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Data No. 158

 データ:
 登頂日: 2005年12月4日
 標高: 不明
 場所: 群馬県沼田市
 天候: 小雪時々晴
 登頂時の年齢: 51歳
 同行者: 6名のFriends


 

沼田 迦葉山

         かしょうざん

 



【天狗の山へ神秘の山行】

  前夜は片品の洒落たペンションに宿泊し、FSさんとKKさんの誕生日祝で、車の運転をしなくて良い旅だったのもあって、しこたま飲んだ。

  朝方目が覚めると、前夜から降り続いた雪が15cmほど積もり、上州の山々は一面の銀世界であった。やれやれ、これならば今日はのんびりして温泉にでも浸かってビールを飲んで帰京かな...と、仕事でお疲れ気味の同室のMHさんと、にんまりしながら、90%ほっとし、10%だけ残念な気分でいた。

  ところが、「その気」でやって来ているご婦人方はそれでは収まらない。朝食時にペンションのご主人が提案した天狗で有名な沼田迦葉山(かしょうざん)を登頂するか、途中の胎内くぐりまで行くだけ行ってみようということに、圧倒的多数決で決まった。温泉とビールは午後までおあずけになった。

  この片品のペンションは、私以外の皆さんが別の登山同好会で、この地域での常宿にしているもので、登山シーズンにはご主人自らが山案内もしてくれる。そして食事がとても美味しいとのことで、今回のお二人の誕生日祝をきっかけとして、私も初めて泊り、満足した。

  午前10時に宿のマイクロバスでペンションを出発し11時過ぎに迦葉山境内の駐車場に到着。雪模様で参拝客は数えるほどだ。すっかり冬山装備を準備してきた皆さんと違い、雪山登山など想定していなかった私は軽装で挑戦するしかない。

         天狗の山に雪中行軍


  宿の主人に導かれ、大天狗を祭ってある本堂は後回しにして、渡り廊下を地下に沈むようにしてくぐり、新雪の降り積もった裏山に足を踏み入れる。幸い厚み10cmほどの新雪はほどよく乾いていて、ぐちゃぐちゃせず、一番後ろを歩く私はスパッツが無くてもそれほど苦労しない。今年は紅葉が大幅に遅れたので、まだ落葉し切っていない樹木に雪が積ってしまった。

  こんな日にこの山を登るのは我々だけであった。もし宿の主人がガイドしてくれなかったら、新雪で道が隠されているので我々だけでは登れなかったに違いない。また、雪が融けても本当にこの下に登山道なんてあるのかなと思うほどで、傾斜もきつい部分がある。厚い枯葉層の上に積った雪は不用意に歩くとつるりと滑る。ガイドの足跡を忠実にたどろう。

    
   この巨大な岩の割れ目を裏側から潜ってくる             慎重に、慎重に

  凡そ30分も樹林帯の中を登ると、頭上に巨大な尖った灰色の岩が見えてきた。これがご神体であり、真ん中の割れ目をくぐってくるのが胎内くぐりだ。各自ザックを置いて、裏側から回る。しかし、この胎内の裏側へのルートは崖のトラバースあり、鉄梯子ありで易しいルートではない。ガイドの先導で無事全員が上がる所まで上がった。オーバーハングの岩壁には無数の氷柱がぶら下がっている。

  巨大な尖った岩がてっぺんまで真っ二つに割れたその狭い隙間を、今度は慎重に下ってゆく。「胎内」である割れ目の中には祠が祀られている。そしてこれを潜って外に出れば、生まれ変わった自分になるとのこと。割れ目の奥に見える外の光は、何だか本当にその気にさせる神々しさを持っていた。但し、「来世」へたどりつくには、鼻歌気分ではならず、雪が張り付いた岩を幾本かの鎖を伝って慎重に急降下しなければならない。軽はずみな気持ちでは幸せな来世にはたどり着けず、墜落してしまったら痛くて辛い来世になる。女性達が「右足はもっと左、左足はもっと下」などと賑やかにしゃべりながら降り終わってから、私も冷たい鎖に頼って慎重に降りて「来世」に出た。今年病気を患った私は、不信心な人間であるが、何だかえもいわれぬ安堵感にひたった。

   
        ご胎内の内部                     本堂の中で参拝客を見張っている巨大な天狗


  この日は、この迦葉山の山頂は割愛し、往路を下って大天狗を祀ってある本殿を参拝。本殿の参拝が終るまで、堂内が暗かったので、その左側で二つの巨大な天狗の顔が見張っていたことには気が付かなかった。ああ、謙虚な気持ちで参拝して良かった...。

  宿のマイクロバスの中でランチ後、地酒を味見できる酒蔵、雪見の川場温泉も案内していただき、何だか別の世界への旅が終ったような気分で、沼田駅から夕方の上り列車に乗った。

 


追伸: 今回泊った片品のペンションは、スキーにも登山にも良いベースになる。また登山シーズンには近辺の名山をガイド付で登れるプログラムも多数用意しているとのこと。ご興味のある方は下記にアクセスされたい。

   http://www7.ocn.ne.jp/~green-f/

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