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Data No. BT-14


Data: 
 訪問日: 2011年2月某日
 場  所: 埼玉県さいたま市大宮区
 天  候: 曇り
 同行者: ひとり旅 


「とき」に会いたくて
 

鉄道博物館探訪記
 



古き良き汽車旅の思い出を

  昔は東京の神田駅近くのガード下にあった「交通博物館」が、2007年にさいたま市大宮区に移転し、規模を大幅に拡大した「鉄道博物館」として、新たにオープンしました。昔から汽車旅は大好きだけれど、特別な鉄道ファンなわけでもない。しかし、マスコミで紹介された、この鉄道博物館の展示内容を見ると、上越新幹線が開通する1982年まで、上野とふるさと新潟を結んでいた、わが青春の思い出、特急「とき」の実物車両が展示されている。だから、いつかは是非行ってみたかったが、なかなかきっかけも無いまま、3年以上過ぎてしまった。

  この度、ふと思い立って、出かけてみました。混雑しているかもしれない週末を避け、2月下旬の平日に。当地からだと乗り換え回数は多いものの、なんと1時間程度で到着。なあんだ、こんなに近いのならば、もっと早く来れば良かったかな...。

  場所は大宮駅から新幹線のガードに沿って北へ1.5kmの場所。大宮駅からゴムタイヤで走るニューシャトルに乗れば、僅か一駅3分で到着します。改札を出て構内を歩けば、雨にも濡れることなく、鉄道博物館入口に到着。
 

       
       大宮からニューシャトルに乗り、一駅で、「鉄道博物館駅」到着             デゴイチが出迎えてくれます

  入館料は大人1,000円で、Suicaも使えます。また3,000円を払って「テッパクラブ」に入会すると、1年間何度でも入館できます。ま、今回は1回分でいいか...。(テッパクとは「鉄道博物館」の略語。)

  平日だから空いていると思ったが、中に入ったら、小さな子供だらけでビックリ。幼稚園や小学生の団体やら、親子連れなどで、大賑わい。幼稚園児が、足元をチョロチョロ走り回るので、うっとうしい。この子供達は、汽車を見るのって、本当に好きなんだろうか?彼らの行動を見ていると、決してそうは思えないが。大人が勝手に連れてきているだけじゃないの?
 

何はともあれ、「とき」に会いに!

  入館してから右に進むと、鉄道車両の大展示ホール。ここには、蒸気機関車をはじめ、旧国鉄の往年の車両が所狭しと展示されていて、その多くは中に入ることも可能。ちょうど係員が蒸気機関車の解説アナウンスを始めたところだったが、私はそれには目もくれず、真っ先に「とき」に会いに行きました。

 
                大展示ホール内の歴代の名列車達。右端が181系ボンネット特急「とき」

  やあ、お久しぶりです!お元気でいらっしゃいましたか!昔は本当にお世話になりましたね。まためぐり会えて、とっても、うれしゅうございます。上越新幹線が開通するまで、百回以上はお世話になったでしょうか?

  思えば、29年前、1982年11月14日、上越新幹線開通前日の午後、上野駅へ、このボンネット特急「とき」の最終列車を見送りに行って以来です。あれが、お客さんを乗せて走った本当の最後でしたね。カメラを構えた大勢の鉄道ファンでごった返していたホームで、近寄ることもできず、大群衆の後ろで静かに見送りました。発車ベルが止み、一瞬シ〜ンと静まり返った後、プア〜ン!とお別れの警笛を鳴らし、フラッシュライトを満身に浴びながら出発する「とき」を見送る私には、あまりにも思い出が多すぎて、これが本当に最後かと、目が潤んでしまいました。
 

 
                     何年経っても、やはりこの車両はとってもカッコいい!!

  
        憧れのヘッドマークでした!                          懐かしい、懐かしい...!

  
   車内清掃時、必ずヘッドカバーは全席取り替えていました         リクライニングは無かったけれど、快適だった座席

  ときの車両は、中に入ることもできます。古い型式の特急車両なので、座席にリクライニングはありませんでした。二人分が固定式の背もたれで、その後ろに小さなテーブルが付いていて、もちろん灰皿もありました。当時は、上野駅で折り返し列車を車内清掃する際は、座席のヘッドカバーは真っ白な、糊がパリッときいたものに、必ず全席取り替えていました。だから、車内はとっても高級感があって、急行や普通電車とは、歴然とした風格の差があったものです。昔は食乗車もありました。

   
    昔座ったことのある席かもね         車内販売もありました          新幹線開業前頃のマーク(実はこれ、嫌いでした)

