山に呼ばれて山歩き Home

日本全国の山ある記

山のバッジギャラリー

ぶらり旅行記

ふるさと讃歌 十日町

お奨めリンク集

Data No. 137

 データ:
 登頂日: 1997年8月6日〜9日
 鳥海山標高: 2,236m (山形・秋田県境)
 一切経山標高: 1,949m (福島県)
 天候: 快晴
 登頂時の年齢: 43歳
 同行者: FKさん

 


鳥海山再訪

吾妻 一切経山

 



【天候不順の夏は出羽の山へ!】

  予定では白馬岳を登るはずだった。しかし、ここ数年、北アルプス方面に行こうとすると天気が思わしくなく、東北方面に行き先を変更することが多い。今回も、やはりそんな結末になった。

  東北の日本海側から北陸は、昔から概して冷夏とは無縁であり、夏でも南岸に停滞する前線の影響を受けにくい地域である。うまい米がとれるのは、この地域の夏の気候の恩恵もあるのではないか、と私は思う。

  同じ山を苦労して登るのは好きではないが、初めての山でも雨合羽を着ながら登るのは、もっとイヤだ。予報では、新潟から山形へかけての日本海側しか晴天のマークがなく、やむなく鳥海山を再び選んだ。同行のFKさんにしてみれば、初体験の山になるので、異存は無かった。

  そんなわけで8月6日の水曜日、夜通し運転で関越道、新潟からR7を北上し、鳥海山鉾立登山口駐車場にもうじき夜が明けようという3:10に到着した。
 

8月7日(木曜)
【快晴の鳥海山登頂】

  前回も同じ時期に、快晴に恵まれて登頂したので、敢えて登頂記を繰り返さない。前回は単独行であったが、今回はFKさんと一緒なので、退屈することも無く、ずっと時間をかけてゆっくり登った。そして、素晴らしいパノラマを満喫した。前回と違うのは、下山に千蛇谷雪渓が、途中の崖崩れで通行禁止になっていたために、苦労して外輪山に登り返し、往路を忠実に下ったことである。

    日本海を見下ろす

        鳥海山は青空の下に 

     鳥の海を見下ろす

    
       鳥海山頂上にて                          今年も花一杯だった登山道

   


  午後3:30、鉾立駐車場に帰着。今日はステッキを使って登ったのが、両足のバランス取りに良くなかったのか、膝が下山中に痛かった。

       温海温泉で海の幸を堪能する  

  この日は下山後にR7を南下して、新潟県境に近い温海(あつみ)温泉「ことぶきや旅館」に投宿。山の汗を流して、海の幸が豊富な夕食膳を楽しんだ。快晴下に鳥海山登山を果たした満足感で酒も美味かったのは言うまでもない。
 

8月8日(金曜)
【吾妻山中の秘湯でリラックス】

  早朝、旅館前の朝市を見物。その途中から雨が降り出した。今日は休養日とする。のんびりドライブしながら、裏磐梯から吾妻山方面へ行ってみよう、という結論に達し、新潟県から会津へ抜ける。

  R7を南下し、新発田からR49を阿賀野川に沿って東に進路を取り、会津へ出る。そして午後、喜多方の町に入る。坂内(ばんない)食堂で約20分行列して、「肉そば」を食べる。とても美味だった。

  吾妻山中の野地温泉ホテルに17:50投宿。立派なホテルだが、二食付で一万円という手頃さ。そして、館内には実に様々な浴室がある。数種の露天風呂はもちろん、内湯も工夫が凝らしてあり、それを2時間おきに男女交代するので、5〜6種の湯巡りが出来る。夕食も良かった。
 

8月9日(土曜)
【浄土平、一切経山に登頂】

  青空が戻る。朝食後、9:10出発。磐梯吾妻スカイラインを浄土平に向かう。この道は何度も通ったが、これほど良く晴れたのは初めてだ。磐梯山の姿も、裏磐梯の湖の姿も何の陰りもない。

  9:45、浄土平に到着。ここでは大半の観光客は、吾妻小富士の縁に上って行くが、我々は趣向を変えて一切経山に登ってみる。

  吾妻連峰は東西に長い。その西端の「西吾妻山」が最高峰であり、百名山ハンター達は、西吾妻山に登れば、深田久弥氏が百名山の1つとして選んだ「吾妻山」を登頂したことにしている。しかし、最高峰がその山域を代表するものでない場合も多々ある。歴史をたどれば、この一切経山周辺が、昔は「吾妻山」と呼ばれていたらしい。この一切経山という名前は、僧空海が山中に一切経を埋めたので、その名があるとも伝えられる。

