もう、雨の心配は無かった。天候は、はっきりと回復の兆しを見せていた。長い坂道を湖岸に向かって10分位下って行くと、素晴らしい花畑の真っ只中に飛び出す。 自然保護の観点から、湿原には縦横無尽なハイキング道は設けられておらず、湿原の一部を周遊するように、一方通行の木道が敷かれていた。それでも、この美しい黄色の花畑は十二分に堪能できる。 ニッコウキスゲの花畑は、湿地帯なので、ゆっくり休憩できる場所は無い。「雄国沼休憩舎」は、湿原から、約1キロメートル、沼を右側に回った、乾いた地面の場所にあった。モダンな広々とした休憩舎は、花が眺められるロケーションではないが、開放的で好もしい雰囲気だ。ここで、ブランチ休憩とする。 ここでハイキング道を行き来する人々を見ていると、裏磐梯からのルートを歩いてくる人がかなり多い。磐梯山の登山口である「八方台」から猫魔岳を経由してくる人もいる。彼らのルートは、キスゲの花畑までは、最低1時間の山道を歩くコースだ。我々はシャトルバスの終点から、僅か10分の下りで、花畑に到達する楽なルート。もう、自分達のトシになれば、気張る必要もなかろう。 金沢峠への帰路をたどると、湿原の人出は最高潮に達していた。木道は行列だ。やはり早起きは三文の徳ということか。 別天地、雄国沼を探訪して、喜多方の町に出ると、ちょうどランチタイム。ここで、FKさんが下調べしてあった、美味いと評判の店でラーメンランチとする。喜多方は、麺食いの我々には、どうしても素通りしたり、避けては通れない町だ。その日は、大塩裏磐梯温泉の旅館に投宿し、疲れを癒す。 三度目の磐梯山登頂 翌日も、当初の予想よりは好天らしい。FKさんにはまだ未踏の百名山である「磐梯山」を、これを機会に、私としては三度目の登頂をする。過去2回とも利用した、猫魔八方台からのルートを登る。 過去2回は秋の登山であったが、今回は夏の磐梯山である。秋では見ることのできなかった、可憐な花畑を堪能した。 磐梯山で出会った夏の花たち 山頂では、到着時には遠望が利かなかったが、ブランチ休憩をしている間に、次第に展望が開けていった。北側には檜原湖の湖面が光り、南側には大きな猪苗代湖の湖岸が時おり見える。そして、昨日訪れた雄国沼は、湖面こそ見えないが、猫魔ヶ岳をはじめとした山々に囲まれた王冠のような「別天地」のたたずまいを見せる。 あの雄国沼の別天地は、いったいどうやって、あんな山の上にできたのだろう。この磐梯山の頂上にいてさえも、あの場所に雄国沼があるなんて、地図がなければ想像も出来ない。人に知られないからこそ、人があまり簡単にたどり着けないからこそ、長い長い歴史の中で、別天地が別天地のままでいられたのかもしれない。 そんなことを、そこはかとなく想像しながら、もうひとつの別天地、磐梯山頂上でのひとときを、美酒と共に楽しんだ。■
初めての磐梯山探訪の記録は、こちら。 |
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