  思い出の数々が蘇って、本当に感動しました。ひとり静かにふるさと往復、仲間とワイワイお喋りしながらの道中、スキー客で超満員の賑やかな車内で、肩身の狭い思いをしたこと、社会人になったばかりの頃、祖母の危篤の知らせに、上野駅で「とき」に飛び乗ったら満席で、食堂車に席を取り、人に涙は見せまいと、ずっと窓の外ばかり向いていたら気持ち悪くなったこと...。あんな、こんな、「とき」に乗った思い出は尽きません。
 

往年の名車両がずらり

  展示されているのは、昔の重厚な車両が多いようです。こういうの、館内に大勢いる子供達には決して面白いとは、私は思えない。(実際、そんなに喜んでいる子は見かけない。)むしろ、私のような、ここに展示されている車両の多くに、実体験を持つ年配者の方が、よほど郷愁をかみしめて、楽しめるんじゃないかな。懐かしさと思い出だけで、かなりの時間が経ちます。

    
        往年の名車両が所狭しと並ぶ                           東北・上越新幹線開業時の車両

    
        この急行用電車もよく乗りました!                          中央線快速電車

    
        レトロな木製の車両内部                          C57は、どんとホールのど真ん中に展示されてます
 

蒸気機関車の思い出

  各地で蒸気機関車(SL)のリバイバル運転が盛んです。でも私は、あまり興奮しないんです。何故かって?だって、私が子供の頃は、家の裏を走る単線非電化のローカル線(飯山線)には、SL しか走っていなかった。そして、その煙がすごかった。昔、SLに引かれた客車には、エアコンなんて無くて、暑い真夏に窓を開放したまま列車がトンネルに入ると、車内は煤と煙で充満したものです。そして、トンネルを抜けると、前に座っている人の鼻の下は黒くなっていました。もちろん自分もね。今から思えば、頻繁に汽車に乗っていた人には、あの煤と煙で、健康に何らかの危害が及んだのではないかしらん?

  だから、初めて煙の出ないディーゼルカーが走り始めたときは、あまりにきれいで、快適で、清潔で、とっても感動したものでした。

  故郷の鉄路からSLが消えて半世紀近く、以来、私はSLのリバイバル運転ものには、乗ったことがありません。いまどきのエアコンの良く効いた、快適な、窓も開かないような客車に乗ったって、当時の煤と煙に悩まされた汽車旅が懐かしくなるものでもなし。そして、いまどきの都会育ち鉄道ファンの自慢話を聞くのも、うっとうしいんです。

  でも、幼少の頃、「ポッポ見に行こ!」と、祖母におんぶされたり、手を引かれて、家の裏に汽車をよく見に行ったものです。そして、煤で顔の黒ずんだ機関士や車掌が、敬礼してくれたり、手を振ってくれるのが、とてもうれしかった。彼らは子供心にも、すごくカッコ良かった。SLが消えて、ディーゼルカーに変わってからは、そんな「ふれあい」は無くなってしまいましたね。昔から、汽車を見たり、乗ったりするのは、大好きだったようです。
 

国内最大級のジオラマ

  館内の2階には、日本最大級の鉄道模型ジオラマがあり、解説付き実演を2回見物してきました。朝の新幹線出発から、深夜のブルートレインの走行、リゾート列車の走る姿など、迫真的に楽しめます。ミニカーが道路を走る模型なんて、あまり感動しないけれど、模型列車の走る姿って、なんだかとってもワクワクします。あの長い列車の窓の中では、どんな多くの人生が展開されているんだろうな...。
 

   
        様々な模型列車の走行が楽しめる!                     「中央駅」で出番を待つ列車達
 

楽しみ方はいろいろと

  この博物館内には、SLや列車が実際に走るところを見物する催し、運転シミュレーション、予約制での運転体験、コレクションルーム、ミュージアムショップなど実に沢山のものがあり、退屈しません。昔の列車食堂のメニューを味わえるレストランや、カフェテリアもあり、駅弁を買って、屋外展示の特急車両内で食べることもできます。但し、館内展示の「とき」やその他の車両内は、飲食は完全禁止です。 

    
  駅弁を買って、屋外展示の車両内で食べられます。この場所に限り、持込弁当を食べても良いそうな

  鉄道ファンには、種類がいろいろあるようですね。マイカーで撮影地探しをして、列車になんかほとんど乗らず、専ら写真を撮るのが好きな人、いろんな列車に実際に乗るのが好きな人、JR全線乗りつぶしが趣味の人、テクニカルなことに関心を持つマニア、そんないろいろな人達の好奇心を大いに満たしてくれる博物館ではないでしょうか。火曜日と年末年始などは休館です。営業時間や、催しなど、詳しくはホームページで確認してください。

  鉄道博物館ホームページは、こちら

  私自身も、「とき」に会いに、ぜひまた来てみたい。次回は、テッパクラブにでも入ろうかな、なんてね...。■



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