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Data No. 171

 Data:      地域: 長野県北部

 黒姫山

  登頂日: 2008年10月18日(土曜日)

  標高: 2,053m

  天候: 快晴

 高社山

  登頂日: 2008年11月2日(日曜日)

  標高: 1,352m

  天候: 快晴

 同行者: 単独行

   北信濃

 黒姫山、高社山

 

黒姫山 - 北信五岳のまとめ役 − 2008年10月18日

 

 

  長野駅を発車した信越線や飯山線の下り列車の車窓は、北信五岳(飯綱、戸隠、黒姫、斑尾、妙高)の絶好の展望台である。それぞれが独立峰であり、個性を持った姿をしている。一番標高が高く、外輪山を抱え荒々しい山頂部を持つ妙高山、鋸のような戸隠山、なだらかな飯綱山と斑尾山、それらの山々の中央部で、まとめ役のように、黒姫山は堂々としたボリュームを誇って、お椀を伏せたような姿で佇んでいる。但し、北信といっても、妙高山だけは信濃の山ではない。麓から山頂まで、越後・新潟県の山である。

 

 信越国境に近い新潟県南部に生まれ育った私にも、北信は何かと馴染みの深い地域であり、中学校の夏季訓練、夏休みの避暑、秋のりんご狩り、温泉巡り、冬のスキーなどで、数え切れないほど訪れた。その旅先の背景には、常に北信五岳の峰々が聳えていた。

 

  秋の日本晴れが約束された週末に、まだ登っていなかった黒姫山に、ふと思い立って出かける。

 

  高速道路の深夜割引を利用して金曜深夜に「道の駅しなの」に到着して車中仮眠。早朝、駐車場で目を覚ますと、妙高山と黒姫山が、まだ明けやらぬ空を大きく区切って黒々と聳えていた。

 

  

        早朝の黒姫山(「道の駅しなの」にて)                     古池から仰ぐ黒姫山

 

  黒姫山に登頂するのに一般的な西新道は、いわゆる黒姫高原からではなくて、黒姫駅から戸隠へ向かう途中の「種池」という標高1,140mの地点からである。7:35に駐車場を出発。すっかり秋の色に染まった雑木林の中を緩く登ってゆく。右手の樹林の奥に見える種池を眺めながらしばらく登ると、古池という大きな池の畔に出た。錦秋の山肌の黒姫山がとても美しい。この池の左側を回っていよいよ本格的な登山が始まる。

 

  カラリと乾いた秋の澄んだ空気の下での登山は快適である。ベタベタ大汗もかかず、色付いた雑木林の中の登りも、着実に高度を上げてゆく。時折左手の樹間から戸隠山と高妻山の姿が見える。背後には飯綱山もどっしりと鎮座している。

 

  

            錦秋の登山道                                 高妻山(手前)と戸隠山(奥)

 

  

               遠く雨飾山の姿も                              山頂まで、あと一息!

 

  黒姫山は遠目にはこんもりとした山であるが、山頂部は2,046mの御巣鷹山(小黒姫)の東側を外輪山が取り巻いている旧火山であり、山頂(最高地点)は外輪山にある2,053mの地点である。従って、登山道は小黒姫には向かわず、外輪山の稜線を登ってゆく。稜線に出ると、展望も次第に開けて行き、快晴の秋空の下に見慣れた山々、懐かしい山々が姿を見せてゆく。途中の「しらたま平」では一気に展望が開けて山頂が近し、と思わせたが、この外輪山歩きは結構長かった。

 

  登山口から私の足で約3時間、午前10:20に標高2,053mの山頂に到着した。北には頚城アルプスの妙高、火打、焼山が大きくうねり、戸隠、高妻山の奥には北アルプスの稜線が中空に浮かぶ。しかし、今年のこの季節の北アルプスは、まだ雪が無くて、黒々としていた。善光寺平は霞の下。足元には野尻湖の湖面が青い。先客10名ほどで賑わう山頂の一角に腰を下ろし、登頂祝の缶ビールを開けて、陽だまりのランチタイムを楽しんだ。

 

  

        山頂から北に見える(左から)焼山、火打、妙高                黒姫山山頂にて

 

 北信濃からは、私のふるさと越後の国も至近距離に見える。県境、国境、行政区分なんて、上から見下ろしても何の仕切りや境界線があるわけでもない。こんな快晴の山頂で素晴らしい景色を眺めていると、人間が付けた境界線なんて、ひどく無意味なものに感じるのは私一人だけであろうか。■

 

 

 

高 社 山   北信五岳の展望台 - 2008年11月2日

 

 

  黒姫山登頂から2週間後の連休二日目。郷里への用事を兼ねて、再び北信濃の山を訪れる機会を得た。高社山(こうしゃさん)と言っても、よほどの山きちがいでなければ名前も知らないだろう。志賀高原の入口、夜間瀬温泉の裏にある標高1,352mの山である。信州百名山のひとつで、以前バッジを入手したことから、私にとって、いつしか必ず登らねばならない山になっていた。

 

  登山口は、よませスキー場のリフト乗場である。しかし、明瞭な登山道があるわけでもなく、ゲレンデの草地を真っ直ぐに登ってゆく。しかし、これが結構辛い。自分で適当にジグザグを切っていかないと息がひどく切れる。雲ひとつ無い快晴であるのがお慰み。

 

   

    よませスキー場のゲレンデを真っ直ぐに登ってゆく     リフト最上部からは普通の山道。目指す山頂はもう少し。

  

        ゲレンデの草原を直登すること約45分。リフトの最上部からはようやく普通の山道になる。最近は人里でも熊の出没と人身被害のニュースが多い。他に誰も歩いていない山道は、努めて熊鈴を鳴らして歩く。登るにつれて、展望はみるみる開けてゆく。背後には北信五岳が背比べ。妙高山と火打山は山頂部が雪化粧している。右手には志賀高原の山々がうねる。ふもとの善光寺平は完全に純白の雲海の下で、大きな湖のよう。

 

 

  

         志賀高原の山々を望む                       善光寺平は完全に雲海の下

 

  

      雪化粧の妙高山、火打山                         2週間前に登った黒姫山と、奥に高妻山

 

  鳥居をくぐり、更にひと登りすると山頂は青空の下に私を迎えてくれた。約70分の登高。たったひとり先客が居た。よく見たら女性だった。登山口の駐車場で私が登り始めたら不安そうに私を見つめる老爺がいたが、彼の奥方だったのか?ちと、トシが離れているな...。軽く挨拶を交わし、山頂の展望台の櫓で大展望の写真を撮り、タイマーで記念撮影をして、なるべくご婦人から離れた場所に腰を下ろし、登頂の祝杯をあげて、山々を眺めながら腹ごしらえをした。北アルプスの稜線は、北信五岳稜線の更にその上の中空に白いスカイラインを引いていた。

 

  

           高社山頂上にて                           晩秋の佇まいの山頂付近

 

  もうじき周囲の山々は雪化粧し、ゲレンデはスキーヤーで賑わう季節だ。一声かければ簡単に10人ほどもスキー仲間が集まった若い頃が走馬灯のように思い浮かぶ。でも、もう仲間の皆さんはスキーから引退してしまった。自分自身はスキーを続けたいが、一人で出かけるほどの熱情も無い。下山時のゲレンデでは、雪があってスキーを履いていたら数分でたどり着く麓に、頭の中でシュプールを描きながら、ゆっくりゆっくりと下った。■ 

 

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