山に呼ばれて山歩き Home

日本全国の山ある記

山のバッジギャラリー

ぶらり旅行記

ふるさと讃歌 十日町

お奨めリンク集

Data No. 164


 Data: 
 登頂日: 2007年7月1日
 地域: 秋田県
 標高: 1,477m
 天候: 晴れ
 登頂時年齢: 53歳
 同行者: 単独行

 

秋田 乳頭山

そして山中の秘湯



2007年6月30日  「はやて」で盛岡へ、そして高原の温泉へ

  年配者の特権であるJR東日本の割引切符を利用して、土曜日朝、盛岡へ新幹線で飛ばす。本来は3日間有効の切符であるが、この春から、10年間の自営業生活にピリオドを打ち、サラリーマンに戻ってしまった。勤め始めて日も浅いので、有給休暇も無い。従い土日の二日間でしか旅行ができない。まだ慣れていないせいもあるが、ストレスのたまる職場である。たまには旅行にでも出なければ、とてもやってられないわ...。

  今回、乳頭山を目的地にしたのは、ほかでもない。バッジを持っているからだ。もうかなり前に秋田駒ケ岳を登頂した際に、ふもとの土産物屋で「乳頭山」のバッジも購入した。きっといつか登る機会があるだろうと思ったからだ。しかし、それ以降20年近く機会を得なかった。乳頭山周辺では秋田駒の他に八幡平、栗駒山、森吉山、岩手山なども既に登頂したので、この乳頭山だけを目的にわざわざ遠出をするのももったいないものだ。しかし、新幹線乗り放題で12,000円の切符ならば、ま、いいっか。

  乳頭山は、別名「烏帽子岳」とも呼ばれ、以前秋田駒ケ岳を登頂したときに、稜線の先にその姿を見ている。決して自分の姿を誇示するような目立った山では無いが、のびやかな草原の一角に頭をもたげたような「烏帽子」のような峰だったのを記憶している。その山の麓は名だたる秘湯の里、乳頭温泉郷だ。

  盛岡駅前で切符とセットで割安になるレンタカーを借りて、一路国道46号線を秋田へ向かう。もっと目的地近くの田沢湖駅まで秋田新幹線で行けるのだが、レンタカーを借りる起点は、やはりある程度の都会のほうが、時間が余った時や列車の便に加え、いざという時の利便性が高いのだ。

  
       水沢温泉郷の宿、青荷山荘                     豪華ではないが私には充分な夕食

  この日は、田沢湖高原、水沢温泉に2食付7,000円の宿をとった。雨降りの一日なので午後3時に早々にチェックイン。大きな宿ではないので風呂場は決して大きくないが、白濁した大地の恵みの湯は日頃のストレスを解消するには、この上ないものである。料金が料金だから夕食も決して豪華ではないが、それほど贅沢に育っていない私には充分なものである。安く泊った分は、美味しいお酒を楽しもう。明日の予報は「晴れ」である。


2007年7月1日  乳頭山を登頂し、山中の秘湯を楽しむ

  昨晩予報されたほどの好天ではなかった。しかし、雨の心配はなさそうだ。それほど厳しい登りの山ではないので、8:40にゆっくりと宿を出る。

  乳頭山の登山口は乳頭温泉郷の一番奥まったところ、黒湯温泉入口である。まだ梅雨明けしていないシーズンオフの温泉郷の朝は、人気もなく、とてものどかで静かだった。登山道は黒湯の温泉宿を通り越して、一本松沢という渓流に沿って登ってゆく。渓流沿いには、いたる所でガスや湯気が噴出している。これが大地の恵みである乳頭温泉郷の大元なのだ。沢の途中でも、白濁した湯の水溜りがそこかしこに点在する。

     
   ところどころで噴出する温泉ガス             こんな湯だまりがそこかしこに

  登山道はやがて沢を離れて、ブナ林の中を登ってゆく。ブナ林の中の急登をこなすと、やがて森林限界の上に出て、視界が広がる。背後には満々と蒼い水を湛えた田沢湖の湖面が広がり、右手には秋田駒が岳がどっしりとした姿を見せるが、山頂付近は雲に隠れていた。

  草原状の斜面を登って行くと、すっくと烏帽子の頭をもたげた乳頭山の山頂が見えてくる。そしてラストスパートをかけて登りついたところが、標高1,477mの乳頭山頂上であった。黒湯温泉から約1時間半で登頂。山頂は岩石に覆われていて、東側は絶壁である。山頂には10数人の先客が居た。
 
   
      秋田駒ヶ岳方面の眺め                          乳頭山山頂を仰ぐ

   
         乳頭山頂上にて                             田代岱から見る田沢湖の湖面

  早朝よりも天気は回復したが、秋田駒が岳の山頂の雲は取れなかった。しかし、東側の岩手山、北の八幡平は山頂まで良く見えて、麓には田沢湖の湖面が光る。爽快な山頂であった。時間はまだ午前10:20であり、食事をするほど空腹でもない。持参の缶ビール1本を大事に飲みながら登頂祝とする。

  下山は避難小屋のある田代岱湿原を散策しながら、登りとは別コースを辿る。人出のピークも過ぎて、田代岱の避難小屋周辺は全く人気がなかった。静かな湿原には、そよ風が吹き、耳鳴りがしそうなほどの静けさが漂っていた。湿原には、けっして派手ではない高山植物がひっそりと咲いている。

  土日だけの登山旅行は時間が十分ではない。あまりのんびりとしてもいられないので、湿原での滞在もそこそこに下山にかかる。樹林帯の中の道を駆け降りて乳頭温泉、黒湯駐車場に11:40帰着。その後は早速「湯巡り」を楽しむ。

  
       田代岱湿原と乳頭山                              渓流傍の蟹場温泉露天風呂

  前回入湯していない「蟹場温泉」、「妙ノ湯温泉」で、しっかりと山の汗を流し、せせらぎの音を聞きながらのんびり入浴。老後は、こんな温泉郷で、気の合った仲間同士で自炊でもしながら、長逗留することが今の私の夢である。

  楽しい思いをした後は、またあの慣れない職場に明日から戻ると思うと、早速憂鬱になる。しかし、そんなことは明日の朝の出勤時間まで、忘れていよう。盛岡駅でレンタカーを返却し、晴れて駅構内のレストランで美味しいお酒を飲みながら、短いみちのくの山旅+温泉巡りの余韻を味わって「はやて」に乗り込んだ。■

行  程

2007年6月30日(土曜)
入間市7:21===(西武・JR)===東京駅9:16===(東北新幹線こまち11号)=== 11:59盛岡12:30レンタカーで出発===(R46)===鶯宿温泉===雫石橋場温泉=== 15:30田沢湖、水沢温泉「青荷山荘」宿泊

2007年7月1日(日曜)
水沢温泉8:40===黒湯温泉8:50 ---(1:30)--- 10:20乳頭山頂上(1,477m)10:40 --- 田代岱 --- 11:40黒湯温泉帰着 === 蟹場温泉 === 妙の湯温泉 === 南網張温泉 === 15:30盛岡駅 16:54 ===(東北新幹線はやて26号)=== 19:10大宮 ===(埼京線、武蔵野線、西武)=== 20:40入間市帰着

           登山記リストへ戻る