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Data No. 70 & 71

 データ:
 登頂日: 2000年4月29日〜5月1日
 石鎚山標高 1,982m (愛媛県)
 剣山標高  1,955m (徳島県)
 天候: 晴れ
 登頂時の年齢: 46歳
 同行者: 単独行

 

四国の山旅

石鎚山 ・ 剣山

 


4月28日(金曜日)

【慌しく出発、一路四国へ】

  当初は、連休初日の29日にいろいろ見物しながら石鎚山に向かうつもりだった。ところが、予報によると、29日は晴れるが、30日は天気が崩れる。そうすると29日の晴れが貴重なものになるので、出発を急遽早め、慌しく仕事を片付け、17:20、車で出発。

  中央、名神、中国・山陽道をいつになく飛ばした。出来るだけ先に進んでおきたい。途中、養老SAで給油と食事、岡山吉備SAで小休止した他は120km/hで走り続けた。そして、瀬戸大橋の途中、与島に2:35到着し、ここでようやく仮眠。折角の瀬戸大橋の景色は暗くて見えないが、とてつもなく大きな建造物であることは分かる。
 

4月29日(土曜日)

【西日本最高峰、石鎚山を登頂】

  5:10、与島を出発。夜明けの瀬戸大橋は、その威容を改めて見せてくれた。海面は超高層ビルから眺めるよう。しかし、橋の上は「磐石の大地」だ。香川県の瀬戸内海に面した工場地帯が見えてきた。その奥には四国山地の山々が連なる。

  私にとって20数年振り二度目の四国である。松山道を西進し、6:00、「いよ西条」で一般道に下りる。八王子からの通行料金はしめて\19,900也。目の玉が飛び出そう。

  地図を見て決めたルートは必ずしも適切ではなかった。いよ西条から土佐方面へ南下し、本川村から石鎚山への山道に入る。これがすごい道。舗装はされているが、やっと車の幅しかない曲がりくねった狭い道の連続。そして驚いたことに、そんな道を奥に奥に進んで行くと、忽然と集落が現れる。東北や新潟では考えられない山奥の僻地に人が住んでいる。雪が降らないからなのか。日常の買い物や年寄りの通院などはどうしているんだろう。

  心底うんざりした長い林道がようやく終わり、広い舗装道路から石鎚山土小屋登山口に着いたのは、目論見より1時間以上も過ぎた8:20であった。足元には伊予の工業地帯と瀬戸の海原が見下ろせる。晴れているが風は強烈に冷たい。まだ緑の少ない山々は寒々としている。

        
                     土小屋登山口から石鎚山を目指す

  8:35、登山開始。笹の茂った緩やかな尾根道を進むと、ほどなく目指す石鎚山の岩だらけの山容が行く手に現れた。山頂部はごつごつした岩の塊そのものである。山腹には残雪を抱いている。男性的な、堂々とした迫力の山だ。

     豪快な岩山だ!

   山頂の岩壁を見ながら歩く 

  道は尾根歩きから、やがて石鎚本峰の中腹をトラバースして行く。山頂を真上に見上げると、垂直以上の傾斜を持った岩塊が登山者を威圧する。道は時折、枝沢を渡る際に狭くなり、硬い残雪の上を歩く。

  9:40、石鎚の肩の部分にある「二ノ鎖小屋」に到着。ここで表登山口からの道と合流する。小屋は営業していない。小屋の奥から鎖場を直登するルートは、女性らで渋滞しているので、右側の巻き道をとる。巻き道とはいえ、崖の斜面に板を敷いて階段状にした狭い道であり、カチカチに凍って滑り易い残雪が足元を谷側に傾斜させている。樹木は純白の霧氷を纏っていた。四国とはいえ、この2,000m近い山頂部は、真冬の姿。雪に慣れていない地方の人々は、おっかなびっくりだ。

