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Data No. 215


Data: 
国上山(くがみやま)

登頂日: 2014524
標 高: 313
地 域: 新潟県燕市 (佐渡弥彦米山国定公園)
天 候: 快晴
同行者: 郷里の旧級友4名で


越後の低山シリーズ

良寛ゆかりの
 

国上山

 

 



燕市観光情報、国上山トレッキング: http://tsubame-kankou.jp/trekking/index.html 


良寛様ゆかりの山

   
                      左側の国神山(313m)に向かう。右は弥彦山(634m)


  新潟県に生まれて教育を受けたなら、「良寛(りょうかん)」を知らない人はいないだろう。越後出雲崎に生まれた江戸時代後期の清貧の禅僧、詩人、歌人であり、子供達のアイドルでもあった。

  国上山は「くがみやま」と読み、弥彦連峰南端の海辺に位置する標高313mの低山で、江戸時代後期に良寛が中腹に住んでいたことで有名な山。

  毎年春秋の恒例となった、越後低山ハイキングシリーズは、地元に住む級友のKO君に企画及び案内をお願いしている。

          
                 
山頂にあった案内板。ビジターセンターから赤いルートを反時計回りに歩く


新緑まぶしいハイキング


  国上山ハイキングの出発点は、中腹のビジターセンター駐車場。ここまで車でかなり上ってきたので、まあ山頂までは軽いものかな、なんて期待してしまった。

  KO君が二つのオプションを提示した。
  
1. 距離は長いが、比較的傾斜の緩いルートにするか。
  
2. 急斜面を一気に短時間で上るルートにするか。

  急斜面の登りは辛そうだから、特別地図も確かめず、1.を登り、2.を下ることにした。ハイキングを終えた時、じっくりと地図を見て、思わず笑ってしまったほど、その差は大きなものだった。(一般的には逆コースが勧められています。)

      
          
ビジターセンター前から「ちご道」ルートを歩く             最初は車道に沿った杉林の道

   
     やがて新緑の雑木林の中へ                      各所に咲いていたピンクのうつぎの花

  登りにとった「ちご道」コースは、最初は杉林の中を、幾つかのトンネルで車道と交差しながら、ゆるく上ってゆく。杉林が新緑の雑木林に変わり、かなり高度を稼いだのではないかと思った頃、今度は緩い坂道を延々と下る。下りがいつまでも続くので、「こりゃあ、絶対出発点よりも標高が低いな」、なんて皆でぶつくさ言いながら、KO君の後ろを歩く。なんだか損をしたような気分。山のふもとをぐるりと大きく迂回して反対側から登るようなルートだったのだ。

  距離的にほぼ中間地点付近を越した頃、ようやく登りとなった。雑木林の中を黙々と上ってゆく。高度が上がるにつれて、穀倉地帯の越後平野、北隣の弥彦山が、時折姿を見せる。日本海の海原に佐渡島が、大きく横たわっていた。この日は好天だが、遠景はやや霞んでいるのが残念だ。

    日本海の海原に佐渡が浮かぶ

     新緑の山頂を仰ぐ 

   北隣は弥彦山(634m)

  途中、蛇崩れという岩肌が露出した景勝地を通過し、さらにひと頑張りで、芝生の広場となっている山頂に到着。ビジターセンターから所要約1時間15分。


佐渡を眺め、穀倉地帯を見下ろして


  山頂の展望は、海側だけが開けていて、陸側は樹木が茂っていて見えない。ここで芝生に腰を下し、佐渡島や米山方面を眺めつつ、ゆっくりランチタイム。

   
         
国神山頂上にて(12:15)                        寺泊〜米山方面の海岸線

  下山には、「急斜面を一気に」というルートをとる。その途中の展望台で、ようやく穀倉地帯の越後平野と、その中央を流れる信濃川の水をショートカットして海に導く大河津分水(おおこうづぶんすい)を見下ろす。見渡す限りの穀倉地帯は、田植えが終わり、水を張った田んぼが鏡のように光っていた。今年は豊作になりますように。

     
                 
大河津分水を見下ろす。カーブの向うが信濃川本流

   
                         越後の穀倉地帯と残雪の粟ヶ岳

 

良寛さまを偲んで


  山頂から国上寺までは、階段状の急斜面を一気に降りたら、あっという間に着いてしまった。国上寺は「こくじょうじ」と読み、真言宗の寺で、越後最古の名刹とのこと。

       
       
下山は急な階段を一気に下りる                  古刹、国上寺(こくじょうじ)

  ここから出発点のビジターセンターは直ぐ近いのだが、良寛さまが晩年に、20年に渡ってこもっていたという「五合庵」を回っていこう。

  良寛とは: 燕市、観光情報、「良寛について」

  五合庵というのは、国上山の五合目にあるからというのではなく、「玉島(岡山県倉敷市)の円通寺で厳しい修行を終え、各地の名僧を訪ねて研さんを重ねたのち、越後に戻った良寛が寛政9年(1797年)ころから約20年過ごした庵。もとは国上寺本堂を再建した客僧「萬元上人(ばんげんしょうにん)」が毎日米五合を給されていたことに由来されています。」(燕市、観光情報より)

        
         
良寛が住んでいた五合庵、聞こえるのは鳥のさえずりだけ              良寛像          

  ここでは、ボランティアガイドの老爺がいて、良寛の人となりや晩年の伴侶だった貞心尼とのエピソードなどを、我々4人に、とても詳しく話してくださった。小鳥のさえずり以外は何の物音もしない、新緑の雑木林に囲まれた山の中腹の古びた庵は、ふっといまそこに良寛さまが立ち現れても、まったく違和感など無かろう、時空を超えた世界だ。

        つり橋を渡って出発点帰着

  五合庵からは、深い渓谷にかかるつり橋を渡ってビジターセンター駐車場に帰着。越後の低山の新緑はまぶしく、秋には大いなる実りをもたらすであろう、広大な水田地帯の眺めが、とてものどかな日だ...。

  その後、宿泊先の温泉保養所でお酒を飲みながらも、今日のハイキング体験が話題となり、良寛さまの興味深い話をしてくれた老爺の語り口が、私の頭の中でオーバーラップし、心地よく酔いが進むにつれて、今日は本当に良寛さまにめぐり会ってきたような気持になった...。■

 

国上山ハイキング行程
十日町8:40 ===(関越・北陸道)== 三条燕IC === 10:35道の駅、てまりの湯 === 10:55国上山ビジターセンター 11:05 --- (ちご道コース) --- 蛇崩 --- 12:15 国上山頂上(313m) 12:45 --- 12:50大河津分水展望台12:55 --- 13:15国上寺 --- 13:20 五合庵 13:35 --- 13:45 ビジターセンター 13:50 === てまりの湯 === 16:10 月岡温泉保養所に投宿、宴会



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