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Data No. 142

 データ:
 登頂日: 1999年7月16日〜20日
 標高: 1,980m
 場所: 山形県 他
 天候: 快晴
 登頂時の年齢: 45歳
 同行者: FKさん、MKさん

 

月山
 

(出羽三山探訪)

 



【急遽変った目的地】

  縁があって、出羽の名山である月山も鳥海山も既に2回ずつ登頂した。しかし、7月16日に関越道をドライブするまで、よもやまた月山に登ることになろうとは思ってもいなかった。我々の目的は朝日岳登頂だったのだ。

  どうも目的地の天気予報が良くない。しかし日本海に面した地方は良く晴れそうだ。さて、どうする。ハードな山を悪天候下に延々と歩くより、もっと楽な山にしよう、ということになり、急遽行き先が月山になった。同行の二人にとっても、月山は初めてだから異存は無い。

  新潟で高速道路を降り、R7を庄内へ向うルートは通い慣れた道になった。17日未明、月山8合目駐車場に到着し、一杯やって仮眠。何と、仮眠中、車の外ではザーザー音を立てて雨が降った。
 

花の月山を登頂し、羽黒山も登拝
7月17日(土曜日)

  幸い雨はすぐに上がり、夜が明けると思いのほか良い天気になった。遠望は利かないが、上空には青空も見える。7:20、元気良く8合目駐車場を出発して、月山を目指す。

             弥陀ヶ原から月山山頂を目指す  

     花一杯の山道

  この日は、今までに無い素晴らしい花畑に出逢った。先ずは弥陀ヶ原で、鮮やかなニッコウキスゲの群落を見る。そして登るに連れて、イワカガミ、タカネシオガマ、チングルマ、ハクサンフウロ、ウスユキソウ、イワギキョウなど、その花の種類たるや数え切れない。FKさんは花に詳しく、花のガイドになった。そして、彼自身が一番喜んだのが、なかなか見られない花だというピンクの「シラネアオイ」であった。

                    【登山道で出会った可憐な高山植物の花】

   
         シラネアオイ                 チングルマ                      ハウサンフウロ
 
  
         イワギキョウ                 イワカガミ                      ウラジロヨウラク  
   
      ウスユキソウ(エーデルワイス)           キヌガサソウ                    タカネシオガマ

  前回1993年8月にTYさんと来た時には、月山神社の登拝祭で、ほら貝を吹く先達に導かれた白装束の団体信仰登山者が多かったが、今日は一般登山者が目立つ。しかし、身軽ないでたちの信仰登山者のも結構多い。荷物が軽いからか、彼らはとても足が速い。

   
                               仏生池小屋と雪田 

       
           残雪豊富な斜面をトラバース                     月山頂上神社にて

  我々は急ぐことなく、2時間20分をかけて月山神社本宮の立つ山頂に9:40到着。神社でお祓いを受けお神酒をいただく。信仰心は乏しくとも、敬虔な雰囲気に浸ると、何か御利益がありそうな気分になる。お参り後、山頂の草原を眺めながらブランチ宴会。残雪の上ではスキーヤーが若さを競っていた。宴会後、往路をゆっくりと戻り、12:45八合目帰着。

  この後、羽黒山を登拝。羽黒山は月山道路を下り、麓に着いてから直ぐにまた有料道路を少し登り返したところである。私にはこの羽黒山も3回目である。

     
         羽黒山神社を参拝する                                国宝五重塔は、坂道を思い切り下った場所だった

  杉の巨木に囲まれた羽黒山神社を参拝後、MKさんが国宝の五重塔を見に行こうと言う。私は今まで見たことが無かったので、何処にあるのかと訊ねると、あっさりと「この下」だと言う。じゃあ、行ってみようと、下り始めたは良いが、石の階段が、どこまでもどこまでもウンザリするほど下へ伸びている。カーブを曲がるとまた更に長い階段が下に現れる。

  下りとは言え、暑気で汗がたらたら流れる。ようやく辿り着いた場所にあったのは、くすんだ木造の五重塔であった。他所の多くの五重塔に比べたら、印象は地味だ。しかし、庄内の古い歴史を刻んだ塔である。これまで私はこの五重塔の存在さえも知らなかったので、苦労をしたとは言え、新鮮な感動を味わった。

