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Data No. 126 |
データ: |
上州 荒船山 |
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テーブルランドの山 関越道や上越新幹線を新潟に向かっていると、決して目立ちはしないが、進行左手の上信国境の山並みの中に、テーブルのように山頂が平らになっている山を見出すことが出来る。それが荒船山である。 今年は、郷里の実家の撤収など、いろいろと面倒なことが多くて、全く山には出かけられなかった。このままでは、年間登山回数ゼロという新記録を「達成」しそう。ということで、FKさんと近場の日帰り登山を計画して、決まったのがこの荒船山である。 11月2日夜、上信越道下仁田ICからR254に入る。上信国境の内山トンネルをくぐり、信州側に出るとすぐに荒船不動方面に行く道がある筈なのだが、案内板が乏しくて、しばらく迷ってしまった。ようやく「荒船山登山口」というちっぽけな札を見つけ、漆黒の狭い山道を登って行くと、小広い空き地に着いた。「ここから先は車は登れません」という立て札があり、荒船神社直下の駐車場に着いた。周囲は全くの闇で、車のライトを消すと足元も見えない。草木も眠る午前1時。 車中で一杯やって、ほろ酔い気分で眠る。明け方に雨がザーザー降った。あ~ぁ、今年の山はもう駄目か、これは温泉巡りに変更かな...などと考えながらもう一眠りして、再度気が付くと、9:30になっていた。雨は止んだようだ。しばらく山から遠ざかり、怠惰になっていた私は、FKさんが「山は止めて温泉にでも入って帰ろう」と言えば、きっと「うん、そうしよう」と頷いただろう。しかし、彼は「折角だから登ってみよう」と言う。 幽玄な雰囲気の山 不動尊の裏手から星尾峠への登山道を歩く。薄暗い樹林帯の中をひたすら歩く。風が冷たいせいか、汗はそれほど出ない。不動尊から約40分で、星尾峠に到達。針葉樹林体を抜け、秋の色に染まった林が目をなごませる。ここまで来れば、荒船山の最高点、京塚山へはほんの一投足だ。しかし、急な上り坂になった。前夜の酒が息を切らし、FKさんが苦しいと嘆く。それも凡そ15分で山頂に出た。 墨絵のような妙義方面の山並 標高1,423mの京塚山は樹木に覆われていて、夏ならば全く視界が利かないだろう。しかし、木々の葉が枯れ落ちたこの季節は、梢の間から水墨画のような景色が眺められた。風が強いものの、天候は急速に回復している。雲海の中に、妙義山であろうか、にょっきり立った岩峰が顔を出している。まるで水墨画のような世界が展開していた。荒船山の南端に位置するこの場所から見えているのは西上州から奥秩父方面か。 平原の先に突如現れる断崖絶壁 ここから更に北側の「トモ岩」に足を進める。京塚山を下り、びっくりするほどに平坦な山頂平原を歩く。笹に覆われたのびやかな草原を息も切らさず気持ち良く足を運ぶ。この平原は全長2kmにも及ぶ山上の楽園である。その平坦な楽園は、突然に「トモ岩」の大絶壁で終る。 トモ岩の展望台でランチタイム
往路を戻り、14:05、駐車場に帰着。狭い山道を緊張しながら下り、国道に出る前に昨夜の内に目をつけておいた「初谷温泉」に行く。山奥の一軒宿で、幸い、外来入浴でも、気持ち良く迎えてもらえた。含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物炭酸水素塩冷鉱泉で、赤褐色がかった源泉湯はかなりぬるめだが、沸かし湯の方は適温である。ガラス張りの浴室からは、紅葉の渓流の眺めが見事だ。飲用すると胃腸病や貧血に効くという「宝命水」の飲泉所も屋外にある。 汗を流し、さっぱりとした気分で帰路につく。R254を下る途中、「トモ岩」の大絶壁を展望する場所で車を停める。船の舳先のような、あの絶壁のてっぺんで、我々は酒を飲み、ご飯を食べてきたのだ。他にも通りがかった観光客が車を停めて写真を撮っている。単なる見えた風景を写真に撮るのとは違って、我々は実際にあの場所に立ってきたのだと思うと、少しだけ誇らしい気分だ。 峠道を下りながら、やっと今年はひとつだけ山に登ることが出来た、という安堵感と、歳をとってしまったのかな、という一抹の寂しさを胸に感ずる。来年はもう少し真剣に山にカムバックしてみようかな...。■
11月2日(水曜)~3日(木曜、文化の日) ![]() |