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Data No. BT-31


Data: 
 訪問地:宮城県女川町、
     山形県尾花沢市銀山温泉 
          新潟県村上市瀬波温泉
 旅行日:2018年1月下旬
 天 候:真冬らしい天気
 同行者:汽車旅仲間4名で 

 

南東北〜越後

冬の汽車旅

宮城県 女川町
 山形県 銀山温泉
    新潟県 瀬波温泉 他
 

 

 

三陸海岸の女川町へ

  今回も、JR東日本じじばば切符での、4日間の冬の汽車旅です。目指す女川(おながわ)は、仙台で東北新幹線を降り、仙石東北ライン列車に乗り、波穏やかな松島湾を眺め、終点の石巻から、石巻線に乗換えて約30分の海辺の町。2時間弱のローカル線の旅。

     
     仙台から仙石東北ラインの特別快速列車に乗って石巻へ        石巻から女川行気動車に乗換え

  今回、女川探訪を選んだのは、テレビで、7年前の大震災から復興した町の様子を見たこと、そして美味しそうな海鮮料理の店が紹介されていたので、興味を持った。そこで、美味しいものを食べ、温泉に浸かり、町を探訪してみたい。それが僅かばかりでも復興支援になれば。


立派でモダンな駅舎と瀟洒な駅前通り

     
        日帰り温泉施設のある女川駅舎                        駅前通りから海を眺める

  小さな町だが、日曜日の昼前、2両編成の気動車から、終着の女川駅では意外と大勢の客が降りた。モダンな三角屋根の駅に改札口は無く、広い駅前広場から、真正面に海が見える。そして広い駅前通の両側には、バランス良く、シックな木造風の商店、飲食店、銀行、クリニック等が並ぶ。しかし、民家らしい建物は全く見えない。ここは津波被災後、約8メートルかさ上げされた土地に、復興した町だという。民家は全て高台に移築再建らしい。駅前から、海に向って合掌。

  先ずは、目当ての海鮮料理が美味しいという店に直行。午前11時過ぎ、まだ開店したばかりの店内は既に満席で、我々の後からも、続々と客がやってきた。15分ほど待たされたが、早めに来て正解だった。ここは丼からはみ出す大きさのアナゴ天丼が名物だが、当日は不漁の為か注文不可。そこで、メニューの写真を見て選んだ海鮮丼定食をいただきました。\1,700。

     
          ウニの下にもマグロの切り身があった
              これはホタテがメイン

  多少待たされた甲斐があって、新鮮で、とても美味しかった。女川に来たら、ぜひオススメの店です。大満足で店を出たら、行列は更に伸びていた。

  腹ごなしに女川の町を散策。海のすぐ傍から駅に向って、上の写真のような商店街が造られ、海鮮市場、土産物屋、さまざまな飲食店があって、日曜日の海辺の小さな町は驚くほど賑わっていた。

     
     海に一番近い海産物市場            サンマのお土産が沢山あった       駅構内の温泉ゆぽっぽ(HPより借用の写真)

  海鮮の和食だけではなく、洋食の店も、お菓子の店も、いろいろあり、ゆっくり見ても、退屈しない。この地はサンマが名物らしく、サンマの調理加工品の土産が目立つ。

  海辺の寒い町を歩いた後は、帰りの列車時間まで、女川駅舎内の日帰り温泉「ゆぽっぽ」で温まる。町も、駅も、全て新たに出来たばかりだから、きれいで清潔だ。こんな小さな町でも、よくぞここまで頑張って復興したものだ。頭が下がります。

  7年前の被災地は、この女川だけではないが、来年に予定されている釜石から宮古までのJR山田線が、第三セクターとして復旧したら、ゆっくりと、途中の泊りがけで、三陸海岸の汽車旅をしてみたい。

  この日は、夕方までに仙台に戻り、温泉大浴場付ドーミーインに投宿し、旅初日の夕食には、居酒屋で牛タンや地酒を存分に味わいました。FMさんは家庭の事情で日帰り帰京。

 

山形の銀山温泉へ

  旅二日目の午前、仙台から福島へ新幹線で向かい、昼前の新庄行の山形新幹線「つばさ」に乗り換える。いやびっくり!全車満席だ。平日ながら、指定席を確保しておいて本当に良かった。それも途中の米沢や山形で大半は下車すると思っていたが、ほんの数人しか席を立たない。あれ、みんな何処へ行くの...??