   
           直登する鎖場は渋滞していた                   残雪と霧氷が美しい山頂部の登り

  その緊張も、10:05、弥山山頂到着と同時にほぐれる。大きな山小屋があるが、これもまだ閉鎖中。石鎚神社が鎮座している。そして、オーバーハングの傾いた山頂を持つ天狗岳の姿を初めて眼にした。霧氷で薄化粧をした凄惨な絶頂は、見るからに不安定で怖そうだが、あそこがこの石鎚山の最高点であるし、二人ほど人の姿が見えるので勇気を出して行ってみる。
  
  
                          石鎚山弥山から見る天狗岳           

  弥山から崖を下り、片側が切り立った稜線をたどり、天狗岳を目指すが、ルートの矢印表示が無く、踏み跡を判断して辿って行くしかないので、時々どっちに行ったら良いものかと考え込んでしまう。こういう危険なルートには是非、もう一歩進んだ安全対策が欲しい。

  10:15、西日本最高峰石鎚山、天狗岳山頂(1,982m)に立つ。先客は既に去り、小さな石祠のある山頂は私一人だけ。周囲を見渡せば茫洋とした四国山地が墨絵のようにうねる。山頂部に傾斜した緑の草原を持つ瓶ヶ森(かめがもり)以外は、どれが何山なのかは全く私は知らない。春霞の中に瀬戸の海原も見える。

  
                         天狗岳から弥山を見る

   
        石鎚山天狗岳山頂にて                            瓶ヶ森山を望む

  弥山に戻って神社に参拝し、昼食をとる。缶ビールを美味そうに飲む人がいた。冷え冷えとした朝だったので、私は缶ビールを持参しなかった。それを後悔するほど、快適な陽気になった。周囲に人が増えたが、天狗岳を目指す人は皆無だ。岩場に慣れていない登山者は、ここ迄で良しとするのが賢明だろう。

  下山は往路を戻る。驚くほど人が増えてきた。小さな子供連れまでいる。このように山が冬の姿であることを認識して来ているのか、と心配してしまう。

    
                  石鎚スカイラインから仰ぐ石鎚山。槍ヶ岳を彷彿とさせる。

  12:40、土小屋駐車場に帰着。石鎚スカイラインを下り、松山を目指す。快適な広い舗装道路で、その名の通り、石鎚山が常に姿を見せるパノラマ道路だ。下るにつれて、深い谷底から一気に天空を突き刺すようにせり上がる石鎚の姿に驚いた。角度を変えると、こんなにも大きな山体で、こんなにも高度差のある立派な姿を見せるとは。この山は遠くから見ても、登ってみても、文句無く「名山」だ。

         有名な道後温泉館

  17:00、松山市道後温泉のビジネスホテル「さくら」に投宿。道後温泉館を早速探訪し、地ビール・レストランでゆっくりと夕食。天気予報では明日は雨らしい。昨夜の強行軍のお陰で今日快晴下に石鎚を登ることが出来たので、自分の判断は大正解だったと満足し、四国での第一夜を楽しむ。
 

4月30日(日曜日)  

【四国の湯巡りを楽しむ】

  どうせ天気が悪いのだから、急ぐ必要は無い。次の目的地まで雨の中、4箇所の温泉に入りまくった。そして辿りついたのが、これまた狭い山道を奥に分け入った「奥小歩危(おくこぼけ)温泉」である。コタツのある部屋での夕食は美味であり、素朴な作りの湯船にあふれた硫黄の香りが漂う湯もこれまた快適。但し、湯量が少ないのか、24時間入浴出来ないのが惜しい。
 

5月1日(月曜日)

