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Data No. 172


Data: 
登頂日: 2009年3月12日
地域: 埼玉県秩父、小鹿野町
標高: 771.5m
天候: 快晴
同行者: HN氏

福寿草咲く 

秩父 四阿屋山


静かな陽だまりの中の山里

  早春の陽光が、まだ冬枯れの山肌を柔らかに照らし、真っ青な空には鳥が音も無く飛ぶ。秩父盆地から更に奥深く入り込み、幹線道路からも離れて、山懐に抱かれた山村は、こんな平日の朝では、歩いている人もまばらで、ハイカーの姿さえ見えない。耳鳴りのするほどの静寂が周囲を支配していた。喧騒とは無縁の、平和な山里。

  今日は横浜の山バッジ収集の大家、HN氏と旧両神村の四阿屋山(あずまやさん)を訪れる。四阿屋山と言っても、山登りをたしなむ人でさえ、この関東近辺でも知っている人は決して多くない。可憐な福寿草が咲く山として、知る人ぞ知る低山である。また、麓では、節分草の自生地があることでも通の間では有名である。


まだまだ見頃だった福寿草園

  福寿草園入口の駐車場には、他の車は一台も無かった。もう福寿草は見頃を過ぎていると思って、山道に足を踏み入れたが、なんのなんの、まだまだ花は盛りであった。駐車場から僅かで、人工的に植えた福寿草の群落があり、ここは労せずして可憐な黄色い花とロウバイを楽しむことができる。そして、更に山の斜面を登って行くと、福寿草の自生地が現れる。定間隔に「植えられた」花畑よりも、自生地の自由気ままな咲き具合のほうが美しいのは、言うまでもなかろう。

  
          紅白の梅の花が咲く山道                      ロウバイと福寿草の競演

     
            山肌を暖色に染めるロウバイ                        可憐な福寿草

    福寿草のブーケが斜面を明るく染める

  花が沢山咲いていても、今日は我々2人に貸切状態である。もったいないくらいの快適な陽気で、下山後の昼餐会の場所は、もう決まったようなものだった。


四阿屋山の山頂への道

  四阿屋山は、標高771.5mの低山である。しかし、福寿草自生地を過ぎてからは、急登や鎖場等が連続しているので、花見風情の軽装の観光客が入り込まないよう注意書きがある。普通にハイキングの装備をしていれば何も危険は無い。


    
      遠くに秩父の盟主、武甲山の姿が                       結構急な登りが続きます

    
        冬枯れの山道を行く                             崖下に落ちないよう、鎖が付いてます

  今年初めての山登りだったので、久し振りに多少緊張した。しかし、それも麓からせいぜい1時間の登りだ。先客の誰もいない、狭い山頂では、素晴らしい展望が迎えてくれた。真正面に雄大な両神山が、鋸の歯のような八丁尾根を天に向け、屏風のように、せり上がっている。標高はこの山頂より1,000mも高い。その右側には、ずっと小粒ながらも、二子山の岩峰が鋭い。簡単に人を寄せ付けまいとする護衛兵のような姿だ。

  
           百名山、両神山の威容                      小粒ながらも貫禄のある二子山

   
            四阿屋山頂上にて                         西上州方面の展望

  この山頂からは、いわゆる人里も、人工の畑等も、ほとんど見えない。僅かに、二子山の手前を登ってゆく国道299号線沿いに、目を凝らすと小さな集落が見えるだけ。憂き世を遠く離れた、平家の落人の里のよう。この山頂のベンチで、HN氏が持って来てくれた缶ビールを、とても美味しくいただく。

  しかし、山頂はさすがに風が冷たい。そして、あまりアルコールが入ると、あの狭い道の下山が気がかりになる。ほどほどで山頂を切り上げて、昼餐会は、あの福寿草園にあった東屋のベンチで、ゆっくりゆっくり楽しむ。昼を過ぎると、人気の無かった福寿草園は、賑やかになった。千葉からのバスツアー団体も来た。千葉では福寿草の咲きそうな山は無いのかもしれない。

    花畑の真ん中、暖かな陽だまりの中で昼餐を楽しむ。

  四阿屋山の登山口からすぐの所には、温泉入浴のできる[道の駅両神」がある。ここで、ゆっくりと汗を流し、仮眠・休憩して帰途につく。帰路にじっくり見ようと決めていた、この山里のもう1つの売りもの、「節分草」の自生地は、残念ながら午後4時半で入口が閉鎖されたばかりだった。このように管理しなければ、心無い人間の盗掘で、大自然の恵みを護ることが出来ない憂き世を嘆く。しかし、まあ、今日の訪問を最後とせず、また改めて両神にいらっしゃいということか...。■


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