  そんな一切経山に登ってみることも、「吾妻山」を知る上で、何らかの意義があるだろう。

    浄土平から一切経山を目指す

    アリ地獄のような吾妻小富士を見下ろす 

    荒れた山稜をたどり、頂上はもうすぐ

  駐車場から花の咲く石ががらがらの平原をしばらく歩き、樹木を付けない荒々しい山容の一切経山を左側から登って行く。今は活動を中断しているとはいえ、山腹の噴火口の跡も生々しい。

  快晴に恵まれたので、気分が良く、一昨日の鳥海山登山の疲れも残っているが、山頂からのパノラマを期待して、元気良く登る。人出もかなり多い。

  稜線に出ると、砂利だけの世界だ。登るに連れ吾妻小富士の火口がアリ地獄のように眼下に口を開けている。吹き付ける風に帽子を飛ばされそうになりながら、11:05、標高1,948.8mの一切経山頂上に到着した。約70分の登りであった。

     一切経山頂上にて

   
                             魔女の瞳と吾妻連峰

  吾妻小富士の反対側、すなわち西側には広大な原生林を抱えた吾妻連峰の核心部が広がっている。どの山もなだらかだ。この一切経山の直ぐ足元には、「魔女の瞳」と呼ばれる吾妻五色沼が濃いブルーの水を湛えている。これも昔の噴火口跡であろう。ほぼ完全な円形をしている。この沼の周囲には、人工の造作物が全く無いので、静かな神秘的な佇まいを見せる。

     吾妻連峰の奥には朝日連峰も

  一切経山を後に、今度は登る途中に見えていた鎌沼を探訪する。一旦、登ってきた道を下り、途中から尾瀬のような花の咲く広い湿原を木道をたどって歩いて行くと、明るい緑の草原に囲まれて、清澄な水を湛えた鎌沼の畔に出た。今迄に浄土平は4回も来ていたが、吾妻小富士を往復するだけで、このような美しい自然の風景は全く知らなかった。静かな鎌沼のほとりでランチタイムを楽しむ。

       鎌沼を見下ろす

  鎌沼を一周して、浄土平に戻る。それでもまだ晴天は続き、我々にまだ帰るなと言いたげである。勢いづいて、その足で吾妻小富士も登頂し、お鉢巡りをした。標高1,705mの吾妻小富士からは、登ってきた一切経山は見上げる位置にある、どっしりとした貫禄のハゲ山であった。下界では猛暑が続いているのか、福島の街は霞の下に淀む。

   吾妻小富士山頂にて

  小富士から一切経山を望む 

  今日は土曜日なので、もう一日遊んで帰っても良いのだが、予算にも体力にも限りがある。磐梯吾妻スカイラインを下り、土湯温泉で山の汗を流し、みちのくの山に別れを告げ、帰路につく。■

 

 初めての鳥海山登頂記(1989年8月)は、こちら

 

鳥海山、吾妻連峰とみちのくの温泉巡り行程

1997年8月6日(水曜)
入間20:00--小手指20:20===(関越道)===新潟===(R7)===3:10鳥海山、鉾立

1997年8月7日(木曜)
鉾立6:20---11:05鳥海山頂上11:45---12:10御本社12:25---15:30鉾立
鉾立16:00===道の駅===18:30あつみ温泉、ことぶきや旅館に投宿

1997年8月8日(金曜)
あつみ温泉朝市見物
あつみ温泉9:50==(R7)==10:40朝日まほろば温泉11:45==新発田==(R49)==15:00喜多方(ラーメンで昼食)16:00===17:50野地温泉、野地温泉ホテルに投宿

1997年8月9日(土曜)
野地温泉9:10==(磐梯吾妻スカイライン)==9:45浄土平9:55---11:05一切経山11:30---鎌沼で昼食---姥ヶ原---浄土平---吾妻小富士のお鉢巡り---15:20浄土平15:35===16:35土湯温泉で入浴17:30===(東北道)===久喜==小手指==22:30入間、帰宅。

 
     登山記リストへ戻る