Data No. 192 |
|
秩父 御岳山
|
|
ふ〜ん、この山の名前だけは知っていたが、そういうことだったのか。この山は標高1,081mで、決して周囲に抜きん出た高さではなく、私が登った周囲の山からも、もちろん、その登山口が荒川の源流と、国道140号線に沿った谷底なので、幾度もそこを通っていたにもかかわらず、全くその姿を視認したことは無かった。 自慢じゃないが、私自身は宗教心のひどく希薄な人間なので、御岳教にも、その歴史にも大きな関心は無い。しかし、この地元武蔵の国が生んだ上人ゆかりの山は、一度登って体験してみても良かろう。 静かな誰にも会わない山旅 この山の登頂を目指したのは、ゴールデンウィーク2日目の4月30日(土曜日)。だから、ある程度の人出は予想していたが、午前8時少し前でも、登山口の「道の駅大滝」周辺には、通りがかりのマイカー族以外、登山者らしき人の姿は皆無だ。娯楽自粛ムードも蔓延しているので、途中の秩父芝桜の人出も、国道の通行量も、連休とは思えないほど少ない。 道の駅駐車場にマイカーを置き、国道140号線を10分ほど甲府方面に歩くと、普寛神社のある落合集落だ。鳥居の前で、参拝し、山へ向かう。 そこからすぐに「落合登山口」があるのだが、土砂崩落のためという理由で、頑丈に「閉鎖」されていた。そして御岳山へは林道経由のコースをとるようにとの案内がある。この最短直登コースをとれないのは残念だが、それほど気張って登る山でもないから、道標に従って行こう。 上図の杉ノ峠へ向かう林道をたどって、強石コースに達する道なのだが、林道では途中でショートカットする山道が付けられているものの、谷側に傾斜した狭くて不快な道で、ところどころ崩落もあるので、下山時には、遠回りでも、鼻歌交じりで歩ける林道をずっと歩いた。その方が結果的に快適かつ気楽で所要時間も大差無かった。 杉林の鬱蒼とした中を登り、途中から、道標に従い、作られたばかりなのだろうか、ブルドーザーのキャタピラの跡がしっかりついた道を登ってゆくと、やがて稜線に出た。稜線を道標に従って歩いてゆくと、かなり距離のある鞍部を隔てて、すっくと尖ったピークが行く手に見える。ああ、あれが秩父御岳山の山頂か、まだ距離があるなあ...。 しかし、そのとがったピークは、頂上ではなかった。鞍部に下り、かなり息を切らせて急斜面を登り、ようやくピークを上りきったと思ったら、その先にはまだまだ先があった。途中、やせた岩稜をロープや鎖で越える箇所もあり、その先にまた下って登る箇所が現れたりで、内心、落胆の連続だった。稜線には、「群落」とは呼べない程度だが、カタクリが咲いていた。 静寂の山頂 ようやく頭上にこれ以上の登りが無くなり、誰も居ない山頂に着いたのは、午前9:30。麓から2時間弱の登高だった。ここまで、麓から、林道の作業員数人以外は、登山者はただの1人も会わなかった。標高1,081m、狭い山頂には背の高い普寛神社奥宮が祭られていて、あの木曽御岳の登山道を開いたという普寛上人の偉業を偲び、その信仰心に敬意を払って、先ずは、静かに参拝。 今日は快晴のはずなのだが、中国からの黄砂の影響で、残念ながら遠景がやけに霞んでいる。従って、比較的近くの山しか眺められないのが残念だ。谷間を隔てて、三峰神社のある高みが正面にあり、その奥は標高2,000mを越える雲取山方面の山並だ。この秩父〜奥秩父近辺の山々で、いつも思うのは、その姿に特徴の乏しい山ばかりだな、ということ。反対側の両神山は独立峰として存在感があるが、私が深田久弥先生の立場だったら、果たして雲取山を日本百名山に選ぶかどうかは、自信が無い。 狭い山頂を敬遠して、往路を僅かに下った場所にあるベンチで、朝食兼昼食を、お供えの缶ビールとともにいただく。今日はうすら寒い陽気だ。そして黄砂に煙る遠景もなんだか陰気くさい。しかし、晴天に恵まれて地元武蔵の国の由緒ある山に無事登頂できたことに感謝しよう。 ゆっくり休憩して、下山を開始した頃から、これから登ってくる登山者にポツリポツリと出会った。しかし、麓に着くまで、その数は片手だけで数えられた。静かな静かな山旅だった。■ この山の登頂記念、ポレポレ隊製作のバッジ 秩父御岳山行程(2011年4月30日): 入間6:00 ===(R299, R140)=== 7:40 道の駅大滝 7:45 --- 7:55 落合、普寛神社 --- 杉の峠 --- 9:30 秩父御岳山 10:00 --- 往路を戻る --- 11:20 道の駅大滝 11:40 ===(R140, R299)=== 13:30 入間帰着 |
|
|
|