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Data No. 115

 データ:
 登頂日: 1986年12月13日
 大山標高: 1,246m
 新大日岳標高: 1,342m
 塔ヶ岳標高: 1,491m
 場所: 神奈川県
 天候: 快晴
 登頂時の年齢: 32歳
 同行者: 単独行


丹沢表尾根
 

(大山、新大日岳、塔ヶ岳)

 



【体力増強トレーニングの山...】

  丹沢は8年前、水無川本谷を沢登りして以来だ。小田急に乗るのも久し振りだ。昔、仕事でよく行った伊勢原駅に早朝に降り立つと懐かしく、青空の下に、目指す大山がどっしりした姿を見せている。

  バスに乗り大山ケーブル駅へ。ケーブル始発の9時まで、時間潰しに苦労した。相模平野と相模湾を眼下に見ながら僅か6分で下社駅に到着。乗客は中年以上の登山者が多い。

  
            大山ケーブルに乗って                       阿夫利神社下社に参拝

  下社駅を降りて大山阿夫利(あふり)神社下社に参拝。今日の登山の無事と自分のこと諸々を祈願して、歩き始める。ここから頂上の阿夫利神社迄、登山道には一丁目から二十八丁目まで「丁目石」が立てられていて、自分の現在位置を知るのには都合が良いが、その間隔がまちまちで、戸惑うこともある。しかし、落ち葉をサクサクと踏みしめながら歩くのはなかなか良いものだ。

  二十丁目に達した時、西の視界が開け、雪を戴いた富士山が姿を現した。いつ何処から見ても同じ形をした美しい山であるが、最近は、この整い過ぎた山にはそれ程感動しなくなっている。それでも、至近距離から大きく見えると、さすがは日本一の山である。

     大山山頂からの富士

  ケーブル駅から凡そ1時間で二十八丁目、標高1,246mの大山頂上、阿夫利神社に到着。冬の快晴だから、遠望を期待していたが、太陽が低く光り過ぎて、東の方角が霞んで良く見えない。山頂には中年男性二人がいただけで、頂上神社は人影もなく、拝殿は全部冬囲いされていた。20分休憩後、ヤビツ峠に向けて降下開始。

    
            大山の山頂にて                       これから歩く表尾根の稜線

  霜柱の立った登山道を足任せに飛ばして行くと、ヤビツ峠方面から大山に登ろうという人々にかなり出会った。冬枯れの低山であるが、春や秋よりも空気が澄んでいて、木々が葉を落としているので、眺めがすこぶる良い。気持ち悪い爬虫類も出没しないし、汗もあまりかかない。この季節の登山は初めてなので、新発見をした気分だ。40分程で舗装道路の通るヤビツ峠に到着。折角登った高度を相当下ってしまった。売店でバッヂを買い、休憩。この付近はマイカーでやって来たハイカーで賑わっていた。

     ヤビツ峠を出発

  ヤビツ峠から15分位車道を奥に進むと、富士見山荘の前から丹沢表尾根の縦走路が始まる。見上げると、塔ヶ岳へと続く尾根道は起伏が大きく、既に山を一つ登ってきた身にはかなりこたえそう。一本調子の登りが始まると、やはり疲れが出た。

【地図のコースタイムを切れない...!】

  それでも私自身は決して遅足ではないつもりで、途中で登山者を数人追い越しこそすれ、誰にも追い抜かれはしなかった。ところが、今日は大山の登りから始まって、ブルーガイド社発行の登山ガイドのコースタイムを全く守れない。いつもならば、標準タイムのほぼ7割位の時間内で踏破しているのに。腕時計を見て所要時間をチェックするたびに「そんなばかな!」と呆然とする。天下のブルーガイド社の案内書なのに、相当な健脚者が駈け足したコースタイムを載せているのではないか。これではガイドとして完全に失格だ。

