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Data No. 162


Data:
登頂日: 2006年10月9日
地域: 長野県、北八ヶ岳
標高: 縞枯山:  2,402m
     北横岳:  2,480m
     八柱山:  2,112m
天候: 快晴
登頂時年齢: 52歳
同行者: 単独行
 

 

北八ヶ岳周遊

縞枯山〜坪庭〜北横岳〜雨池〜八柱山


  移動性高気圧が張り出し絶好の秋晴れと言う予報に、アルプスの山を眺めたくて、懐かしい北八ヶ岳に出かけることにした。北八ヶ岳はいろいろなハイキングコースがあり、交通も至便だが、ピラタスロープウェイを使わずに同じ山域を手軽に楽しめる麦草峠をベースにした周遊コースをたどる。

  標高2,100mを越える麦草峠駐車場で夜を明かし、午前8:00出発。原生林の中の緩やかな道は、大石峠を過ぎると、茶臼山への登りになる。この付近は土の上を歩くのではなくて、平坦ではない石の上を伝って歩くので快適ではない。それも中小場という小ピークから、超快晴の茶臼山を眺めた時には爽快な気分になった。ひと汗かいて、展望の無い茶臼山のピークを過ぎ、鞍部へ下ると、行く手に枯れ木が幻想的な風景を醸し出す縞枯山が立ちはだかる。一幅の絵画のように美しい。

 
        (北八ヶ岳特有の原生林の中を行く)                    (鞍部から仰ぐ縞枯山)

  鞍部からの縞枯山の登りも、せいぜい20分。何しろ歩き始めの麦草峠が既に2,100mなので、この山域の2,400m内外の山々への登りは、それほど苦労しないのが有難い。大きな岩が堆積している展望台からは南アルプス方面の大展望が広がっていた。山頂の手前では純白に雪化粧した北アルプスが視界に入り、その初々しい雪の白さと青空のコントラストの美しさに息を呑む。2,402mの縞枯山山頂そのものは、何の展望も無い。小休止後、坪庭へ向かって急降下に入る。

  下り切った所が雨池峠の十字路で、左に進路を取ると縞枯山荘を経て、溶岩台地の坪庭に出る。ピラタスロープウェイでやって来た観光客の姿がどんどん増えてゆく。秋晴れの下、溶岩がゴロゴロしている大地は正しく日本庭園のようで、シャッターチャンスも限りない。

  北横岳への登山路は、坪庭が時計回りの一方通行になっているため、一旦ロープウェイ山頂駅を経由してから登る。数十人の熟年団体登山者が出発しそうなのを見て、休憩を中断して先に立つ。整備された坪庭の遊歩道から北横岳への登山道に入ると、人出はぐっと減る。息の切れる登りが続くが、見下ろす坪庭とたどってきた縞枯山の緑が実にきれいだ。あの縞枯山は、この方角からだと縞枯れ現象は見せず、全山緑に覆われているのも不思議なものだ。

    
           (溶岩台地の坪庭)                           (北横岳山頂にて)

    
         (後立山連峰をズームアップ)                    (主峰赤岳を初めとする南八ヶ岳)

  北横岳山頂へは私の足で約45分。素晴らしい、非のうちどころの無い絶景が待っていた。すぐ隣には僧侶の編笠のような蓼科山が大きく、その背後には北アルプスの北端から南端までが全て姿を見せる。昨夜出かけるまでに見たニュースでは、北アルプスの各所で遭難があったらしい。天気予報では充分に天候悪化が伝えられていたし、この時期の北アルプスは冬山同然だという知識が無かったのだろうか。悪天候では登山を止める勇気は絶対に必要だ。私自身は、悪天候を押して山を登る勇気は持ち合わせていない。今、私が眺めている、この純白で美しい山々の各所で、遭難者の捜索が続けられているのだと思うと痛ましい気持ちにもなる。

  北アルプスより、むしろ標高の高い南アルプスは、まだ全山黒々としている。すぐ南には南八ヶ岳の峰々が背比べをしている。周囲何処を向いても見飽きることの無い絶景であった。持参のおにぎり弁当を食べ、缶ビールでのどを潤す。時刻はまだ11:00過ぎ。

  北横岳から坪庭に下り、再び雨池峠を通過し、雨池へぐんぐん下る。ここも丸石の上を歩く不快な道だ。下りきって水平な林道を歩き、標識に従って左へ緩く下って行くと、雨池が青い湖面を樹間にのぞかせてきた。びっくりするほどにきれいな池だ。池は緑の針葉樹や紅葉・黄葉の始まった樹木に縁取られて、真っ青な空の色を映す。湖岸には人工の建造物は一切無い。20年ほど前の同じ季節にも訪れたことのある池だが、そのときは曇っていて、陰気臭い印象しかなかった。天気によって、これほどまでに風景の印象は変わるものかと内心驚いた。

    
   (坪庭から雨池へ下る途中、目指す八柱山が見えてきた)          (静かな美しい山上の池、雨池)

  八柱山へは、雨池を時計回りに半周してから緩やかな登りにかかる。ところが一旦登り切ってから、平坦な林の中をいつまでもいつまでも緩く下って行く。行く手にはピークなど見えない。道を間違っているのではないかと心配になった頃、ようやく上り坂が現れ、ひと登りすると、そこが標高2,112mの八柱山山頂であった。歩いて来た道の反対側には、なるほど眼下に下界が広がり、この山の高さを初めて認識した。ここまで、何か錯覚を起こしそうな「山登り」である。正面には煙を吐く浅間山が雄大だ。山頂には興醒めな鉄塔が立ち、私以外には誰も居なかった。ここでゆっくり、弁当の残りを食べる。

  雨池まで往路を戻り、池畔を更に時計回りに歩いて行くと、麦草峠へと続く道だ。ここから麦草峠へは、下山というよりも、むしろ登山に近い印象を受ける。午後2時半過ぎ、峠に帰着。7時間近い秋の山旅を終えて帰路につく。静かだった麦草峠周辺は、マイカーで溢れ、駐車場に入りきらない車がわんさと路上駐車していた。早起きは三文の得である。■

 

行程:

10月8日(日曜)
入間21:50 === 檜原〜上野原=== R20 === 勝沼IC === 韮崎IC === R141 === R299 === 2:00麦草峠

10月9日(月曜)
麦草峠(2,120m) 8:05 ---- 8:15 大石峠 --- 8:35茶臼山(2,384m) --- 9:25 縞枯山(2,402m) 9:35 --- 9:50縞枯山荘 --- 坪庭〜ピラタスRW山頂駅 10:00 ---- 10:45 北横岳(2,480m) 11:10 ---- 11:40 雨池峠 --- 12:15雨池畔 --- 12:50 八柱山(2,112m) 13:25 --- 13:45雨池畔 ---- 14:35麦草峠帰着
麦草峠 14:45 === 南相木温泉 === 佐久市、サンピア佐久温泉 ===R254、R407=== 23:30入間帰着

 

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