ポケモンジェットで札幌へ!
最近の飛行機は、チケットレス。預け荷物さえなければ、チェックイン手続きもせず保安検査場へ直行し、所定のクレジットカードを機械にかざすと予約情報が印刷された紙が出て来る。そして搭乗の際にゲートで、再度機械にカードをかざすと搭乗券が出て来る仕組み。簡単だけれど、ひとたび機械が故障したら収拾がつかなくなるかも。
羽田空港の搭乗口から乗るべき飛行機を見て驚いた。ジャンボ機全体にマンガが描かれた「ポケモンジェット」なのだ。ガハハハ!もうポケモンやピカチューを見て浮き立つトシでもないが、機内がどんなだろうと、ちと期待してしまった。
![](Image0261.jpg)
札幌まで乗ったポケモンジェット 名物札幌ラーメンは欠かせない
札幌に来たらラーメンは欠かせない!
機内では、ポケモンジェットならではというキャラクターグッズのサービスや装飾は何もなかった。乗っているのがポケモンジェットであるということすら分らない。しかし千歳に着いて降機の際に、座っていた席のヘッドカバーにピカチューのスカシ模様が入っているのが分った。こんなものでは、子供だって喜ばないんじゃない?
昼前、札幌駅に降り立つと、ツンと突き刺す冷気が、さすがに東京とは違っていた。しかし全く雪の無い札幌の街であった。以前は11月でも雪の上を歩いたことがあったのだが。今年もやはり暖冬なのか。ランチには、大好きなラーメンを食べよう。
札幌ではこれまでに10店以上のラーメン店を巡った。しかし、「味の時計台」という店には一度も入ったことがなかったので、今回初探訪。昼時でも店内は混んでいないし、そこいらじゅうに支店があるから、ごく万人受けの月並みな味を想像していたが、味噌ラーメンを一口食べて「あれ〜」と驚いた。すごく美味しい。北海道によくある塩分の多い、しょっぱ過ぎる味ではなく、スープの味はまろやかで最後の一滴まで飲んでしまった。
無料送迎バスで登別温泉へ
午後2時、札幌駅前のセンチュリーロイヤルホテルから登別温泉「第一滝本館」行送迎バスに乗車。道央自動車道を南下し、樽前山を右手に見ながら登別に向かう。道中もほとんど雪が無い。山がうっすらと白くなっている程度。
今回私が宿泊するのは、第一滝本館の姉妹館である「滝本イン」という洋風ビジネスホテルで、一泊二食11,500円。これでも第一滝本館自慢の大浴場を自由に使えるし、札幌から公共交通機関を使えば片道2,000円の交通費を節約できる送迎バスもある。フリーで民宿に泊るより、お得かも。
バスが高速道路を登別東ICで降りると、巨大な鬼が出迎えてくれた。カーブの続く山道を15分程登って行くと、待望の登別温泉街に到着だ。狭い温泉街の道を抜けて「第一滝本館」の玄関に横付けとなる。午後4時、札幌から2時間弱のドライブだった。「滝本イン」は道路のすぐ反対側。早速チェックイン。部屋は落ち着いた雰囲気のツインルーム。設備・アメニティ共に悪くない。ただ、温泉に泊ったら部屋のバスルームなんて無用だけどね。
マンモス旅館のマンモス大浴場
浴衣に着替え、早速本館の大浴場に向かう。本館ロビーは団体が数組到着したのか、大勢の人でごった返している。ロビーから「大浴場」の案内に従い左手に進むと、表参道ヒルズかと見紛うばかりの吹き抜けのショッピングアーケードや飲食店が連なり、長い廊下を歩いて、エスカレーターを2回乗り継ぎ、最後にエレベーターで大浴場にたどり着く。とにかく館内はすごい人出で、お祭会場のよう。この旅館は巨大な10階建てくらいの宿泊棟が4つと全館宴会場だけの7階建てビルが連なっていて、収容人数は凄い。東京に近い箱根、伊香保、草津、鬼怒川などでも、これほど巨大な旅館は思い浮かばない。