  再び石の階段を、思い切り汗をかきながら登り返した。神社本殿に辿りついた時には冷たいソフトクリームが美味だった。

  その日は、鶴岡市内の湯田川温泉、七内旅館に投宿。冷房の設備が無いのに窓を開け放てばそれほど暑くない。日本海側なので湿気が少ない。そしてびっくりしたのが、窓には網戸が無いのだ。それなのに虫が部屋に入ってこない。その現象が信じられなかった。

      沢山ご馳走の出た湯田川温泉の宿 

  温泉で山の汗を流す。宿の食事は、素朴な作り立ての料理が次々と運ばれてきて、楽しく、そして美味しい。女中のおばさんが、お酒も飲んだのに、料理やご飯を何も残さず平らげた我々に、驚き、褒め称え、喜ぶ。翌朝、朝食には、おばさんがおひつを最初から二つ持ってきた。その好意に応えるべく、沢山食べて、残ったご飯はMKさんが昼食用にパックに入れて、おひつは二つとも空にした。
 

湯殿山神社を参拝し、出羽三山巡りを達成
7月18日(日曜日)

  10:00、食べ過ぎで重い身体を抱え、湯田川温泉を後にする。この日、登山は無しで、湯殿山方面に車を進める。

  先ずは山形へ抜けるR112の途中にある、大日坊で即身仏を拝む。畳の大広間に座り、新潟県から来た団体と一緒に、庄内訛りのお坊さんの講話を聞き、即身仏にお参りするのだ。曰く、この即身仏はミイラとは全く違うものだ、ミイラは内臓を取り払って作るが、この仏様は樹液を飲んで体内を浄化して、全く腐敗しない仏様になったのだと。

   出羽三山登拝チケット

  即身仏の姿は、決して気味悪いものではなかった。小ぢんまりと黒く縮んだそのお姿は、つやつやとしていた。よくぞ、そこまで修業を積まれたもの、と感動を覚える。

  大日坊を後に、湯殿山を訪れる。大駐車場に車を置き、バスで山道を上がって登拝する。神社入口で裸足になり、境内の土の上を歩いて行き、ご神体であるお湯の涌き出る岩を拝む。このご神体は女陰を表わしている。そこでお祓いを受けてから、初めてご神体の上を温かいお湯に足を暖められながら歩く。本当に地から涌き出る天然温泉だが、入浴には使用しない。結構滑りやすいが、こんな場所で滑って怪我でもしたら縁起が悪いので、慎重に歩く。境内は撮影禁止だ。

   湯殿山境内は撮影禁止のため、写真はこれだけ 

  三山駈けをするには、この湯殿山神社を起点にして月山を目指す人も多い。登拝所からの山道を登って行くハイカーの姿もあった。我々は車を利用してではあったが、これで出羽三山を初めて全部登拝した。ちなみに出羽三山と言っても、いわゆる登山の対象となるのは月山だけであり、羽黒山と湯殿山はご神体のことである。帰路はバスに乗らず、雨の降り出した山道を歩いて帰った。

  このあと、山形盆地へ抜け、R13を北上し、秋田県湯沢市の秘湯、泥湯温泉「奥山旅館」に投宿。山中のひなびた温泉場であり、しんと静まり返った夜の露天風呂を楽しみ、美味しい料理と美酒を味わった。

 

川原毛地獄を探訪
7月19日(月曜日)
 

  この日も天候は勝れない。当初、栗駒山登山を予定していたが、そういう意欲をそぐ天気だった。9:00、宿をチェックアウトし、川原毛(かわらげ)地獄と大湯滝を見物するべく、駐車場に車を置き、ザラザラの火山性砂利に埋め尽くされ、所々噴気の上がる地獄を下って行く。

   
                   豪快な川原毛地獄の大湯滝

  地獄を下り切ると休憩舎があり、そこからお湯の流れる小川に沿った谷間を歩いて行く。そうすると、滝の水音が聞こえ、大勢の男女の騒ぐ声が聞こえてきた。残念ながら先客がかなり居た。

