Data No. 203 |
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甲州 竜ヶ岳 |
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---------------------------------------------------------- 山の形が竜に似ているとか、竜が襲ってきそうだとか、そういうおどろおどろしい山ではなく、「小富士」と呼ばれていたように、コニーデ型の端正な山容の山らしい。私が昭和時代に購入した富士五湖周辺の登山地図には、この本栖湖畔からの登山道は記載されていない。従って、ネット検索して得た他の登山者のデータを参考にして、竜ヶ岳を目指した。 初夏の陽光の下、山頂を目指す 早朝に自宅を車で出発してから、富士山は、これ以上に純粋な白色は、他にはあるまいとばかり、まばゆく光る山頂部を、新緑にむせぶ山々の、その稜線の上に見せていた。その姿は、大月から中央道河口湖線を南下するにつれて、視界一杯に全容を現し、威圧するほどの規模で迫ってくる。 本栖湖畔のキャンプ場傍にある「竜ヶ岳登山者用」として指定された駐車場は、午前7時前では、ほとんどひと気が無かった。キャンプ場の中の道を、「竜ヶ岳登山道入口」という標識を頼りに進む。平坦なキャンプ場から林道を経て、登山口の標識からは、ようやく山道の登りになる。その登山道は、岩や木の根のでっぱり等もほとんど無く、適度にジグザクが切られていて、傾斜もゆるく、非常に歩き易い道だった。 麓から凡そ1時間の登りで、展望台を兼ねた東屋のある平地に出た。そこは、「本栖湖江岸寺の住職がこの場で竜を供養したという経塚に石仏が置かれ、毎日、富士山からの日の出を見つめています」(上記のやまなし観光ネットより)という場所。しかし、せっかくの石仏様は、まるで檻の中に閉じ込められたような姿だ。「保護」が目的なのだろうが、私は逆に石仏様が可哀想に思えてしまう。 展望台からの富士山の眺望は、言うまでも無く、息を呑むほど。 標高が1,500mに満たない山ながらも、森林限界は低い。山頂が近付くと、緩やかな笹原の中の道が続いた。山頂からの展望を大いに期待して、ひと頑張り。 大展望ほしいままの山頂 麓から、およそ1時間半で、標高1,485mの竜ヶ岳山頂に到着した。富士山は言うに及ばず、南アルプスの一万尺の稜線が、私の心を熱くする。広く平坦な山頂には、テーブルとベンチが幾つかあり、大パノラマを眺めながらゆっくり楽しもう。 山頂標識での記念撮影は、思いっきり逆光 山頂では、なにやら今日は山岳レースのようなものが開催されているようで、ビデオカメラを持った若者グループがいた。しかし、私が山頂に滞在中に見かけた「選手」は2人だけだった。かなり上位と下位では差がつくレースなのか。 そんなまばらなレース関係者の他には、単独行の熟年男性が2人と、夫婦連れが1組やってきただけだった。でも、誰もこんな快適な山頂で「飲み食い」をしない。私のように、山頂に着いたら、どっかりと腰を据えての「飲み食い」を絶対に欠かさない登山者は、ごく少数派なのかも。 下山には、途中の分岐点から、本栖湖畔に直接下山するルートをとる。この道も、きれいにジグザグが切ってあり、新緑の森の中を快適に下った。約1時間の下山中に、私を追い越していったレース参加者はたったひとりだけだった。それは良いのだが、「クマ鈴禁止区間」なんていう意味不明の貼紙があった。これがレースと何の関係があって、どういう理由でクマ鈴が禁止なのかの説明が何も無い。 この日歩いたコースは、青の太線を時計回り 午前10時過ぎ、本栖湖畔のキャンプ場に帰着。湖岸道路は、ときたま思い出したように車が通過するだけで、湖面やその周囲、そしてキャンプ場内にも人影は、まばら。もったいないほどの快晴に恵まれた富士山麓の湖は、初夏の陽射しの下、眠ったように静かだった。■
甲州竜ヶ岳登山行程: |
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