Data No. 189 |
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笠山・堂平山
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そんな理由もあるが、信越の山に囲まれて育った私自身の目には、奥武蔵〜比企丘陵一帯は、何の変哲も無い凡山の集合体であり、同じ山が越後にあっても、きのこや山菜取り目的以外には、ハイキングコースなんて、おそらく作られないだろう。何千万人も住んでいる首都圏だからこそ、山さえあればハイキングコースができる。だから、わざわざ面倒をして行く場所でもなかった...なあんてバカにすると、失礼かな...。これからトシをとって、足腰が弱くなったときに楽しめる低山ハイキングコースのひとつとして、ぜひ自分の目と身体で体験はしておこう。 今回目指すハイキングコースは、外秩父七峰縦走コースの一部になっているという、笠山と堂平山で、小川町と東秩父村の接する付近だ。当地からは、不便な鉄道は敬遠して、マイカーで登山口の東秩父村、白石まで行く。 静かな山道 いろいろとネットで調べたハイキングコースと地図を持ってきたが、白石バス停付近から、マイカーを駐車できる場所を探すのに、やや手間取った。バス停から更に登っていった車道の分岐点付近に、ようやく数台が停められる場所があり、笠山峠へのハイキングコースを示す道標があり、安心してハイキングの準備をした。 実際には、その更に上にも、まだ駐車スペースはあったが、あまり楽をしてもエクササイズにはなるまい。そこからが本来の山道になった。 数日前に雪も降り、陽の当たらない山道はとても寒い。杉林の中の道は、特別な急斜面も無く、それほど息を弾ませずに高度を稼ぐ。ここに来るまで知らなかったが、ずっと山頂近くまで車道が通じていて、時折山道と交差する。40分ほど登り、稜線に出たところが「笠山峠」、そこを左に進むと笠山だ。稜線には車道が通じていた。笠山頂上は、稜線の車道から離れてしばし登ったところだった。ふもとの駐車場から1時間強だった。 関東平野展望の山頂 標高837mの笠山山頂からは、関東平野の北側の展望だけが開けていた。快晴に恵まれたこの日、上州の赤城山から榛名山が良く見える。ここでは写真を撮っただけで、すぐにおいとまする。空腹がつのってきたので、早く堂平山へ行ってランチにしよう。 堂平山は、笠山峠へ戻り、そこから反対側の稜線を登ってゆく。北向き斜面なので、笠山への登りよりも、雪の量が多かった。水気の多い関東の雪なので、滑るような危険は無い。しかし、下山時には日が翳り、冷たい風が吹いていたので、人の歩いた足跡が凍り、光っていた。 天文台ドームの建つ堂平山頂上は、広々とした芝生の、好もしい雰囲気の公園だった。そして、なんとここまで車道も通じている。暖かい季節に家族連れで遊びに来るには、良いところだろう。そこでFKさんが、「あっ、富士山が見える!」と声を上げた。私もそのコニーデ型の純白に化粧した山を見て、「おおっ、本当だ!」と大いに感動してしまった。...が、何だか様子がおかしい。あれえ、富士山が両神山の右(北)にあるわけないよな...。あっ、そうだ、あれは紛れもない浅間山だ。ここからは、いくら晴れていても、地形の関係で富士山は見えない(だろう)。 堂平山(標高876m)からの展望は、笠山よりもずっと開けている。奥秩父も、関東平野も、奥武蔵〜奥多摩方面も、きれいに見渡せる。そして、西武ドームの白い屋根も、今話題の、建築中の東京スカイツリーも高層ビルの林立する東京の街の中でも、ひときわ目立って、エンピツのように聳えていた。冬の寒さがぶり返した一日だけに、素晴らしい展望に恵まれた。 両神山は左右に根を張り、周囲の低山を圧して貫禄がある。しかし、入間からは、奥武蔵丘陵の中で、すっくと際立って高く見える武甲山が、ここからだと、その標高を凌ぐ、奥多摩の山々を背景にするので、全く目立たない姿であることが、私にはとても意外だった。石灰石採掘の横縞模様が無ければ、気が付かなかったかもしれない。 山頂では、日がぽかぽか当たり、風が当たらない、絶好の場所を見つけたつもりだった。関東平野を眺めながら、ようやく腹ごしらえだ。熱々の汁物や炒め物を腹に詰め込んだが、気まぐれな冷たい北風が、時々我々の宴会場を急襲する。長年、使う機会のなかったホッカイロが、思いがけず役に立った。 当初は、食事後、白石峠を経由しての下山を考えていたが、ランチタイムに時間を費やした後、陽も翳ってきたので、早く温泉(都幾の湯温泉「四季彩館」を探訪)で温まりたい気持が勝り、距離の短い往路をピストンで下る。気温も大分下がってきたのだろう。ホッカイロを腹部に抱いていても、1時間の下山中、汗がほとんど出なかった。■ 今回のハイキング記念、ポレポレ隊製作のバッジ
笠山・堂平山行程 2011年3月3日 |
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