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Data No. 181


Data: 
登頂日: 2010年8月1日
地域: 北アルプス、長野県
標高: 2,437m
天候: 曇り
同行者: 単独行
 


北アルプス 白馬乗鞍岳

   〜 白馬大池
 



猛暑からの逃避山行

  梅雨明け以降、うだるような猛暑の連続だ。最高気温が35℃を超すのが、近年はごく当たり前になってしまったのは、末恐ろしい。そんな猛暑からの逃避行として、またメタボ解消の手段として、手軽に北アルプスの空気に触れたくて、7月31日の土曜日昼過ぎに愛車で自宅を出発。

  途中、長野市内の温泉を探訪し、夜になってから、栂池高原のゴンドラ乗り場駐車場に着く。ここで、車の中で寝て、明朝一番のゴンドラで、白馬乗鞍岳(はくばのりくらだけ)を目指そうというものだ。しかし、こんな標高の高い栂池高原でも、車の中は暑くて、ドアを開けても風が入らず、不快な寝苦しい一夜だった。
 

涼を求めアルプスの稜線へ

  午前6:30、栂池パノラマウェイのゴンドラが運行を開始。駐車場にも車が増えて、ゴンドラ乗り場には、かなり長い行列ができたが、ゴンドラのカゴは次から次へと来るので、6人乗りながらも、相乗りはさせず、単独行の私でも、一人でゴンドラ1台を占領できた。ここは冬にはロングコースの滑走を楽しめるスキー場になる。私が通った上越沿線のスキー場とは、さすがに規模が違う。

  
          栂池高原のゴンドラ乗り場                        20分の空中散歩

  緑深い森の上を渡る20分の空中散歩は快適だった。ゴンドラ終点から、こんどはロープウェイに乗り換え、自然園まで上がる。空気清涼な標高約1,900mの別天地だ。

  ロープウェイ山頂駅から5分ほど歩いて登ると、高山植物のパラダイス「栂池自然園」入り口だ。ここには宿泊可能なヒュッテも、ビジターセンターもある。麓で自然園の入園券(300円)込みの往復切符を3,300円で売っているが、JAF割引だと入園券無しで2,700円の往復切符が買える。自然園に入るかどうかは、後で決めても良い。

        
     晴れていればこんな景色だった!         ビジターセンター脇から登山道に入る

  7:20、自然園のビジターセンター脇から、登山道に入る。山麓駅で見た本日の山頂付近の天気予報は、朝晩曇りだが、日中はズバリ晴れだったので、このときはまだ、十分に希望を持っていた。

  しばらくは、鬱蒼とした森の中を登る。ちらほらと下山してくる人々に出会うが、この時間帯は、後で振り返ってみると、まだまだ良かった。朝一番のゴンドラで出発したので、静かな山歩きを楽しめた。

  およそ1時間の登りで、傾斜が緩み、「天狗原(てんぐっぱら)」の広大な湿原に飛び出す。池塘が鈍色の空を映し、清楚な純白のワタスゲの群落が、ほっと心を和ませるように、明るい緑の原に彩を添えていた。そして、目指す白馬乗鞍岳中腹の雪田が雲間に見え隠れする。

   天狗原の湿原

  目指す白馬乗鞍岳が姿を見せる 

   乗鞍への途中、天狗原を見下ろす

  案外、手軽な山だな、なんて思いながら、白馬乗鞍岳本峰の登りにかかったが、それは甘かった。登山道は、ほとんど水平な地面を歩かず、ごろごろした岩の上を渡るので、気が抜けない。時々、雪田を横切る箇所もある。それでも、まだ人が少ないから良かったのだ...。

   
      歩きにくい岩だらけの登山道                    雪田をロープを伝って登る

  天狗原からは約1時間、午前9:05、めでたく標高2,437mの白馬乗鞍岳山頂に到着。岩がごろごろしただだっ広い山頂で、大きなケルンが立っている場所に山頂標識があった。予報では、そろそろ晴れる時間だったが、ガスは山を覆ったままだ。

   
                        白馬乗鞍岳山頂と山頂にあるケルン

  しばし、思案の末、白馬大池まで往復することにした。相変わらず、歩きにくい岩がごろごろした斜面を歩かされるが、白馬大池の畔までは僅か20分程度。

  白馬大池は以前、白馬岳(しろうまだけ)〜小蓮華山(これんげさん)を登頂後、蓮華温泉に下山する前に、大休止したことのある思い出の地だ。池の周囲には、白いチングルマの花がたくさん咲いていた。白馬大池山荘の周囲では大勢のハイカーが休憩していた。そして、びっくりするほど多くの熟年の団体が次から次へと、小蓮華山から下りてきて、私が歩いてきた栂池方面に向かって行く。それを見て、私は次第に不安が募ってきた。

  白馬大池と山荘

  大池から白馬乗鞍岳を仰ぐ 

  ほんの一瞬だが、頭上に青空が広がり、小蓮華山の頂上まで見えて、いよいよ天気が回復するぞ、と期待したのだが、ポケットからカメラを出して構えるまでの時間的猶予も無く、それっきりだった。結果的に、この日は、もう全く青空が出ることは無く、白馬岳の展望も得られなかった。天気予報には、これまでの人生で、何度裏切られたことだろう。 

      
                             山道で出会ったアルプスの花

  腹ごしらえは、白馬乗鞍岳山頂に戻ってからにした。持参のおにぎりや、とっておきの缶ビール1本は、もう下るだけというときに楽しみたいからだ。山頂では、まだ晴れるのではないかという希望があったので、しばらく滞在したが、あきらめて10:45に下山開始。

  下山開始直後から、とうとう私の不安は的中した。岩がごろごろした下山道は、熟年の団体で思いっ切り渋滞していた。そういえば、白馬岳の団体登山は、大雪渓を登り、栂池に下るのが定番だと、以前聞いたことを思い出した。栂池は団体の大型バスが待機するに都合が良い場所だからなのだろう。

  しかし、この水平のステップが無い大きな岩を伝いながらの下りが延々と続くルートは、初心者が多い熟年団体の歩くコースとしては、決してふさわしくない。慣れた人ならば、5秒で通過できる箇所を、彼らは、へっぴり腰か四つんばいになって、数倍の時間をかけて通過する。気の利いた団体のリーダーは、すかさず号令をかけて、後ろから追いついた人を、先に通してくれるが、そうでないKYリーダーは、いつまで経っても、全く後ろに人が待っていることを意に介さず、強引にマイウェイなのだ。そんなときは、場所とタイミングを見計らって、勝手に横を通過させてもらうしかない。中には、追い越されると、聞こえよがしの舌打ちをするリーダーも居た。天狗原までに、ウンザリするほどたくさんの団体に遭遇した。

  天狗原を過ぎたら、ようやく団体は居なくなった。しかし、渋滞でストレス目一杯になった私は、栂池自然園を見物してから帰るより、早く麓で温泉に浸かることを選んだ。今日歩いたこのルート、夏のシーズン中は、早朝以外に通過することは、誰にもお奨めしません...。■


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