  美味しい駅弁ランチを楽しみながら、福島から2時間弱、我々の目的地、大石田(おおいしだ)駅に到着して、もっとびっくり!この小さな駅で、大きな荷物を持った大半の乗客が降りて、ホームを埋め尽くした。しかも、日本人じゃない。時間をかけて改札を抜け出たら、銀山温泉の旅館の送迎バスの群れが駅前広場を埋め尽くしていた。訊くと、大半は台湾、香港、中国からの観光客らしい。それにしても、よくも、こんな山奥の温泉を彼らは知っていたものだ。

  我らも、予約しておいた旅館の送迎車で、「この辺(山形県尾花沢市)は日本で有数のスイカの産地だ」という、運転手の老爺(旅館の社長だった)の説明を聞きながら、駅前から雪道を約30分かけ、山懐の温泉街手前の駐車場で降りる。そこから川を挟んだ温泉街は、道が狭く、車はほとんど入れないので、数分歩いて旅館に投宿。まだ午後2時過ぎ、暖かい5階の部屋に落ち着く。

     
      温泉街入口から見る風景               ここが今宵の宿               気持ちよい硫黄泉であたたまる

  今宵の宿は、旅館街の真中にある「旅館松本」。玄関先の「歓迎ボード」には、台湾から2組、中国から1組、我々を含め埼玉から2組の名前。要するに日本人よりも、南方の外人さんの方が多いということ。それでも社長の話では、言葉が通じなくても、彼らは「漢字を理解する」ので特別な不自由は無いのだと。


大正ロマン情緒満点の温泉街

  部屋で荷物を降ろして休憩後、玄関先で防寒着と長靴を借りて、先ずは温泉街を散策。いや、なかなか情緒あふれる町並だ。川を挟んで、温泉宿や土産物屋が、ぎっしり並ぶ。それも景観を重んじてか、建物の形も色も統制がとれている。

       
     大正ロマン満点の温泉街              建物も凝っている                 無料の足湯もあり
           カレーパンの店もありました
     

  町は台湾や香港からの観光客で大賑わい。絶対日本人よりも多い。写真を撮るポーズや対象とする背景が、日本人とは違う。彼らには、決して自国では体験できない「雪景色」の日本のひなびた旅館街の風景が、とても珍しいのだろう。でも、西洋人らしき客は、ほとんど見ない。我々、昔は若者だった日本人でも、心ほのかに温まる郷愁を覚える。土産物屋をのぞき、足湯を見物し、歴史のある建物を眺めたり、寒さをいっとき忘れて、大いに楽しみました。


 

圧巻はライトアップの町並み

  旅館で、ゆっくり硫黄泉の湯につかり、夕食前の17:00、再び防寒着を着て、ライトアップされた町を探訪。雪が降ってきて寒いので、旅館から、ほんの数分程度、近場だけの散策ですが、雪国情緒満点の町並みに感動!これ、肉眼で凍えながら見物した時よりも、降り注ぐ雪が光って見える下の写真のほうが、なんだか良い雰囲気が出ています。

       

       


美酒に酔い、郷土料理を堪能

  夕食は広間で、郷土料理、山形牛陶板焼、とり釜飯などをいただきました。地酒は、この旅館のオリジナルラベル付。 

    
     郷土料理の夕食膳、川魚、山形牛の陶板焼き、トリ釜飯など                地酒と共にゆっくりと

  実はこの日、東京(関東地方)では、大雪で大変だった。夕食後は、あたたかい部屋で、テレビのニュースにくぎ付け。お仕事帰りの番長の息子さんも、災難に遭ったらしい。当地は雪降りが当り前なので、誰もが平静だったが、明日は日本海側の羽越線で新潟へ出るのが、ちょっと心配になる。



 

越後村上へ苦心惨憺の汽車旅

  旅の3日目、朝9:45に送迎バスで大石田駅へ。そこから新幹線で新庄経由、陸羽西線の酒田(さかた)行に乗るまでは、すこぶる順調だった。ゆったり流れる最上川(もがみがわ)を眺めつつの雪の中、列車は定刻走行。それが陸羽西線の終点である余目(あまるめ)駅に到着直前、ホームはすぐ先に見えているのに、強風という理由でしばし停止。この日、日本海側は大荒れの予報。

  予定では、当列車の終点酒田で降り、昼食後、羽越線特急で村上に向かうのだが、次第に不安になった。やっとのことで余目に着いたが、そこからも、超ノロノロ運転。2005年、余目で突風による特急列車脱線転覆事故があったが、それがJRにはよほど堪えたか。傍の農道を軽自動車がバンバン走っているのに、列車は歯がゆいほどの徐行運転。確かに風は強いが、西武電車なら普通に走る程度に思えるが...。

  まずい、これでは特急は当てにならない。時刻表を見て、一本前(2時間前)の各駅停車とすれ違ってしまう前に、できるだけ新潟に近いほうに進もうと、急きょ無人の東酒田(ひがしさかた)駅で下車し、すぐにやってきた普通村上行に乗車。この判断は超大正解だった。酒田まで行ったら、この各停の発車後になり、予定した特急は運休。この各停も、また余目駅で1時間以上停車し、車掌から、途中で運転打切りになるかもと脅かされる。既に昼食は食いはぐれたので、遅れても良い、村上にだけは着いて欲しいと切に祈る。

