Data No. 174 |
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道南の隠れた名山 室 蘭 岳 | |
途中、新青森駅の工事現場を車窓から見る。来年(2010年)暮れには、ここまで新幹線が開通する。東京から約3時間で新青森が結ばれる。大いに楽しみだ。 大沼公園から蝦夷駒ケ岳を見て、室蘭へ 函館駅でレンタカーを借り、噴火湾をぐるりと回るように室蘭へ向かう。北海道の道は、高速道路が無くても至極快適だ。函館の街を過ぎてしばらくすると、大沼公園が現れる。山頂が尖った蝦夷(えぞ)駒ケ岳(または渡島(おしま)駒ヶ岳)の姿は、生涯で2回目の拝見だ。最初は39年前の高校時代の修学旅行で、函館から乗った釧路行の特急列車の車内からだった。こんな異様な、不気味な姿の山は見たことが無かった。山頂の岩峰が思い切り尖って、天を突き刺す。この世に、こんな山があるのかと、極めて強い印象を残した山だったが、それ以来、函館に来る機会が5回ほどあったものの、夜行の疲労で熟睡していたり、悪天候だったり、大沼公園はルート外だったりして、あの鋭鋒を見る機会が全く無かった。 森町付近からの蝦夷駒ケ岳。大分形が変わる
今回も、可能であれば、この蝦夷駒ケ岳を登頂したかったのであるが、生憎火山活動のために、入山規制がずっと続いている。しかし、規制が解除されたら、いつかきっと、あの鋭鋒の先端に立ってみたいものである。 この日は、洞爺湖畔を経て、内陸の北湯沢温泉に宿をとる。
室蘭岳登山口、だんぱらスキー場の駐車場には、6月27日午前9時過ぎに到着した。快晴に恵まれ、室蘭岳は青空の下に、緑の衣に包まれて目の前に聳えていた。麓から仰いでも、決してきつそうな山ではないので一安心。 北海道の山は、なんと言っても、ヒグマとの遭遇が怖い。支度をしながら、熊鈴を持参しなかったことに気がついて愕然とする。そして、周囲には、これから山へ向かおうという人の姿も無い。でも、ここは人里に近いし、駐車している車の数もかなりあるから、まあ何とかなるだろうと、登山口へと向かう。 スキー場のゲレンデに沿った道だから、決して急斜面があるわけではない。樹林帯の中の道を、熊鈴の代わりに、石ころをカチカチ叩きながら歩いた。そして、しばらく歩くと、ポツリポツリと他の登山者の姿も見る。彼らは決して熊鈴をチャリンチャリンとも鳴らしていない。ということは、それほど熊の危険は無いということか...。少しだけ安堵する。 室蘭岳と言っても、知っている人はごく少ないだろう。百名山でもなし、三百名山でもない。東京からわざわざ登りに来る山ではないだろう。だから、決して大きな期待をして来たわけではない。では、なぜわざわざ、こんな山に? それはバッジを買えるからです...。アホか? しかし、登ってみて、杉を人工植林した奥多摩や奥武蔵の凡山とは、全く違った魅力のある山だと思った。ダケカンバの林がとても美しい。妖精がひょっこり飛んできそうな、おとぎの世界の森のよう。そして、鳥の鳴き声が爽やかで、心を癒してくれる。 時折、振り返れば、入り江を取り囲むように広がった室蘭の町が美しい。そして、その周囲は、真っ青な大海原だ。息の切れる登りも、雄大な景色を眺めながらだと、決して辛くはなかった。ダケカンバの美しい森は、ずっと続いた。山頂に近付くにつれて、樹木の高さは次第に低くはなっていくが。 山頂には、やや早足で歩いて、1時間で到着した。何の何の、けっしてこの山は凡山ではない。足元には室蘭の港町が絵画のように広がり、内陸部を見ると、富士山そっくりの羊蹄山が見える。はげ山の有珠山も見える。あたかも、箱根の山の上に居るような感じだ。 山頂には、意外と多くの人がいた。今回私が歩いた直登ルートのみならず、沢登りルートや縦走ルートもあるようだ。山頂では、彼らの喧騒を避けて、羊蹄山を真正面に眺められる場所で、ひとりゆっくりと缶ビール1本を飲んで休憩。極めて爽やか、かつ快適な山頂の憩いを堪能した。■ | |