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Data No. 47 |
データ: |
出羽 月山
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この山は、8月に鳥海山とペアで登山を試みたのであるが、台風接近で諦めた山だ。古来月山、湯殿山、羽黒山の「出羽三山」は信仰登山の山として有名だが、実際に「山」と呼べるのは月山だけである。鳥海山頂から優しい丸みを帯びて南に聳えていた月山を忘れがたく、思い切って再挑戦する。 9月22日(金曜)~23日(土曜) 会社から帰宅後、直ぐに若葉マークを付けたカムリで関越道~新潟からR7を北上する。途中で休憩は必要だと思ってはいたものの、時間を節約したい気持ちが勝り、最後の急カーブの連続する月山八合目への道を登り切った時、時計の針は午前5時を指していた。空はうっすらと明るくなってきたが、さすがに疲労がどっと押し寄せて、シートをフル・リクライニングさせて一眠り。 目が覚めると、外は濃い霧に包まれて小雨も降っていた。それを見てもうひと眠りし、8:00にようやく起きる。駐車場には数台の車が居て、皆登山の準備をしている。優柔不断な私も、それを見て登頂を決意。2回も遠路はるばる来て、2回とも諦めたらシャクでもある。おにぎりを食べ、9:00雨具を装着して登山道に足を踏み入れる。 ガスの中を登って行くと、「弥陀ヶ原」という湿原に出る。池塘の点在する湿原は、白い靄の中にシンと静まり返っていた。初夏には花が咲き乱れる処だそうだ。誰も居ない一直線の木道をコツコツと音を立てて先に進む。弥陀ヶ原を過ぎて、再び緩く登って行くと九合目の仏生池(ぶっしょういけ)と仏生小屋に出る。人気の全く無い小屋は静まり返り、地蔵が沢山居並ぶ池の周りは不気味でさえある。 やがて道は傾斜を増し、低い灌木の間に大きな石ころを敷いてある処を登るようになる。樹木は秋の色に染まっている。やがて左側に「月見ヶ原」という雪田の残る小圏谷を見て、僅かに登ると、ひょっこりと月山頂上神社前に出た。 「月山神社本宮」と書かれた石の鳥居をくぐり、風除けの石垣に囲まれた階段を登るとつつましい本宮に出る。ここが月山頂上、標高1,979.4m地点だ。八合目駐車場から二時間半、無事に登頂を果たせた感謝を込めて参拝。しかし、昭文社の登山地図によると、八合目から月山頂上は所要1時間45分となっている。私の足がそれほど標準より遅いとも思えず、強い疑問が残る。 周囲には人っ子一人居ない。信仰登山の時期には大賑わいするであろう休憩小屋内部は、ゴミが散らばっていて清潔とは言えないが、ここで昼食を済ませ、頂上を後にする。雨は止んだが、ガスは深いままで展望は無い。往路をそのまま戻る。下山時になって、時折ガスが切れて薄日が差すようになった。眼下に秋の暖色に染まった広大な弥陀ヶ原が見え隠れする。雲の中から天狗様でも飛来してきそうな幽玄な雰囲気だ。 登りとほぼ同じ時間をかけて八合目に戻る。レストハウスで熱いコーヒーを飲み、ほっと一息つく。遠路はるばる来たのに残念な天候だったが、是非またの機会に再訪したい山だ。 【羽黒山も参拝】 狭いカーブだらけの山道を下り、羽黒山神社にもお参りする。背の高い杉林に覆われた丘の上に、大きな茅葺屋根(入母屋造りと呼ぶ)の社殿が鎮座していた。ここには出羽三山の三山合祀殿があり、大勢の参拝客で賑わっていた。信仰心の薄い私でも、こんな立派な神社の前では敬虔な気持ちになり、世界平和を祈願した。何故かそうするとホッとした気持ちになった。 今宵の宿はどうしようかと迷ったが、淋しい山を歩いたので、どこか賑やかな街に泊りたくなり、R7を延々と戻り、夕方8時頃に新潟駅傍の第一ホテルに投宿。駅前の食堂で出発以来初めてのまともな食事にありつく。昨夜の夜通し運転、ガスの中の登山、そして再び長距離ドライブの疲労が、冷えた美味しいビールの酔いで増幅されて、ホテルの部屋に戻って入浴後、正体もなく熟睡した。■
3度目の花一杯の月山と出羽三山探訪(1999年7月)の記録は、こちら。 |