Data No. 56 / 57 / 58 |
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八甲田山 そしてみちのくの湯巡り
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Yさんと、20:30に入間出発。R16を経て22時に東北道久喜ICをくぐる。旧盆帰省ラッシュの東北道を北上し、盛岡近くの紫波SAで2時間ほど仮眠する。 民族の大移動と言うが、本当に凄まじい程の車の量であった。仮眠中もひっきりなしに車が出入りする音が響いていた。この時期、東北地方には想像を絶する程の人々が故郷を求めて押し寄せる。 8月10日(土曜) 南部富士、岩手山登頂 6:00に再び北上開始。盛岡付近から、どっしりとした姿の南部富士、岩手山が行く手に見えてきた。山頂付近は白っぽい火山礫に被われているのが見える。 盛岡の北、滝沢ICを出て、一直線に岩手山に向かう道路を西進する。自衛隊の演習場を抜け、「馬返登山口」に6:45到着。今夏は梅雨明けが遅れた上、東北地方はずっと低温注意報が発令されている。今日も好天であるが、気温は低めだ。 朝食後、7:25に登山口を出発。赤土がえぐれた樹林帯の中の静かな道を歩く。40分程で一合目を通過。以降、この合目標識は、ほぼ20分間隔で配置されていた。 五〜六合目付近まではずっと樹林帯の中だったが、次第に樹木の背丈は低くなってゆく。振り返れば森に囲まれた馬返駐車場と自衛隊演習場、そしてその奥に盛岡の街並みが足元に広がってきた。彼方に北上山地の早池峰が一際高い。 八合目、不動平にて 七合目で一旦傾斜が緩み、火山礫に覆われた灰白色の山頂部が、鍋を伏せたような形で聳える。高山植物の花も、綺麗に咲いている。冷たい清水で喉を潤し、不動平まで平坦な庭園状の道を歩く。八合目の不動平小屋からは、ザラザラの火山礫が堆積した急斜面を斜めに登る。一歩踏み出すと、20cm位はザザッと下がってしまう不快な斜面だ。そんな斜面を悪戦苦闘で登り切り火口の縁に出ると、巨大なスリ鉢状火口の対岸に、漸く岩手山頂上が姿を見せた。時計回りに、やっと歩き易くなった地面を踏み締めて、ひと頑張りだ。 11:20、岩手山頂上(標高2,038.8m)を踏む。頂上は小学生達が占領していて賑やかだ。快晴の頂上のパノラマを楽しむ。足元には月の砂漠のような火口跡が膨大な広がりを見せ、お鉢の外側には外輪山に囲まれた八ツ目湿原の池が緑の森の中に光っている。ギザギザの外輪山の麓には、のどかな田園風景の下界がある。独立峰である南部富士の頂上は周囲に全く視界を遮るものが無い。 八ツ目湿原を見下ろす 往路をそのまま下る。ハイピッチで下り、三合目で大休止後、14:15、馬返に帰着。冷たい水で喉を潤し、車で岩手山の麓をぐるりと回り込むようにドライブして網張温泉へ。岩手山の西麓にあって、ここからリフトを利用して登る人も多い。リフト乗り場近くの宿舎裏手にある渓流沿いの無料露天風呂で山の汗を流す。 この後、小岩井道路を経て盛岡市に行き、スターホテル盛岡に宿泊。 8月11日(日曜) 八幡平ハイキングと湯巡り 珍しく予報が当たり曇天。盛岡から松尾八幡平IC迄高速に乗り、八幡平アスピーテラインを上る。中腹ではかなり濃いガスが車道の視界を遮り、気が滅入る。 八幡平ハイキング道入口にある駐車場に車を停め、山頂を目指す。遊歩道は良く整備された道だ。程なく大きな八幡沼を見下ろす展望台に着く。18年前は完全に何も見えなかったが、今回は多少マシか。この八幡平は山というよりも、広大な高層湿原地帯だ。 八幡平頂上(1,613m)には、無粋な物見櫓があってガッカリ。何時の間にか霧雨が降り出し、景色は全く見えなくなる。こんな天気でも観光客の姿は絶えない。遊歩道一周を終え駐車場に戻る。ここは車で来られるので、またの機会があるだろう。 アスピーテラインを秋田側に下り蒸ノ湯露天風呂、後生掛温泉、玉川温泉を探訪。もちろん露天風呂にもしっかり入って楽しんだ。 この日は大館市に向かい、グリーンホテルに山七に宿泊。
8月12日(月曜) 下北半島巡り 天気予報が芳しくなく、八甲田山は明日に延期し、下北半島を探訪する。青森湾をぐるりと回るように、野辺地から一本道を北上し、むつ市から恐山への狭い道に入る。 山道を登った後に急降下すると、大きな湾のような水面が見えてきた。あれ、また海に出たのかな、と不審に思いながら車を進めると「恐山」の標識があった。この突然現れた水面は海ではなくて宇曽利湖だった。霊場恐山は多くの観光客で賑わっていた。白く焼けた地獄谷のような境内に踏み込むと、礼拝堂や宿坊の建物の他に温泉小屋が幾つかある。ここは死者の霊と対話出来るということで有名だ。 空を鳴きながら飛ぶカラスの群れ、どんよりした空、灰色の湖、草木の死に絶えた地獄谷の境内に服を着せられ首をうなだれたように鎮座している地蔵や仏像...。