  大湯滝は大きなものだ。幅の広い大きな白い岩の上から何本ものシャワーのように湯が流れ落ちる。形だけの脱衣場で、トランクス一枚になり、滝壷の湯に浸かる。ぬるめで、暑い季節には適温かも。ほんのり硫黄の香りが漂い、気持ち良い湯だ。滝壷の足元の丸い石は温泉の成分で滑りやすい。幸い、私が浸かる頃になって、大勢の男女グループは去ってくれた。

  川原毛から山道を辿って小安峡(おやすきょう)を橋上から見物し、この日は東北道を一気に福島まで南下する。奥土湯、赤湯温泉に宿を取ったのだ。秘湯巡りの締め括りになる。


  福島から山中に入ると濃霧に包まれた。別世界へ向っているような不思議な感覚にとらわれる。そして仄かに見えた道標に従って狭い山道を下ったところに赤湯温泉、好山荘はあった。この温泉の由来は、鉄分の多い赤錆色の温泉であるが、その他に、屋外には白濁した硫黄泉の露天風呂もある。2種類の温泉が楽しめる秘湯である。ここの宿は、古ぼけた旧館に泊って一泊二食で8,000円であったが、夕食は良かった。高級食材は無いが、ボリューム、味共に申し分無い。霧にまかれた山中の宿は、俗世間から完全に隔離されたようで、私自身は十分楽しめた。

     
                        二種類の湯質が楽しめる山中の秘湯
 

喜多方ラーメンを食べて帰京
7月20日(火曜日)

  8:30に赤湯温泉を出発し、あだたら高原スキー場のゴンドラ乗り場に行く。安達太良山登山を目論んでいたのだが、上空は厚い雲に覆われたままで、どうも私は気が乗らない。FKさんは、きっと登ってみたかったのだろう。わがままな私の気持ちから言えば、もう既に好天下に登った山に、曇天下にもう一度登るのは気が進まず、また機会を改めて、喜多方でラーメンでも食べて帰りましょう、と私が提案したら、あっさりと皆が同意した。しかし、限られた小遣いを有効に使いたいFKさんは、不平不満を口に出さない人だが、内心は残念であったに違いない。

  裏磐梯を抜け、喜多方の坂内食堂でラーメンを食べる。そして蔵造りの街並を腹ごなしに散歩し、喜多方温泉で汗を流し、磐越道〜関越道経由で帰路につく。麓は炎天だったが、山岳部だけは厚い雲がいつまでも取れなかった。それを見て、安達太良登山諦めの口実にするしかない。FKさん、ごめんなさい。

  はるばる出羽に赴いて、同じ月山に3回も登ったが、可憐な花畑を堪能し、出羽三山巡りを初めて達成した私には、結構満足した旅であった。■

 

出羽三山と秘湯巡り行程表

1999年7月16日(金曜)〜7月17日(土曜)
入間19:00===19:30FK宅===小手指駅19:35===(関越道)===新潟===(R7)===鶴岡===2:50月山八合目
月山八合目7:20 --- 9:40 月山頂上 10:55 --- 12:45 月山八合目12:55 === 13:20 羽黒山(神社、五重塔参拝)14:30 === 16:00 鶴岡市湯田川温泉、七内旅館宿泊

7月18日(日曜)
湯田川温泉10:00 === 11:00 大日坊参拝 11:30 === 11:40 湯殿山神社参拝 12:30 ===(R112, R13)=== 17:15 秋田県湯沢市泥湯温泉、奥山旅館宿泊

7月19日(月曜)泥湯温泉9:00 === 9:20 川原毛地獄探勝、大湯滝入浴 10:30 === 11:00 小安峡(昼食、温泉入浴)13:00 === 古川IC ===(東北道)=== 福島西 === 16:50 赤湯温泉、好山荘宿泊

7月20日(火曜)
赤湯温泉8:30 === あだたら高原スキー場 === 11:30 喜多方13:00 ===(磐越道、関越道)=== 18:00 小手指(夕食)、駅で解散 === 20:00 入間帰着

 

月山の最初の登山の記録(1989年)は、こちら

    
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