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Data No. 65

 データ:
 登頂日: 1997年9月13日
 標高 2,963m
 場所: 新潟・長野県境
 天候: 曇り後小雨
 登頂時の年齢: 43歳
 同行者: FKさん、MKさん

 

雨飾山

 


【急遽行先を変更した山】

  全く思いがけないことで、雨飾山を登ることになった。いつかは行きたいと思っていた故郷越後の名山であったが、この時は全く別の予定で信州に向かっていた。上高地でキャンプをして焼岳を登ろうと、FKさん、MKさんと9月の3連休前夜の金曜日に松本ICから上高地に向かっていた時のこと。上高地へ続く道路が何の予告もなく夜間通行止めになっていた。長蛇の車列が出来ていたが誰も前方が通行止めだとは知らず、かなり時間が経ってから、Uターンしてきた車の情報で朝までゲートが開かないと聞かされた

  あまりに馬鹿馬鹿しいので我々も協議の上、Uターンして、行き先を雨飾山に急遽変更した。そんなきっかけで登ることになった山である。白馬村を過ぎ、小谷(おたり)村を経て、山深い小谷温泉キャンプ場に到着したのは午前3:30だった。
 

9月13日(土曜日)

【予報を当てにして山頂を目指すが】

       小谷温泉の登山口(下山後に撮影したもの)

  連休初日の予報は曇り時々晴、後雨。従って、まあまあの天気になる筈だった。軽食をとて、6:30に出発。登山口には避難小屋があり、その真中をくぐって行く。しっとりと朝露にぬれた潅木帯の中を歩く。前半に急登は無かった。ところが予報には無かった雨が降り出した。本降りではないので、まだ天候回復の望みを胸に登った。そして実際、途中は小止みにもなる。

      
          雨にもめげず、山頂を目指す                 真っ赤な実が鮮やか

  登り始めて約1時間半後、荒菅沢という沢を渡る。その際、雨飾山頂稜の「フトンビシ」と呼ばれる岩壁が見える。草木をつけない滑り台のような白っぽい一枚岩の巨大な岩壁で、凄惨な迫力を見せる。

       
                      フトンビシの岩壁を見上げる

               まだまだ余裕?   

  それからは雨が次第に本降りになり、山頂に着くまで雨具を装着して、汗で蒸れながら、我慢我慢の連続だ。山頂直下の登りは結構急である。9:15、待望の雨飾山山頂(標高1,963.2m)に到着。しかし、何の景色も見えない。山頂には日本海(新潟県側)を向いて幾つものお地蔵様が立っていた。登ってきたのは南の信州側だが、この山自体の「表」は越後側だ。晴れていれば日本海の眺めが待っていたのであろう。

  
             雨飾山頂上にて                       山頂に鎮座する地蔵様

  というわけで、雨に祟られた登山だった。山頂での昼食もままならず、下山途中に樹木の下で傘を差しながら持参の弁当を食べた。そして正午にキャンプ場に帰着。皮肉なことに下山したら雨が止み、青空が広がり出した。そしてススキの穂を背景に、登ってきた雨飾山がその姿を初めて我々に見せた。樹木に覆われた山だが、山頂部はごっつい岩の塊だ。雨に祟られた登行であったが、下山後にこの姿を眺められたので、今日の辛さは許そう。

   下山後、晴れ上がった雨飾山

  キャンプ場から少し下った小谷温泉に無料の露天風呂がある。そこでゆっくりと山の汗を流す。ぬるめの湯があふれる浴槽で、新潟県の柿崎から来たという同年輩の男性と山のこと、十日町の蕎麦のこと、魚沼地方の名所のこと、などなど時間のたつのも忘れるほど語り合った。

  キャンプ場に戻り、避難小屋内部のテーブルを囲んで夕食宴会をする。ガス・ランタンを灯し、焼肉パーティを催し、たらふく食べ、たらふく飲んだ。小屋は貸切同然で誰にも邪魔されず、誰の邪魔もせず、アウトドア・ライフを満喫した一夜である。

       キャンプ場休憩舎を貸切で宴会!

  この夜も天気が心配なのでテント設営は止め、小谷温泉露天風呂付近に車を移動して、車中泊する。旅館で冷たいビールを買って、暗くなった露天風呂でFKさんとチビチビやりながら山の夜を楽しむ。その夜は車の中でザーザーと激しく雨が降る音を聞いた。テントを張らずに本当に良かった。
 

9月14日(日曜日)

【日本海を眺めて下山祝い】

  目が覚めてから、雨の中をまたキャンプ場に上がり、避難小屋で朝食をとる。福井から来たという先客グループと話が弾んだ。彼らも雨飾山登山を目指してきたが、雨降りなので、きっぱり諦めて麓の温泉に入って帰るという。パン屋を経営しているというお兄さんから美味しいパンもいただいた。気持ちの良い山男達だった。地元の白山には既に百回以上登っていると言う。

  彼らのようにきっぱり登山を諦めた人もいれば、土砂降りの雨の中を登って行く人もかなりいる。一体、山の楽しみとは何だろうか、と考えさせられる。山頂の展望と憩いを楽しみに登る人。天候はどうであれ、百名山の完登をひたすら目指す人。人それぞれに価値観は異なるが、私は山は楽しんで登りたい。百名山のハンティングのために、雨ザアザアの中の登山は、やはりイヤだ。

        (海の幸の夕食に大満足)

  朝食後、下界へ戻る。数年前に大規模土砂崩れで犠牲者を大勢出した治山工事現場付近を眺め、新潟県の糸魚川に抜け、フォッサ・マグナ・ミュージアムを見学後、上越の先の鵜ノ浜温泉、村中屋旅館に宿を取った。民宿なので風呂はイマイチだが、夕食が素晴らしかった。海の幸がこれでもか、というほど沢山食卓に並ぶ。カニ、海老、甘海老、焼き魚、煮魚、サザエ、茶碗蒸、刺身皿に加えて、特別サービスだという刺身の大漁盛もついた。雨飾山の下山祝として、海の幸をたらふく味わい、美酒を堪能し、三日ぶりに快適な布団にくるまった。
 

9月15日(月曜日)

  早朝、地引網の催しがあり、朝食前に見物。地引網が終わると海賊鍋が振舞われ、地酒のサービスもある。海水浴シーズンの終わった海辺の温泉は、サービスが良い。すっかり日本海情緒を堪能した後に、更にまた旅館で朝食をたらふく腹に詰める。

  山の天気には恵まれなかったが、麓で過ごした2日間は楽しく、印象深い。楽しく旅行を締め括れたことに、心から感謝したい。

 

雨飾山と日本海の旅行程

9月12日(金曜日)
入間20:30===小手指駅21:00===(中央道)===松本、島々(道路閉鎖でUターン)===R148===3:30小谷温泉キャンプ場

9月13日(土曜日)
キャンプ場6:30---7:50荒菅沢出合---9:15雨飾山頂上9:35---10:50荒菅沢出合---12:05キャンプ場(小谷温泉無料露天風呂を楽しみ車中泊)

9月14日(日曜日)
小谷温泉キャンプ場7:30===9:00糸魚川フォッサマグナ・ミュージアム10:30 ===12:00能生町、柵口温泉14:00===15:30鵜の浜温泉、村中屋に投宿

9月15日(月曜日)
早朝、地引網見物 鵜の浜温泉9:00===10:00柏崎フィッシャーマンズ・ケープ10:40=== 12:20十日町、由屋(へぎそばの昼食)13:30===(関越道)===川越駅===17:00小手指で解散===17:20入間、帰宅

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