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Data No. 79

 データ:
 登頂日: 2001年7月28〜29日
 標高 2,840m
 場所: 山梨県(南アルプス)
 天候: 快晴
 登頂時の年齢: 47歳
 同行者: A信金関連の皆さん9名

 

南アルプス

鳳凰三山

 



【東京から一番近い日本アルプスの山】

  東京から一番近い日本アルプスの山、そして中央高速をドライブしていて一番近くに眺めることの出来るアルプスの山、それが甲府盆地を見下ろすように聳える鳳凰山(ほうおうさん)である。花崗岩の露わな稜線では、大自然の造形の美であるオベリスクが天を突き、甲府盆地からでも、その姿は目にすることが出来る。

  身近にありながら、なかなか登る機会が無かった鳳凰山に、MKさんの元同僚である熟年男性らのグループに入れてもらい探訪する機会を得た。
 

7月27日(金曜日)

【久し振りの夜行列車でアルプスへ】

  新宿駅から23:54発の臨時急行アルプス83号に乗る。MKさん以外は初対面の皆さんは、お酒が好きで気の良い人達だ。それにしても、時代の様変わりに驚く。私が北アルプスへ行き始めた1980年代の新宿駅は列車を待つ登山者でごった返していたものだ。それが、今日は金曜日なのに、定期急行アルプスは空席を残して発車し、たった一本だけの我々の臨時急行も6割の乗車率だ。21:30からホームで待ったのは席の確保ではなく、酒盛りの為みたいなものだった。熟年の登山ブームで決して山の人出は減っていないので、列車が見放され、マイカーや団体バスが主流になってしまったのか...。

7月28日(土曜日) 

【鳳凰山の雲上の稜線へ】

  甲府駅前の登山客の人出も一昔前とは大違いで、しかも年配者の割合が激増した。3:00発の広河原行バスは全員が着席出来るよう、4〜5台が相次いで発車。一時間バスに揺られ、4:00に夜叉神峠登山口に到着。まだ真っ暗で、路面は前日の雨のためか湿っている。

  4:25、懐中電灯を照らしてWリーダーを先頭に出発。朝一番なのに、結構ピッチが早い。ひんやりした山の冷気の中だが、樹林帯で、風が全く無いので、汗が滲み出す。

  5:25、夜叉神峠(やしゃじんとうげ)到着。ここの小屋前広場で朝食。残念ながら、ガスが濃く白根三山のパノラマはお預け。しかし、天気は回復の兆しを見せる。あれ、もう缶ビールを飲んでる人がいる...。此処から先はもう懐中電灯が不要となる。さして急ではないが、辛抱の要る登りが続く。風が当らないので蒸し暑い。

  
         まだ明けやらぬ夜叉神峠にて                    農鳥岳が姿を見せる

  7:35、杖立峠を通過。Wリーダーの指示で15〜20分毎に休憩が入る。無理のないペースだ。途中、辻山への登りの中腹部で広々と開けた場所に出た。そして待望の青空が出た。雲海の対岸に農鳥岳が姿を現す。しかし、北岳と間ノ岳はまだ雲の中だ。樹林帯の登りが続くが、辻山は山腹を巻く。鬱蒼とした苺平を通過。その名の通り、道端に真っ赤な野イチゴが実を付けている。道はやがて平坦になり、シラビソの美しい原生林の中を歩く。そして、緩く下ったところが南御室(みなみおむろ)小屋であった。広々とした鞍部に小屋が立ち、キャンプ場があり、豊富な水場もある。夜叉神峠登山口から約4時間、10:20。ここで早めの昼食とする。

       南御室小屋前でブランチタイム         

  美しいシラビソの原生林を歩く    

  南御室小屋からは、いよいよ山頂稜線への長い急登である。樹木に覆われた壁のような斜面を登って行く。やがて森林限界の上に出て白砂をまぶしたような稜線に出た。奇妙な形の岩がにょきにょきと生えている。「生えている」という表現が本当にふさわしい眺めである。大自然の造形の美に感動しながら登り詰めたところが「砂払岳」。鞍部を隔てて、薬師岳から最高峰、観音岳も見えてきた。ここを下ると今宵の宿、薬師岳小屋がある。

  
                  
 稜線に出ると、様々な姿の奇岩が目を楽しませる。     

       
                                  
ブーケのようなタカネビランジの花 
 

   13:05、静かな森の中にある薬師岳小屋に到着。荷物を下ろし、小屋前のテーブルを囲んで日光浴がてら皆で昼酒を楽しむ。残念ながら夕食は超粗食だった。シチューらしきものと、味のついていない春雨サラダのようなもの、それとご飯と味噌汁だけ。食堂でビールを飲むことも禁止。さっさと食べて、さっさと出ろということか。消灯後、満員の部屋は人いきれで暑苦しい。途中で目が覚めて外の冷気に当りに出たが、まだ22時を回ったばかり。眠れない夜はウンザリするほど長い。

      小屋の前で夕食前の宴会を楽しむ 
 

7月29日(日曜日)

