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Data No. 122

 データ:
 登頂日: 1990年5月27日
 標高: 2,473m
 場所: 長野県
 天候: 快晴
 登頂時の年齢: 36歳
 同行者: Oさん

 

北八ッ 北横岳

 


展望の山へドライブ

  梅雨入り前に、何処かの山に行きたくなった。かといって、奥多摩や秩父の低山では面白くないし、3,000m級の山に行く時期でもない。体力とお金も節約したい。そこで、いつか蓼科山に登った時に隣に見えていた、「東洋一」というロープウェイで途中まで上れる北横岳の日帰りハイキングを企てた。

  5月27日の日曜早朝、カムリで中央高速に乗り、諏訪南ICで降りる。途中で道を間違えてしまい、ピラタス・ロープウェイ乗り場に着いたのは予定より遅い午前10時になってしまった。乗り場に着くと、大型バスで押し寄せた団体客がワンサといて、ロープウェイに乗るまで1時間も待たされた。

  ロープウェイを待っている間、南に見える、まだ残雪をいただいた八ヶ岳連峰の雄姿に目を奪われる。数年前にあの峰々を縦走した時の記憶を、稜線を目で追いながら懐かしく思い出す。反対側には南アルプスの稜線も霞んで浮かぶ。

  ようやく整理券に指定された時間が来て、午前11時、満員のロープウェイに乗る。標高1,760mの山麓駅から9分で到着する山頂駅は既に標高が2,240mに達する。山頂駅を降りた所が、大自然の作った日本庭園「坪庭」だ。

  巨大な溶岩がころがる33万uの山頂台地に、松の林が広がり、正しく日本庭園の趣である。きれいに整備された遊歩道が、この台地を一周するように設けられていて、街歩きと変らない格好の女性や背広姿の男性グループや、家族連れなど、大勢歩いていた。起伏のある遊歩道を観光客に混じってしばらく歩く。荒々しい岩峰の姿に、優しい松の林が良くマッチしている。これから登ろうという北横岳の反対側には、この山域特有の「縞枯れ現象」を見せる、その名の通りの縞枯山が見える。彼方には、豪壮な八ヶ岳連峰の峰々が、此処からはほぼ水平の目線の位置で、空に向かって背比べをしている。主峰赤岳が、そのど真ん中で大将ぶりを発揮する。

  坪庭をほぼ半周し、遊歩道を離れて北横岳への登山道へ足を踏み入れる。急登しばらくで、平坦になり、静かな森の中に佇む居心地の良さそうな北横岳ヒュッテが現れる。此処まで来ると、さすがに観光客風情はいなくなり、周囲は静かになる。ヒュッテから右に下ると「七ツ池」だ。

       彼方には南八ヶ岳連峰が

        蓼科山を見る 

 

  ヒュッテから更に急登をひと頑張りすると、待望の北横岳、標高2,472.5mの山頂に到達する。ロープウェイ山頂駅から約1時間半の行程であった。四囲何も遮るものの無い山頂に出ると、真っ先にコニーデ型の蓼科山が正面に見える。その北の彼方には、こんもりとした霧ケ峰から高ボッチの高原がゆったりと横たわる。目を南に転ずると、はるか足元には坪庭の明るい緑が広がり、背景に険しい八ヶ岳連峰の稜線が空を画している。このパノラマを楽しみながら、山頂での昼食を楽しむ。幸せのひととき。しかしながら、晴れてはいるものの風が冷たくて、あまりのんびりする雰囲気ではなかった。

        北横岳山頂にて

  ほどほどで山頂を切り上げ、往路を戻る。坪庭に下り、来た道とは反対側を回るように散歩してロープウェイ山頂駅を目指す。下りのロープウェイは、山麓駅での様な整理券方式ではなくて、改札の前で行列をさせられた。約20分待たされて乗車。

  帰路はR299をたどる。白駒池で休憩し、麦草峠を越え、佐久に下る。軽井沢からR18に出て、碓氷峠の麓で渋滞に巻き込まれ、時間をたっぷりと浪費させられる。日がとっぷりと暮れた頃、ようやく前橋から関越道に乗ると、ここでも渋滞。目一杯疲れて帰宅した。山は良かったけれど、日曜日の日帰り登山なんて、もう懲り懲りだと痛感した。■