【阿波の名山、剣山に登頂】

  朝食後、8:00出発。大歩危峡から祖谷(いや)渓谷を経て剣山に達する国道を進む。剣山まで40数キロとの表示なので、一時間程度で着くだろうと思ったのが大間違い。このR439も、極めて狭い山道を延々と走らされる。通行量は少ないものの、対向車が来れば、片方がすれ違える場所までバックを強いられる。そして、ここもとんでもない山奥に忽然と集落が現れる。まさしくこれは「平家落人の里」と言うに相応しい秘境だ。しかし、そんな秘境情緒になんか浸っていられない。いつ対向車が来るかも知れぬ狭い山道を目一杯神経を使い、スピードも出せず、延々と走らねばならない。こめかみがズキズキと痛む。

  40数キロの道程を2時間かけ、9:52ようやく標高1,420mの剣山登山口、「見ノ越」に到着。剣山神社を中心に土産物屋や民宿が数軒あり、リフト乗り場には立体駐車場があった。この山も百名山に選ばれているし、今日は山開きの日だということで、人出は多い。続々ハイカーの車や大型バスもやってくる。

           
                              剣山を目指して

  山道の運転でひどく疲労したので、缶ビールを仕入れ、登りはリフトを使う。片道1,000円もする。標高差330mを15分かけて登る長いリフトだ。リフト搭乗中スピーカーから周辺案内の音声が流れる。のんびりとした雰囲気の風景の中、行く手の緑の草原の高まりに向かって高度を上げて行く。乗客は少ない。音声ガイドはあるが、失礼ながら、「わぁーきれいだ!」と声をあげるような景色でもない。

  
         馬場のような草原状になっている剣山頂上                    明るい草原状の山々

  リフト山頂の西島駅から山頂への登山道を歩く。コースは幾通りかあるが、取りあえずは最短経路を登る。笹原に丈の低い松林が茂る尾根を登って行くと、30分程度であっけなく山頂草原に出た。山頂には小屋があり、通信用アンテナも立っている。広大な笹原につけられた木道を上り詰めると、標高1,955mの剣山山頂だ。10:53到着。「剣」などという、とげとげしい名前とは裏腹にその稜線はあくまで角がとれていて、のびやかである。

   
           剣山頂上にて                        延々と走ってきた悪路も見下ろせる

  見渡す限り山また山で、人間の暮らす集落どころか、何の建造物も見えない。幾筋か曲がりくねった道路が山肌に刻まれているだけ。あの悪路を延々と走らされたのだ。山頂の草原は「平家の馬場」と呼ばれる。昔、落ち逃れてきた平家がこの剣山山頂に潜伏して、再起を目指して馬術の訓練をしたからだとか。

  剣山という名前の由来は幾つかの説があるらしい。大昔の天皇が山頂に剣を埋めたからという説、ご神体の剣山神社の裏の奇岩が剣のようだからという説、などなど。非常に由緒のある山らしい。確かに、これだけ山深かったら、隠れ潜むには絶好の場所に違いない。

  冷たいビールでのどを潤し、熱いラーメンを食べた。客観的な魅力の乏しい山でも、百名山に選ばれると、全国からハイカーが、あまた押し掛けてくる。数十人の団体が一列になって登ってくるのが見えたのをしおに、下山にかかる。山頂に着くまでは快晴だったが、次第に薄雲が広がってきた。

     剣山神社と御神体の巨岩

  下山には剣山神社に立ち寄るコースをとる。老爺が一人で退屈そうに管理している神社の裏には大きな、御神体の奇岩がにょっきりと立っている。登頂成功のお礼にお参りし、帰りはリフトを使わず歩いて降りる。あっけなく楽に麓に着いた。登りもリフトは必ずしも必要では無かったかな。山麓の剣山神社では山開きの祭事が執り行われていた。

  
     この日は剣山の山開きだった                         剣山全景

  貞光へ向けてR438を下る。この道もまたまたウンザリする悪路。我慢我慢でハンドルを握る。そして一宇村というところで立寄り温泉を見つけ、山の汗を流す。貸切状態だったが、山頂で見たあの団体が下山後に立ち寄る予約が入っているらしい。一宇村は、車のすれ違いもままならぬ狭い道路を挟んで古ぼけた民家や商店や役所が、隙間無く並んでいる。