普通の観光地での様な振舞いは慎みたくなる雰囲気だ。境内をぐるりと一周後、タオルを持って温泉小屋に入る。 温泉小屋は幾つかあって泉質の異なる湯が引かれている。無色透明の湯、硫黄分を含んだ白濁した湯などがあり、先客と温泉談義をしながら入浴を楽しんだ。恐山は、先立たれた恋しい家族に再会するため、すがるように通ってくる人々も多いはず。そんな真摯な人々の思いに失礼かもしれないが、私は明るく楽しい時間を過ごしてしまった。 恐山を退去後は、更に山奥に進み、薬研(やげん)温泉を越えて奥薬研温泉を訪れる。がけ下の無料露天風呂を探訪し、大畑を経て、青森へと往路を戻る。いくらか明るくなった行く手の右側に八甲田連峰の影が浮かんでいた。明日は是非とも好天下に登頂したい。この日は青森駅前、ホテルニュー青森館に宿泊。
8月13日(火曜) 八甲田山を縦走 「曇り時々晴れ間あり」という予報に希望を持ち、早朝にホテルを出発。青森市内から八甲田へ登る途中も、昨日までの数日よりは空が明るく、山の姿も時折姿を見せる。 意気込んで早々と6:30に来てしまったが、ロープウェイの始発は8:30であった。スカシを食った感じで待つ間、折角晴れていた空は再び曇天に逆戻りしてしまった。旧盆休みにこんな遅い始発ではやりきれない。 始発でようやく8:40に山頂駅に着いたが、ガスで視界はゼロ。観光客を尻目に直ぐに出発。田茂萢岳山頂を踏み、遊歩道に沿って広大な山頂湿原を緩く下るように進み、赤倉岳方面への縦走路に入る。アオモリトドマツの林の中を登って行き、振り返ると美しい田茂萢湿原が視界一杯に広がっていた。山の麓よりは山頂部の方が雲が若干薄い。深い緑色のアオモリトドマツの樹木が明るい緑の湿原に点在し、尾瀬とは異質の湿原風景を醸し出す。 赤倉岳山頂(1,548m)には祠が立っていた。霧雨が降ってきたので先を急ぐ。背の高い樹木は消え、かなり荒れた火山のような稜線だ。高山植物の花が咲く。次のピークは井戸岳(1,550m)で、山頂を越すと古代競技場のようなすり鉢状旧火口縁を回り込むように歩く。そして、土砂流出防止用の柵が無粋に林立する急斜面をジグザグに下って行くと、大岳との鞍部に「大岳避難小屋」が静かな森の中に佇んでいた。 ひとまずは大岳山頂を目指す。笹薮の露に下半身をびっしょり濡らしながら登って行くと、再び森林限界を越えて、ガレ場の登りとなる。息の切れる急斜面をしばし頑張ると、やがて頭上に遮るものがなくなり、連峰の最高峰である八甲田大岳山頂(1,584.6m)にたどり着いた。大きな山頂標識があった。天候が勝れず、やや涼し過ぎたが、登頂祝にYさんとビールで乾杯。 大岳避難小屋に戻って昼食をとる。メニューは炒飯、レトルトカレー、果物や魚の缶詰、コーヒーなど。小屋は空いていて、雨風に悩まされることなく、快適なひとときを過ごす。 酸ヶ湯(すかゆ)温泉へ向けて下山する。急降下しばしで、やがて上毛無岱(かみけなしたい)の広い湿原に出る。口笛まじりに歩ける木道を快適に歩く。時折姿を見せる八甲田連山に抱かれ、素晴らしい雰囲気だ。この湿原の端から再び木の階段を急降下すると、驚いたことに、足元には更に広大な別の湿原が視界一杯に広がる。下毛無岱湿原である。麓から山を仰いでは決して想像出来ない山上の風景には、本当に驚き、感動した。 「楽園」というイメージが相応しいこの風景であるが、厳冬期には日本海の風と太平洋の風がぶつかり合って想像を絶する厳しい環境だという。昔、この連峰の反対側では青森歩兵第五連隊の百名を越す屈強な兵士達が雪中行軍の途中で命を落としている...。 湿原から山頂を振り返る 湿原を抜け、起伏の少ない林の中を歩いて行くと、やがて足元に酸ヶ湯温泉の建物が見えてきた。時間はかかったが、楽な下山道であった。13:05、355円の料金を払って、酸ヶ湯温泉千人風呂に入る。脱衣場から浴室に入ると、その広さに唸る。全館木造の大浴場は天井が高く、大きな浴槽には白濁した湯が溢れている。千人とは大袈裟だが、混浴の館内は仕切りも無く、老若男女がおおらかに湯を楽しんでいる。飲泉するとレモンスカッシュのように酸っぱい。バスを一台遅らせてゆっくりと楽しみ、山の汗を流した。 バスでロープウェイ山麓駅に戻り、自分の車を出す。奥入瀬渓谷を横目に見て、十和田湖で休憩し、その後はひたすら南へドライブ。秋田県横手市のステーションホテルに21時到着。お盆の為、街中は人気が無く外食も出来ないので、コンビニ弁当とビールで夕食とし、爆睡した。 8月14日(水曜)〜18日(日曜) 秋田、山形、新潟県を縦断し、14日夕刻に十日町に帰着。夏休みの残りは郷里でのんびりと過ごす。岩手山以外、天候に恵まれたとは言えない山行だったが、温泉は思う存分楽しんだ。東北の山と湯は奥深く、そして楽しい。■
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