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Data No. 188


Data: 
奥久慈男体山
 登頂日: 2011年2月26日(土曜日)
 地  域: 茨城県北部
 標  高: 654m
 天  候: 快晴
 同行者: 単独行 


常陸の山
 

奥久慈男体山

 



常陸の国は遠かった!

  マイカーのナビに、この山の登山口をセットして、走行予定距離を見たらびっくりした。なんと、新潟県の郷里よりも遠い200km以上もあるではないか。同じ関東の首都圏のはずれくらいにしか考えていなかったので、ショックは大きかった。ガソリン代が再び高騰している今、経済的にも打撃は大きい...。

  この奥久慈男体山(おくくじなんたいさん)は、茨城県北部の大子町にあり、低山ながらも、ちょっとしたスリリングな鎖場が連続する岩山だ。私自身は、今まで全く眼中に無かった山だが、山バッジ仲間のポレポレ隊のレポでその存在を知り、バッジも譲っていただいたので、冬枯れの快晴の週末に探訪を決意したのだった。その昔、水戸の光圀公(黄門様)も登頂された山だそうだ。

  当り前に外環道を経由したら、時間は短くても距離と高速料金がもったいない。かといって、首都圏郊外の一般道をずっと走るのは、時間をひどく無駄にする。従い、我が入間を午前6時半に出発し、東北道加須ICまで一般道を走り、東北道〜北関東道〜常磐道〜那珂ICを走り、午前10:20にようやく登山口の「大円地」に到着した。延々4時間近いドライブだった。
 

威風堂々とした岩山

  
                       登山口、大円地から仰ぐ奥久慈男体山

  駐車場から仰ぎ見た男体山は、なんと、威風堂々とした岩山だった。茨城県には、過去あまり縁が無くて、筑波山登山と大洗のアンコウ料理くらいしか経験が無かった。地形も、茫洋とした平地が続いているのではないかと想像していたが、道中は結構山の中を走った。しかし目立つ山は筑波山くらいで、その筑波山さえも、1,000mを大きく下回る標高である。低山の連なる丘陵地帯で、このような立派な風采の山を見たので、ちょっぴり感動ものだ。

  快晴の朝、気分良く準備をして、10:25に出発。道標に従い、一旦坂道を降りて行ったら、もっと広い駐車場とこぎれいなトイレのある広場があった。ドライブ中、途中からは、道標に従って走って着いた場所だったのだが、ちょっと釈然としない。それが証拠に、私の停めた駐車場にはよそ者ナンバーばかりで、この広い駐車場は、ほとんどが地元の「水戸」ナンバーだった。ま、デブ解消に運動しろ、ということですかね。
 

「健脚」コースを登る

  やがて、大円地山荘という、ひなびた造りの建物の傍から、登山道が始まる。すぐに道は、男体山を正面から直登する「健脚コース」と右側から稜線を迂回して行く「一般コース」に分かれるが、登りは距離が短いという健脚コースをとってみる。

   
             登山口、大円地山荘から仰ぐ男体山                        斜面には茶畑も

  この健脚コースは、最初は杉林の中を登ってゆくが、やがて枯れた沢沿いを登るようになる。前半は、特別何も変わったことの無い山道だったが、後半は岩場を、これでもか、これでもか、と鎖を伝っていくスリリングなルートだ。このコースを登る際は、事前にストックはしまっておいたほうが良いだろう。鎖場では、とても邪魔なものになるので。

  この鎖場が連続するコースは、鎖もしっかりしているし、足場も充分確保できるので、特別な危険は感じない。しかし、槍ヶ岳や剣岳のように、堅牢な岩にかかった鎖場と違って、細かい砂利が乗っかっているような、石ころ同士が固まっただけのような岩場は、どうも好きではない。いずれにしても、油断は禁物。壁を直登するようなコースなので、実際の危険は少なくても、高所恐怖症の人は避けたほうが無難だろう。

  
          こんな鎖場が連続する                             頂上まで、もう少し!

  案内書では、この健脚コースを登り、一般コースを下るのが良かろうとのことだったが、途中、このコースを下山してくる人も少なからず居た。連続する鎖場の下りは、登りよりも危険度が高いものだが。
 

思いがけぬ高度感の天上世界

  やがて、「しつこく」連続した鎖場が終わり、傾斜が緩むと東屋が現れ、さらに数分上ると、待望の山頂だ。私の足で、麓から1時間強だった。標高654mの奥久慈男体山頂上には、せり出した岩頭の上に、下界を睥睨するように祠が建ち、下を見ると目もくらむ絶壁である。周囲には、この男体山よりも高い山は見当たらず、見渡す限り低山の起伏が続いていた。今日は快晴だが、春霞で遠景は望めず、筑波山さえも探せない。従って、私の視界範囲では、この山が正真正銘の盟主だ。同じ関東地方であっても、今見える景色に、馴染みのものは何も無い。黄門様も此処で見たという、新鮮な天上世界の感動を味わった。

    
                        下界を見下ろす絶壁の上に建つ山頂の祠       

                 奥久慈男体山頂上にて
   私もデザインがお気に入りのポレポレ隊バッジ 
  

  遠景は見えないが、風の弱い居心地の良い山頂であった。無粋なNHK様の電波送信用建物の傍で、天上世界のランチを楽しむ。今日は韓国製の激辛ラーメンを作って食べたが、箸をうっかり忘れてしまい、スプーンで苦心惨憺して食べたのが、忘れられない思い出になるだろう。

    
           崖下には、出発した駐車場が見える(中央上の部分)、高度感は凄い! 

                
                            周囲に、私の見慣れた景色は何も無い、常陸の国の山里

  しばし、天上世界でのひとり宴会を催した後、「一般コース」を下山する。こちらは、全く鎖場など無い、鼻歌交じりで歩けるコースだ(「下り」ならばね)。しかし、山頂からしばらくの間、右側は絶壁の縁である。草木が茂った季節には、崖が見えないかもしれないので、要注意とのことです。

  下山も、ゆっくり歩いて1時間半もかからない。鎖場の緊張感からも開放されて、快適なトレッキングだった。

  山の汗は、大子町の道の駅にある「大子温泉」と「美和温泉」で流して帰途につく。帰路は栃木県に迂回して東北道を南に下った。それにしても、行きも帰りも、常陸の国は、武蔵の国からは、本当に思いがけず遠かった。常陸の国は、どこへ行くにも、途中に通らない場所なので、ついつい縁が無くて、水戸偕楽園も知らない、最高峰八溝山(やみぞさん)も知らない、温泉もまだ数箇所しか知らない。今後、機会を作って、もう少し仲良くさせていただきます。■

 

奥久慈男体山行程

2011年2月26日(土曜)
入間6:30===R16==桶川==加須IC ==(東北道〜北関東道〜常磐道)== 那珂IC === 10:20
大円地駐車場 10:25 --- 10:35 大円地山荘登山口 --- 健脚コース --- 11:35 奥久慈男体山頂上(654m) 12:10 --- 一般コース --- 12:30 大円地越 --- 13:00 大円地山荘登山口 --- 13:10 大円地駐車場 13:20 === 14:00 大子温泉 15:00 === 15:20美和温泉16:30 === 宇都宮上三川IC === 東北道 === 加須 === 桶川 === 20:00入間帰着


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