  悪路は貞光まで延々と続いた。貞光からはようやく2車線の「普通」の道路になった。この日は更に北上して塩江町塩江温泉に投宿。これで、今回の山の目的は達成した。
 

5月2日(火曜日)

【讃岐・阿波の湯巡り後、神戸へ】

  四国の名山登頂は達成し、この日は名物讃岐うどんを賞味し、小豆島を眺め、讃岐・阿波の温泉巡りをして大鳴門海峡を淡路島に渡り、そこでも一浴、更に明石海峡大橋を神戸に渡り、神戸市須磨区に住む友人のTY夫妻宅に泊めてもらう。約10年ぶりの再会であった。奥さんの手料理でビールを沢山いただき、懐旧談に花を咲かせる。

5月3日(水曜日)

  TY夫妻と車で六甲山へ行く。神戸市立植物園の花々を鑑賞し、奥さん手製のおにぎり弁当で昼食。六甲山から復興なった神戸や阪神間の街を見下ろし、名湯有馬温泉で金泉、銀泉、ラヂウム泉を体験した後、夕方芦屋でTY夫妻に別れを告げる。

  西宮から名神道に乗り、一路帰宅となるが、もう往路のように一目散に走るのがイヤなので、のんびり80km/hで走り、吹田、養老、浜名湖で休憩し、足柄SAで仮眠、入浴し5月4日朝に入間帰着。

  満足はしたが、一人で車の長距離旅をすると財布がものすごく軽くなる。今回は12万円もかかった。いやはや名山巡りは楽しくもあり、悲しくもありかな。■

 

四国の山と神戸旅行行程表

4月28日(金)〜29日(土)
入間17:20===(中央道〜名神道)===21:55養老SA22:30===23:50吹田JCT ===(中国、山陽道)===1:53岡山吉備SA 2:00===2:35与島PA到着、車中仮眠
与島5:10===瀬戸大橋==(松山道)==6:00伊予西条==(R194、本川村)== 8:20石鎚山土小屋登山口8:35---9:42ニノ鎖小屋---10:05弥山山頂---10:15 天狗岳山頂(1,982m)---弥山10:55---11:15ニノ鎖小屋---12:40土小屋 12:50==石鎚スカイライン〜面河渓見物==(R33) ==15:00砥部町とべ温泉16:10===17:00松山市道後温泉、ビジネスホテルさくらに投宿

4月30日(日)
道後温泉8:25===(R11、松山道)===11:05今治湯浦温泉11:40===12:00東予本谷温泉12:25===(松山道、高知大豊IC)===14:50奥白髪温泉15:15===(R32) ===16:15大歩危温泉16:40===17:08奥小歩危温泉

5月1日(月)
奥小歩危温泉8:00===祖谷渓谷===(R439)===9:52剣山、見ノ越10:10+++(リフト)+++10:25西島---10:53剣山頂上11:35---11:55剣山神社---12:05西島---12:30見ノ越12:40== (R438)==13:36一宇村温泉14:00 ==貞光==15:00道の駅ことなみ(エピアみかど温泉)15:30 ===16:25塩ノ江温泉、塩ノ江新温泉ホテル投宿

5月2日(火)
塩ノ江温泉9:00===10:05志度町、大串温泉10:50===11:40大内町、ベッセルおおち温泉12:30===13:30鳴門公園==大鳴門橋==14:50淡路島、五色温泉15:40 ===明石海峡大橋===17:30神戸市須磨区、TY宅に投宿

5月3日(水)〜5月4日(木)
TY宅9:00==六甲山植物園、展望台==13:50有馬温泉15:00==15:30芦屋でTY夫妻とお別れ==(R2)==西宮==(名神道)==16:35吹田SA16:50== 19:15養老SA 22:15==23:50浜名湖SA 0:15==2:25足柄SA(仮眠)SA 5:55===東名、厚木IC===(R16)===7:55入間帰着

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