【快晴の稜線漫歩を満喫】

  薬師岳山頂での御来光 

  ほとんど眠れないまま3:45の起床時間となる。仕度を整え4:00に小屋を出発し、懐中電灯で足元を照らしながら薬師岳に登る。15分程で標高2,780mの広い薬師岳山頂に到着。ここでご来光を待つ。場所は狭いが、東側の展望が開けた岩の上で、湯を沸かし、寒さに震えながら日の出を待った。三角錐の富士山の姿も、西側の白峰三山の稜線も夜明け前のシルエットを見せる。願ってもない快晴になりそうだ。

  4:50、東の空から黄金色の光の玉が登ってきた。顔がポーっと温かくなり雲海が輝き出す。私には本当に久しぶりのご来光だが、やはり感動する。この地球上の生き物全てに命を与え、そして育む偉大な天の恵み。

 
                         朝焼けの白峰三山に鳳凰山の影が映る

    薬師岳山頂から富士を望む                

     白砂の稜線漫歩に出発  

  対岸の白峰三山の中腹に、我々のいる鳳凰山の影がくっきりと映り、一万尺の稜線はオレンジ色に輝いていた。下界は雲の下で、高い山ばかりが島のように雲海に浮かぶ。均整のとれた富士山は群を抜いて美しい。その周囲に高い山が無いので、超然とした絶海の孤島である。

         薬最高峰、観音岳山頂にて

  ここ薬師岳から北へ観音岳(2,840m)、地蔵岳(2,764m)と鳳凰三山の三つの主峰が連なる。そして、その稜線は正しく天上パラダイスの散歩だ。陽を受けて輝く白砂の稜線は、大自然の作った日本庭園でもあり、どこかの惑星の地表を歩いているようでもある。岩の隙間にはナデシコ科のピンクの花「タカネビランジ」が至る処にブーケのように咲いている。甲斐駒ケ岳は堂々と大きく、八ヶ岳、北アルプス連山も雲上に浮かぶ。

 
                   雄大な甲斐駒ケ岳(左奥)とこれから向かう地蔵岳オベリスク(右)

     
                    残雪のような稜線                               人面のような岩

  地蔵岳オベリスク直下の賽ノ河原で、その稜線漫歩は終わる。天を突き刺す槍のようなオベリスクは、大自然の作った芸術作品である。賽ノ河原で稜線と分かれ、標高900mの御座石鉱泉への長い樹林帯の急降下が始まる。その辛い急降下の慰めに、下り始めて約1時間の所にある鳳凰小屋で大休憩。雰囲気的には昼食だが、まだ時間は8:00過ぎ。いわば、朝食の食べ直しである。ほとんどの皆さんが500円の缶ビールを買った。値段は高いのだが、山ではこれがやけに旨い!

       地蔵岳のオベリスク

         下山中に仰ぐ甲斐駒ケ岳  

  ここから約4時間もの下りは本当に長くウンザリする。稜線から標高差にして2,000mもの急降下だ。登りに使いたくないルートだが、すれ違う人の数は意外と多い。

  13:10、静かな静かな谷間の森の中にある御座石(ございし)鉱泉に到着。何はともあれ、温泉で山の汗を流し、疲労困憊の筋肉をほぐす。そして、座敷を借り、下山祝の冷たいビールを飲み、山菜そばを食べる。そばは不味かったが、熱いおつゆが五郎六腑に染み渡る。

       山行の終点、御座石鉱泉にて
 

  2時間ほどゆっくり休んだ後、タクシーを呼び韮崎駅へ下る。タイミング良く、2階建列車のホリデー快速が来て、全く時間のロス無く帰京。八王子で皆さんに分かれて下車。快い疲れと、宿願の鳳凰山登頂を達成したという心地よい満足感を胸に家路につく。■

 

= 鳳凰三山登山行程実績 =

2001年7月27日(金曜日)
新宿23:54===(急行アルプス83号)===2:21甲府

2001年7月28日(土曜日)
甲府駅前3:00===(バス)===4:00
夜叉神峠登山口4:25---(1:00)---5:25夜叉神峠(朝食)6:00---(1:35)---7:35杖立峠7:40---(2:05)---9:45苺平9:50---(0:30) ---10:20南御室小屋(昼食休憩)11:20---(1:40)---12:40砂払岳12:55---(0:10)---13:05 薬師岳小屋(宿泊)

2001年7月29日(日曜日)
薬師小屋4:00---(0:15)---4:15薬師岳(2,780m)ご来光、朝食5:20---(0:30)? -5:50観音岳(2,840m、鳳凰山最高峰)6:00---(1:30)---7:30地蔵岳7:45--- (0:30)---8:15鳳凰小屋(大休止)9:05---(1:15)---10:25燕頭山---(1:55)--- 12:20西ノ平12:25---(0:45)---13:10御座石鉱泉(入浴休憩)15:30===(タクシ ー)===16:10韮崎駅16:26===(ホリデー快速ビューやまなし)===19:07東京

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