   
   吹雪で羽越線列車はべた遅れ              なんとか走ってちょうだい!         日本海の荒波を眺めながら

  しかし、なんやかや、鶴岡を過ぎたら、ようやく列車は快い轍音を立てて、南へ向けて走るようになり、新潟県内に入ると、海辺の線路を順調に走り、村上には1時間45分遅れの16:45到着。予約した旅館に電話を入れ、送迎車で夕方5時にあたたかい宿に入れたのは、本当に、心の底から嬉しかった。長い長い汽車旅の一日だった。

 

瀬波温泉で天国の一夜

  一時は列車内で夜を明かすことも覚悟したので、瀬波(せなみ)温泉、ニューハートピア新潟瀬波の滞在は、それはそれは、もう天国。ホテルに入ると、明るくて、ふわっと温かい空気に包まれ、部屋も廊下も、館内全てに空調が行き届いている。浴衣一枚で充分快適。昨夜の銀山温泉では、居室は暖かだったが、洗面所、トイレ、廊下が、とても寒かったので、感じる差は大きい。

   
    海辺の温泉街、瀬波温泉で泊ったホテル(ホテルHPより借用の写真)                もう快適そのもの

  到着が日暮れ後の吹雪の中なので、屋外の日本海の様子は見えない。しかし、昨日からの東京の大雪騒ぎは、どこの世界の話なのか、瀬波温泉付近には、全く積雪が無かった。

   
     夕食膳 鮭の焼漬、めかぶ、海鮮鍋、お造り、カレイのから揚げなど豪華!          たどり着けて本当に良かった!

  夕食は18:30から、近海の海の幸をメインにした「粟島(あわしま)御膳」。ドカンと一気に料理が並べられるのではなく、お造りも、焼き物も、茶碗蒸しも、出来立てを運んで来てくれる。越後の地酒と共に、美味しくゆっくり楽しむ。ただ、番長は長旅の疲れが出て、風邪気味になったのか、食欲が控えめ。今宵はゆっくり休んでもらいましょう。

 

新潟、越後湯沢、外を全く歩かずに過ごす

  さすがに瀬波温泉も、翌朝は吹雪で、10cmほど雪が積もっていた。窓の外、日本海は荒波が打ち寄せる。村上では鮭の資料館イヨボヤ会館などを見学してから新潟に向かう予定だったが、この天気では、また列車運行が心配だ。従って、一刻も早く新潟へたどり着こう。9:30ホテルを出て、村上駅に送っていただく。

   
      吹雪の村上駅前                    村上は鮭の町             幸い、いなほ6号は定時運行

  幸い、村上10:19発の特急いなほ6号は定時運行し、11:04新潟に無事到着。そこで、初日に別れて帰京したFMさんと再合流。外は吹雪なので、新潟の駅ビル内で、へぎそばのランチ。そして、地酒や土産を買って、越後湯沢へ行こうと。

   
     越後名物へぎそばのランチ         越後の地酒や名産をショッピング  在来線高架工事が進む新潟駅から新幹線で湯沢へ

  この日も、早めの判断が連日の大正解だった。我々が村上を出た後の羽越線は、再びべた遅れと運休が続出し、在来の信越線、上越線も、午後からほぼ全面運休。しかし、上越新幹線だけは、しっかりと定時運行した。

 

 

越後湯沢でほろ酔い気分、旅の締めくくり

  越後湯沢駅でも、駅から一歩も外へ出ずに楽しみました。それが出来るのが越後湯沢駅です。賑やかな駅構内で、先ずは温泉で温まりましょう。日本酒を入れた「酒風呂」があります。

     
    駅構内の温泉で温まり               ぽんしゅ館で新潟の地酒飲み比べ         もうすっかりお友達!

  そして隣には、新潟県の地酒、百種類位を飲み比べ可能な「ぽんしゅ館」。ここでは500円で試飲用コイン5枚をもらい、おちょこで自分の選んだお酒を5種類飲めます。もちろん数人で使っても、ひとりで10枚分買ってもOK。冬季限定のお酒がいろいろあって、美味しい。しかし、おちょこ5杯といっても、結構酔います。駅構内は沢山の土産物屋が軒を連ね、村上駅では売っていたものの、新潟駅では探せず、買いそびれた常温保存可能な村上名物「鮭の焼漬」を思いがけず入手出来ました。これ、とっても美味しい!保冷が必要なものなら、新潟駅では、いくらでも買えます。

     
       越後湯沢駅構内は、新潟土産がどっさり                二階建て新幹線Maxときで旅の締めくくり

  旅の仕上げは駅構内の食事処で夕食(と、もちろんお酒)をとり、17:13発、あと2年程度で廃止になる予定の二階建て新幹線 Maxとき334号2階席で帰京。この日は、新潟駅も、越後湯沢駅も、駅ビルから一歩も出ないで、すなわち雪の上を全く歩くことなく、過ごした最終日でした。ま、こんなのも、たまには良いですね。私自身は今回、病み上がりの身体での旅でしたが、仲間の皆さんのご理解を得て、ゆったり日程にしてもらい、楽しく充実した冬の汽車旅4日間でした。

 

● 探訪した名所の各地案内は、本文中のアンダーライン個所からアクセスできます

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