![](takimotokan2.jpg)
地獄谷から第一滝本館の大浴場を望む
マンモス旅館、第一滝本館
脱衣場も、これまた巨大。湯上り後のリラックスコーナーもある。そして大浴場のドアを開けて、その規模に驚かされる。天井が高い白壁の宮殿のような空間に大きな浴槽が数え切れないほどあり、大勢の裸の男達が行きかっている。そして真正面の大きなガラス張り窓の外は、登別温泉のルーツである煙を上げる地獄谷の景色が広がる。地獄谷から湧き出る登別の湯は、この旅館が全部せき止めて独り占めしているかのよう。この大浴場には何と7種類もの泉質の湯が引かれ、20近い浴槽にふんだんに惜しげもなく配分されている。
登別を代表するのが「登別第1号甲泉」である白濁した、いわゆる硫黄泉(正式には「酸性-含硫黄-ナトリウム-塩化物-硫酸塩泉」)だ。その他に、マグネシウム、カルシウム、炭酸水素などの成分がいろいろ混じりあった様々な湯質をふんだんに楽しめる。それぞれの湯質から、「美肌の湯」、「きずの湯」、「万病の湯」など名前がつけられている。大浴場全体に漂うほのかな硫黄臭が温泉リゾート気分を高めてくれる。これだけ大勢の客が居ても、それ以上に湯が豊富で浴槽も大きいので、うっとうしさは全く感じない。大浴場は3層になっていて、入口が3階で、その下の2階には歩行浴、サウナと2つの浴槽(これだけでも並みの旅館の大浴場に負けない)、そして1階が地獄谷から直接繋がっているような3種の浴槽がある露天風呂だ。生ビールを提供するカウンターもある。
![](Jan029134.jpg)
第一滝本館の大浴場(第一滝本館のパンフレットより)
もう全部の浴槽に入るだけでも一苦労。でも折角だから全部入りたい。夕食前の2時間は、あっという間に湯巡りで時間がつぶれた。それでも、時間が足りない。
滝本インの夕食はバイキング。刺身、白米、味噌汁の他はイタリアンがメイン。焼きたてのステーキも出て、ビールやお酒も進んでしまう。内容は悪くないが、こういう場所でひとりの食事は、やはりちと寂しい。それでも、ストレスの溜る職場からしばし逃れて、美酒を味わい、部屋に戻って惰眠をむさぼる。酔いが覚めて就寝前には滝本イン内にある大浴場でもひと風呂浴びる。
登別温泉のシンボルは鬼、そして宿の前には閻魔大王の巨大な仕掛け人形がある。そんな環境にいた所為か、その夜は自分が霊魂の世界に迷い込んだ摩訶不思議な夢をみた。
登別温泉地獄谷にて 温泉街にある閻魔大王の仕掛け人形
楽しい時間はあっという間に過ぎて
泊った翌朝は窓の外に雪が舞っていた。久し振りに見る雪だ。窓の外では7時過ぎで、もう数台の団体バスが出発準備をしている。これだから、安くても団体ツアーは敬遠したい。折角素晴らしい温泉に泊ったのだから、ゆっくり朝風呂を浴び、冷たい朝ビールを味わい、ちょっとうたた寝をして、朝食はゆったりと味わいたい。
それでもたった1泊では、北の温泉の王者、登別を存分に味わったとは言いがたい。地獄谷を見物して、午前10時出発の札幌行き送迎バスに乗り込む。のんびりと日頃のストレスを癒せたのか、それともエキサイティングな温泉を堪能してテンションが上がっているのか、自分でも分らない。何だか別世界を旅してきたような心持ちで、あっという間に過ぎ去った時間を惜しむことしきりであった。早速明日から戻らなければならない職場のことは努めて考えないように...。■
ぶらり旅リストへ戻る
|