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Data No. 106

 データ:
 登頂日: 1979年10月27日
 標高: 851m
 場所: 埼玉県
 天候: 快晴
 登頂時の年齢: 25歳
 同行者: YSさん、NTさん

 

奥武蔵 伊豆ヶ岳

 



【秋真っ盛りの奥武蔵へ】

  10月の給料日翌日の土曜日、NTさんと今年入社したYSさんとの3人で、かねてからやってみたいと言っていたハイキングに出掛ける。

   西武レッドアローの特急券

  7:15、西武池袋駅に集合。NTさんは旦那様のお見送り付き。7:30発の特急レッドアローちちぶ3号に乗り、芦ヶ久保へ向かう。天気は上々。朝日が車窓を通して暑いくらい。8:50、芦ヶ久保に到着。ハッスルしているYSさんは、内側に折れながら開くドアに見事おでこをゴッチンとぶつける。たった今、車内アナウンスでドアが内側に折れるから注意するよう言っていたばかりなのに。特急の停車しなかった正丸駅へ一駅戻り、駅前を9:20に出発。

        正丸駅から出発します 

  駅傍のガードをくぐり、早速砂利道の緩い登りにかかる。道端の民家の庭先にはコスモスが咲き乱れ、葉を落とした柿の木に実だけが夕焼け色のまま沢山ぶら下がっている。秋たけなわの奥武蔵の風景は故郷を思い出させ、久し振りに歩く山道は、いまひとつ会社の仕事に乗れない私の気持ちのわだかまりを溶かしてくれるよう。ああ、今年はもっと山に来れば良かった...。中学生の団体を何時の間にか追い越し、老夫婦を追い越してしまうと、静かな山道になった。ヘビ退治係のYSさんを先頭に、NTさんを真ん中にして、私がラストを歩く。

  きりっと心地良く冷えた秋の空気であったが、さすがに登り続けると汗をかく。最初の休憩で皆がセーターを脱ぐ。歩き始めてから50分ほどで舗装された車道の通る正丸峠に到着。西武経営のジンギスカン料理が売り物のガーデンハウスの脇を通り、再び山道にかかる。これまでよりも急な登りになった。途中の小高山でテーブル付の休憩所があったので、先日買った携帯コンロを初めて使いコーヒーを沸かす。小型ながらも火力が強く、3人分のお湯ならすぐに沸いた。水分を身体に補給したため、全員元気百倍となる。さあ、ひと踏ん張りと山頂を目指す。

      ちょっぴりスリルのある場所も

  今回伊豆ヶ岳を選んだ理由は、歩行時間が少ないながらも、スリルのある簡単な岩登りが出来るから。しかし、その頂上直下の鎖場に着いて驚いた。揃いの体操着を着た中学生の団体が、岩場の天辺から下までびっちりと埋め尽くし、まるで猿山のような賑やかさ。そして後から後からどんどん増えるばかり。彼らが全部通り過ぎるのを待っていたら、いつまで経っても順番が来そうもないので、我々も「猿山」に突入する。予想していたよりもダイナミックな岩場だ。NTさんは思ったよりも度胸があり、怖がらなかったが、YSさんの方が慌てていた。「恐い恐い」を連発しながらも、5分少々で無事に伊豆ヶ岳頂上に到着。11:50頃。

        
            伊豆ヶ岳山頂で                                                  山頂でのランチタイム

  土産物屋のある標高851.4mの頂上は、中学生の団体で飽和状態だ。そして喧しい。何とか静かな岩陰を探し出してようやく落ち着き、清らかな秋空の下に波打つ奥武蔵の山々を見下ろしながら楽しいランチタイム。携帯コンロでコンソメ・スープを作り、二人が持ってきてくれたおにぎり、一口カツ、卵焼き、ウィンナーソーセージ、ゆで卵、パイナップルなどを次から次へと平らげる。どれもとても美味しい。会社の仕事が不満で麓でグチャグチャ文句垂れてないで、こんな爽快な山登りに、もっと来れば良かった。喧しかった中学生の団体が13:00頃に下山すると、頂上は耳鳴りがするほど静かになった。

  13:50、西吾野駅を目指して下山開始。頂上からしばらくは急坂であったが、それも僅かで傾斜が緩み、沢に出会うと杉の鬱蒼と茂った薄暗い道を歩く。今年は夏の終りの長雨や暖かめの気候で紅葉が遅れている。麓に近い処で最後のコーヒーブレークをとる。人里に戻ると、コスモスの花や、菊の花、柿の実が秋の風情を盛り上げてくれる。こんな風景で一句詠めたら良いな。山道から舗装道路に出ても、駅迄は更に30分も歩かされた。

  頂上から約2時間20分、16:10に西吾野駅到着。ずいぶん寂しい駅だ。この辺は電車の本数が非常に少ないのだが、タイミング良く5分も待たずに上り電車がやってきた。西吾野駅から乗車したのは我々の3人だけ。自分の住む同じ西武沿線で、こんな駅があるのは意外だった。

  飯能駅から17:05のレッドアロー、むさし22号に乗り換え、17:46池袋に到着。YSさんもNTさんも意外とタフであった。いろいろと気を遣って歩いた自分が、きっと一番疲れた顔をしていたかもしれない。■
 

行程(1979年10月27日)

池袋7:30 ==(特急ちちぶ3号)== 8:50芦ヶ久保8:59 === 9:11正丸9:20 ---(0:50)--- 10:10正丸峠 ---(0:20)--- 10:30 小高山 11:10 ---(0:20)--- 11:50 伊豆ヶ岳 13:50 ---(2:20)--- 16:10西吾野駅16:14 === 16:41飯能17:05 ==(特急むさし22号)== 17:46池袋

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