  
         烏尾山から三ノ塔を望む                        新大日岳頂上にて

  二ノ塔を越し、更に三ノ塔(1,205m)を越え、赤土でグチャグチャになった不快な急坂を下り、両手と登山靴を泥だらけにして、13時に烏尾山(1,137m)に到着。ここで漸くおにぎり弁当を食べる。見上げる塔ヶ岳はまだ遥か先で、うんざりしたが、腹ごしらえをしたら、いくらか元気を回復した。振り返れば、二ノ塔や三ノ塔は大きな山であり、「表尾根」とはいうものの、独立した峰々の縦走と言った方が相応しい。それにしても、この嘘だらけのガイドブックを信じてやって来たばかりに、大幅に予定が狂い、この時点で既に一時間半以上遅れている。平均的な登山者ならば、もっとオーバーしているだろう。

    ようやく見えてきた塔ヶ岳と丹沢山

  烏尾山から先は、痩せ尾根もあったが、道が乾いているので歩き易くなった。行者岳の鎖場を越え、新大日岳の登りにかかると、やっと目指す塔ヶ岳の山頂小屋が間近に見えた。途中のカイサク茶屋は居心地の良さそうな展望喫茶室があり誘惑されたが、日の短い季節なので、ひたすら歩く。新大日岳(1,342m)頂上で小休止後、最後の力を振り絞ってスパートをかけ、14:55、ようやく塔ヶ岳頂上(1,491m)に到着。

  
        ようやくたどり着いた塔ヶ岳山頂で                  尊仏山荘は新築中だった

  尊仏(そんふつ)山荘新築工事の金槌の音が響き渡る頂上は、360度の展望が広がっていた。振り返ってみれば、はるか遠くの大山から苦労してはるばる歩いて来た表尾根縦走コースの山々がはっきりと見渡せ、よくもこんなに歩いたものだと我ながら感心する。塔ヶ岳の奥には、丹沢山と最高峰の蛭ヶ岳が聳え、西には逆光に浮かぶ富士山と箱根の山々がきれいだ。尊仏山荘で、ビールを飲んで、辛かった今日の縦走をねぎらう。そして熱いコーヒーを注文して、ビールの酔いを醒まし、長い大倉尾根の下りに備える。

【ヤケクソの駈け足下山】

     塔ヶ岳を後に、バカ尾根を駆け下る

  15:20、大倉尾根の急降下を開始。日が暮れないうちに麓に辿り着こうと思いっ切り飛ばした。通称「バカ尾根」と呼ばれる一本調子の急斜面を足任せに下る。途中、もっと阿呆みたいに飛ばす二人の若い男に抜かれたが、私も十数人を追い越した。コースタイム2時間(これも相当におかしいが)の下りを1時間半で達成。今日初めてガイドブックの区間コースタイムを下回る。いずれにしても、何らかの形で、ブルーガイド社に苦情を申し入れたい。

  16:50、大倉バス停に着いた頃、初冬の陽は完全に翳り、空はもう真っ暗になった。私の膝は、思いっきり飛ばした急斜面の急降下でガクガクと笑っていた。その後数日、筋肉痛に悩んだのは言うまでもない。■

 

丹沢表尾根縦走行程   1986年12月13日(土曜日)

入間市 5:12 === 6:03 池袋 === 新宿 6:30 ==(小田急)== 7:30 伊勢原 7:40 ==(バス)== 8:05 大山ケーブル駅 9:00 ==(ケーブルカー)== 9:06 下社駅 9:10 --- 10:10 大山頂上阿夫利神社 (1246m) 10:20 --- 11:00 ヤビツ峠(750m) 11:10 --- 11:25 富士見橋 --- 12:12 二ノ塔 12:20 --- 12:35 三ノ塔(1205m) --- 12:55 烏尾山(1137m) 13:25 --- 14:15 新大日岳(1342m) 14:25 --- 14:55 塔ヶ岳(1491m) 15:20 --- 16:50 大倉(320m) 17:05 ==(バス)== 17:22 渋沢 17:35 ==(小田急)== 18:40新宿 ==池袋 19:17 ==(西武)== 20:02 入間市

 
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