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Data No. 213


Data: 
岩殿山(いわどのさん)
  登頂日: 2013年11月21日
  地域: 山梨県大月市
  標高: 634m  
  天候: 快晴
  同行者: FKさん 


天嶮の要塞
 

甲州 岩殿山

 



いつも下をくぐっていた岩山に

  中央道を東京から甲府方面に向かうと、大月IC手前で「岩殿山トンネル」を通過するが、そのトンネルの手前で、岩殿山の巨岩の絶壁が見える。この山は中央線大月駅付近や、国道20号からだと、その全容がより良く見える。

      
                     大月駅前から仰ぐ岩殿山(白い塔の場所が山頂)

  この山は、巨大な一枚岩の岩壁を擁し、難攻不落の要塞として、戦国時代に武田家に属していた小山田家の、16世紀に築城された城郭があったところ。その詳しい由来と山の概要をとても上手く記載したサイトがありました(こちら)。

  低山ながら、迫力のあるその姿をいつも眺め、いつか機会があれば訪れてみたいと思っていたのだが、大月駅前の観光案内所で、つい最近作られた登山記念バッジを売っているとの情報を得て、それならば早速と、FKさんと、秋晴れの一日、マイカーではなく電車利用で、ぶらりと訪ねてみる。

  大月駅傍の観光案内所で、念願の「岩殿山」のバッジを早速購入し、岩殿山のハイキングコース案内地図やパンフレットもいただいた。


強面だが安全な登山道

  この岩殿山の山頂までは、大月駅から約1時間で登ることができ、それほど気張らずにピクニック気分で歩けるようだ。大月駅の裏側に回るように市街地を抜け、国道139号線に出て、下を見るとちょっと怖い桂川にかかる橋を渡り、中央道をまたく道路を登って行くと、階段状の登山口があった。

  キリッと冷えた空気の下、息が切れても、汗はそれほどかかずに済む。しばらく登ると、大月の町の背後に雪化粧した富士山が優美な姿を現した。大月の街中や、付近の高速道路や線路からは、富士山は山に隠れていて見えたことが無かっただけに、ちょっとした感動もの。私はいつも、富士山がきれいに見えると、きっと何か良いことがあるような気持になる。

   大月の町の背後に富士山が出現!

  大岩壁の下には、お城のような「ふれあいの館」という資料館の建つ「丸山公園」があった。桜の季節には、富士山を眺めながら、楽しい花見ができそうな好もしい公園だ。 

    
          丸山公園から仰ぐ絶壁                                紅葉も最高潮

  さて、頂上へ向かうルートだが、いったいあんな絶壁の上へどんな道で登るのだろうと、一抹の不安を感じる。難攻不落の天嶮の要塞があった場所なのだから...。しかし、道は岩壁の下を左方向にトラバースしてから、特別なスリルを感じることも無い、手すりもきちんと設けられ、ジグザグにつけられた階段状の登りだった。途中には地形を利用した番所跡、城門跡などの史蹟もある。山肌の紅葉も素晴らしい。

  
          絶壁を眺めながら登ってゆく                     天然の地形を利用した城門の跡

 

絶景の中でボージョレヌボー解禁を祝う

  大月の駅を出発してから、写真を撮ったりして、ちんたら歩くこと約1時間、標高634mの岩殿山山頂展望台に到着。昔は馬場があったという平坦な場所だが、最高点はもう少し奥の白いパラボラアンテナ塔の立っているところ。しかし、後刻行ってみたその場所は、樹木に囲まれていて、何も展望の得られない「本丸跡」だった。各史跡が全て「跡」と記されているように、今は何も建物は残っていない。

    こんな絶景を眺められる山頂展望台 

   下を見るとちょっと怖い! 

    
       標識のある展望台(昔の馬場)                          最高地点の本丸跡は展望無し

  山頂標識のある展望台は、平日ながら、熟年のグループなど先客で賑わっていた。しかし、冷たい風の当たらない東屋に居た先客がすぐに立ち去り、思いがけず絶好の貸切宴会場所ができた。

     
           素晴らしい景色を眺めながら、BN解禁を祝ってランチ宴会

  この日のランチ宴会には、FKさんがこの日に解禁となったばかりの、ボージョレヴィラージュヌボーを差し入れしてくれた。世界文化遺産登録となった富士山に、お祝いのまなざしを送りつつ、ボージョレヌボーの解禁日も祝う。今日は電車で来たので、酔っ払っても大丈夫。凡そ2時間もの心地よい、小春日和のランチ宴会だった。

  尚、ネットでこの山の、他人様の体験記を見ると、ほとんどの人は、更に奥の「稚児落とし」方面を回遊して大月駅に戻るようだが、そこに達するには、ちょっとしたスリルのある岩場を通過しなければならない。また「稚児落とし」という名前の由来も悲惨すぎて、アルコールをたしなんだ我々は、遠慮することにし、のんびりと往路を下山します。そんなルートを詳しく知りたい場合は、冒頭に紹介したサイト等をご覧ください。

  空は晴れても、晩秋の風は冷たく、日暮れも早い。今年もあとわずか。帰路のガラ空きの上り電車でも、打ち止めの缶ビールを飲みながら、今年の山登りはずいぶんサボったなと、ほろ苦くこの一年を振り返る。■



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